根拠は主張に合っているか:出典・根拠を手順で調べる
このレッスンの役割
前のレッスンで、三つの条件を知りました。ここでは、主張と資料を並べて三つの条件を判定し、欠けた条件を補う資料を考えるまでを一つの手順にします。入試の「資料を根拠として用いる際の問題点を指摘し、必要な資料を挙げよ」は、この手順で答えます。
今回の中心技能は、「主張を要素と範囲に分ける → 資料の要素と範囲を書き出す → 三つの条件を判定する → 欠けた条件を補う資料を挙げる」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
主張:「本市の中学生は、他の市より睡眠時間が短い。」 資料:「本市の中学二年生二百人の調査で、平均睡眠時間は六時間四十分だった。」
手順で判定します。主張の要素:睡眠時間が短い/範囲:本市の中学生、他の市との比較。資料の要素:平均睡眠時間/範囲:本市の中学二年生二百人。関係:○(睡眠時間)。量:二百人は使えるが、二年生だけ。質:確かめられるが、「他の市」の数値がない(比較の範囲が欠ける)。補う資料:他の市(または全国)の同じ条件の調査の平均睡眠時間。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 主張を要素と範囲に分ける | 要素:睡眠時間が短い。範囲:本市の中学生、他市と比較 |
| 2 | 資料の要素と範囲を書き出す | 要素:平均睡眠時間。範囲:本市二年生二百人 |
| 3 | 関係・量・質を一つずつ判定する | 関係○、量△(二年生のみ)、質×(比較対象なし) |
| 4 | 欠けた条件を補う資料を具体的に挙げる | 他市または全国の中学生の平均睡眠時間(同じ条件) |
段階1:主張の分け方
| 主張 | 要素 | 範囲 |
|---|---|---|
| 本市の中学生は他市より睡眠時間が短い | 睡眠時間が短い | 本市の中学生/他市との比較 |
| 本校の生徒は読書が好きだ | 読書が好き | 本校の生徒全体 |
| この町の商店街は衰退している | 衰退(店数・売上の減少) | この町の商店街/数年の推移 |
「比較」「推移」は範囲の一部です。「他より」「以前より」があれば、比較対象が必要です。
段階2:資料の書き出し
| 書き出すもの | 例 |
|---|---|
| 要素(何を測ったか) | 平均睡眠時間 |
| 対象 | 本市の中学二年生 |
| 数 | 二百人 |
| 時期 | 調査の年 |
| 比較対象 | なし |
段階3:判定の表
| 条件 | 問い | 判定の書き方 |
|---|---|---|
| 関係 | 資料の要素は主張の要素と同じか | ○/△(近いが別)/× |
| 量 | 数・期間は主張の範囲に対して十分か | ○/△/× |
| 質 | 確かめられるか、対象・時期・場所・比較対象は合うか | ○/△/× |
△や×には、理由を一言添えます(「二年生のみ」「比較対象なし」)。
段階4:補う資料の挙げ方
| 欠けた条件 | 補う資料 |
|---|---|
| 関係× | 主張の要素を直接測った資料(成績なら点数の変化) |
| 量× | 人数・期間を増やした資料(全学年、数年分) |
| 質(範囲)× | 主張と同じ対象・時期・場所の資料、比較対象の資料 |
| 質(確かめ)× | 出典のある一次資料 |
「もっと調べる」ではなく、「何を・誰について・いつの」資料かを書きます。
例題:手順で通す
主張:「新しい通学路は安全になった。」 資料:「通学路の変更後一か月、事故の報告はなかった。」
| 段階 | 結果 |
|---|---|
| 1 | 要素:安全(事故の減少)。範囲:変更前との比較 |
| 2 | 要素:事故の報告なし。範囲:変更後一か月 |
| 3 | 関係○、量×(一か月)、質×(変更前の数値なし) |
| 4 | 変更前の同じ期間の事故件数、変更後の数か月〜一年の件数、ヒヤリとした事例の記録 |
よくある間違い
段階1で範囲を書かない
「他市より」「以前より」を見落とすと、比較対象の欠けに気づけません。
段階3で一つの条件だけ判定する
関係が○でも、量と質が×なら根拠になりません。三つ全部を判定します。
段階4で「もっと調査が必要」と書く
具体的に「何を・誰について・いつの」まで書かないと、記述の得点になりません。
自分で確かめよう
確認1:根拠を判定する四段階
主張を要素と範囲に分ける、資料の要素と範囲を書き出す、三つの条件を判定、欠けた条件を補う資料を挙げる。
確認2:「本市の中学生は他市より睡眠時間が短い」の資料に欠けていた条件と補う資料
質(比較対象なし)。他市または全国の中学生の同じ条件の平均睡眠時間。
確認3:「変更後一か月、事故なし」で安全を主張するときの不足
量(一か月は短い)、質(変更前の数値がない)。
まとめと次の一歩
手順は、主張を要素と範囲に、資料を要素と範囲に、三つの条件を判定、補う資料を挙げる、の四段階です。「比較」「推移」は範囲に含め、補う資料は具体的に書きます。
次のレッスンでは、根拠の対応でよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。