LESSON 01

写真・見出し・切り取り

写真・見出し・切り取り:複数資料・入試で判断する

発言の全文と、それを切り取った見出し・投稿・写真の説明を比べ、切り取りで失われたものの指摘、意味の変化の説明、適切な見出しの作成、写真の説明の問題点の指摘を入試形式で解き、切り取りの読み取りを本番で使える形にまとめます。

写真・見出し・切り取り:複数資料・入試で判断する

このレッスンの役割

ここは「写真・見出し・切り取り」の出口です。失われる四つのもの、三つの合図、四段階の手順、誤りの四つの型を、発言の全文と切り取りを比べる入試形式の問題で通して使います。

中心技能は、切り取りで失われたものを指摘し、意味の変化を説明し、適切な見出しを作り、写真の説明の問題点を指摘することです。目安時間は10分です。

入試でどう出るか

切り取りは、四つの形で出ます。

  1. 失われたものの指摘:「見出しは発言のどの部分を省いているか」
  2. 意味の変化:「省いたことで意味がどう変わったか説明せよ」
  3. 見出しの作成:「発言の趣旨を正しく伝える見出しを〜字以内で書け」
  4. 写真の説明:「この写真の説明文の問題点を書け」

総合問題

市議会での市長の発言と、それを伝えた三つの資料を読んで、あとの問いに答えなさい。

【資料A】市長の発言(議事録) 「給食の無償化については、『財源がないのだから無理だ』という声を多くいただいています。確かに、今の予算のままでは難しい。しかし、私は、子どもの食を家庭の事情で左右させてはならないと考えています。来年度は、まず小学校低学年から段階的に無償化を始め、財源は基金の活用と事業の見直しで確保します。」

【資料B】○○新聞の見出し 「市長『給食無償化は無理』 財源なく」

【資料C】SNSの投稿(市民) 「市長が議会で『無償化は難しい』って言ってた。やる気ないんだな。」

【資料D】地元テレビのニュース映像の説明文 「無償化に反対する市長(議場で腕を組む市長の写真)」

問1

資料Bの見出しは、資料Aの発言のどの部分を省いていますか。「条件」「前後」の語を使って書きなさい。

問2

資料Cの「やる気ないんだな」は、どのような切り取りから生まれた誤りですか。差の種類(逆転・限定・程度)を使って説明しなさい。

問3

資料Aの発言の趣旨を正しく伝える見出しを、二十五字以内で書きなさい。

問4

資料Dの説明文の問題点を、写真の切り取りの観点から書きなさい。

答えと判断

問1

「無理だ」は市民の声として紹介した部分で、市長自身の言葉ではない(誰の言葉か)。「今の予算のままでは」という条件を省き、「しかし、私は〜段階的に始める」という前後(反転と方針)を省いている。

問2

「難しい」は「今の予算のままでは」という条件つきの譲歩で、その後に「しかし」で無償化を始める方針を述べている。条件と前後を切り取ったことで、「方針を示した」が「やる気がない」に変わる逆転が起きている。

問3

「市長、給食無償化を低学年から段階的に開始へ」(二十一字)。発言の中心(しかし の後)を伝える。

問4

「腕を組む」姿は、議場での一瞬の姿勢で、反対の意思を示す証拠ではない(写真を証拠と思う)。発言全体では無償化を進める方針で、説明文「反対する市長」は写真の印象で発言と逆の意味をつけている。前後の時間(何を聞いていたときの姿勢か)も不明。

誤答を診断する

誤答 型 戻るレッスン
問1で「省いていない」 「無理だ」を市長の言葉と読んだ 印象に流された判断を直す(型②)
問2で「限定」 否定→推進なので逆転 出典・根拠を手順で調べる(段階4)
問3で「市長『今の予算では難しい』」 譲歩の部分を見出しにした 確かめる観点をつかむ(見出し)
問4で「写真が加工されている」 加工でなく枠と時間の切り取り 印象に流された判断を直す(型③)

四つの資料の表

資料 切り取った部分 失われたもの 意味の差
B 「無理だ」(市民の声) 誰の言葉か、条件、前後 逆転
C 「難しい」(譲歩) 条件、前後 逆転
D 腕を組む一瞬 時間、全体(発言) 逆転
A ― ― ―

答案で落とさないための確認

確認 見るもの
引用が本人の言葉か、紹介した他人の言葉かを見たか 「という声を」
「しかし」の前後を確かめたか 譲歩→方針
見出しは「しかし」の後(中心)から作ったか 段階的に開始
写真の説明が発言と合うかを見たか 反対→推進

よくある間違い

新聞の見出し(B)を「新聞だから正確」と思う

報道でも見出しは切り取りです。本文と議事録で確かめます。

投稿(C)を「市民の素直な感想」として受け入れる

感想は自由ですが、根拠にした「難しい」が条件つきの譲歩であることを確かめていません。

写真の説明(D)を「写真がそう見えるから」で認める

腕を組む姿は反対の証拠になりません。発言全体と照らします。

自分で説明しよう

確認1:切り取りで失われる四つのもの

前後、全体、条件、時間。

確認2:切り取りを確かめる四段階

切り取り後の意味を書く、元の全体をたどる、四つを補う、書き直して差を示す。

確認3:引用を確かめる三つの確認

条件、前後、誰の言葉か。

セクションの出口

発言の全文と切り取りを比べ、失われたものを条件・前後・誰の言葉かで指摘し、意味の差を逆転・限定・程度で説明し、中心から見出しを作り、写真の説明の問題を指摘できたら完了です。

次のセクション「感情を動かす言葉に注意しよう」では、切り取りと並んで判断を左右する、断定・誇張・恐怖や期待をあおる表現を扱います。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:切り取りを入試で見抜く

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    見出し「市長『給食無償化は無理』」が発言から省いたものはどれですか。
  2. 設問 1
    「難しい」という譲歩から「やる気がない」と読んだ誤りの差の種類はどれですか。
  3. 設問 2
    発言の趣旨を正しく伝える見出しを作るとき、どこから作りますか。
  4. 設問 3
    「議場で腕を組む市長」の写真に「無償化に反対する市長」と説明をつける問題はどれですか。
  5. 設問 4
    引用が本人の言葉か、他人の意見を紹介した部分かを見分ける合図はどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。