写真・見出し・切り取り:複数資料・入試で判断する
このレッスンの役割
ここは「写真・見出し・切り取り」の出口です。失われる四つのもの、三つの合図、四段階の手順、誤りの四つの型を、発言の全文と切り取りを比べる入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、切り取りで失われたものを指摘し、意味の変化を説明し、適切な見出しを作り、写真の説明の問題点を指摘することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
切り取りは、四つの形で出ます。
- 失われたものの指摘:「見出しは発言のどの部分を省いているか」
- 意味の変化:「省いたことで意味がどう変わったか説明せよ」
- 見出しの作成:「発言の趣旨を正しく伝える見出しを〜字以内で書け」
- 写真の説明:「この写真の説明文の問題点を書け」
総合問題
市議会での市長の発言と、それを伝えた三つの資料を読んで、あとの問いに答えなさい。
【資料A】市長の発言(議事録) 「給食の無償化については、『財源がないのだから無理だ』という声を多くいただいています。確かに、今の予算のままでは難しい。しかし、私は、子どもの食を家庭の事情で左右させてはならないと考えています。来年度は、まず小学校低学年から段階的に無償化を始め、財源は基金の活用と事業の見直しで確保します。」
【資料B】○○新聞の見出し 「市長『給食無償化は無理』 財源なく」
【資料C】SNSの投稿(市民) 「市長が議会で『無償化は難しい』って言ってた。やる気ないんだな。」
【資料D】地元テレビのニュース映像の説明文 「無償化に反対する市長(議場で腕を組む市長の写真)」
問1
資料Bの見出しは、資料Aの発言のどの部分を省いていますか。「条件」「前後」の語を使って書きなさい。
問2
資料Cの「やる気ないんだな」は、どのような切り取りから生まれた誤りですか。差の種類(逆転・限定・程度)を使って説明しなさい。
問3
資料Aの発言の趣旨を正しく伝える見出しを、二十五字以内で書きなさい。
問4
資料Dの説明文の問題点を、写真の切り取りの観点から書きなさい。
答えと判断
問1
「無理だ」は市民の声として紹介した部分で、市長自身の言葉ではない(誰の言葉か)。「今の予算のままでは」という条件を省き、「しかし、私は〜段階的に始める」という前後(反転と方針)を省いている。
問2
「難しい」は「今の予算のままでは」という条件つきの譲歩で、その後に「しかし」で無償化を始める方針を述べている。条件と前後を切り取ったことで、「方針を示した」が「やる気がない」に変わる逆転が起きている。
問3
「市長、給食無償化を低学年から段階的に開始へ」(二十一字)。発言の中心(しかし の後)を伝える。
問4
「腕を組む」姿は、議場での一瞬の姿勢で、反対の意思を示す証拠ではない(写真を証拠と思う)。発言全体では無償化を進める方針で、説明文「反対する市長」は写真の印象で発言と逆の意味をつけている。前後の時間(何を聞いていたときの姿勢か)も不明。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で「省いていない」 | 「無理だ」を市長の言葉と読んだ | 印象に流された判断を直す(型②) |
| 問2で「限定」 | 否定→推進なので逆転 | 出典・根拠を手順で調べる(段階4) |
| 問3で「市長『今の予算では難しい』」 | 譲歩の部分を見出しにした | 確かめる観点をつかむ(見出し) |
| 問4で「写真が加工されている」 | 加工でなく枠と時間の切り取り | 印象に流された判断を直す(型③) |
四つの資料の表
| 資料 | 切り取った部分 | 失われたもの | 意味の差 |
|---|---|---|---|
| B | 「無理だ」(市民の声) | 誰の言葉か、条件、前後 | 逆転 |
| C | 「難しい」(譲歩) | 条件、前後 | 逆転 |
| D | 腕を組む一瞬 | 時間、全体(発言) | 逆転 |
| A | ― | ― | ― |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 引用が本人の言葉か、紹介した他人の言葉かを見たか | 「という声を」 |
| 「しかし」の前後を確かめたか | 譲歩→方針 |
| 見出しは「しかし」の後(中心)から作ったか | 段階的に開始 |
| 写真の説明が発言と合うかを見たか | 反対→推進 |
よくある間違い
新聞の見出し(B)を「新聞だから正確」と思う
報道でも見出しは切り取りです。本文と議事録で確かめます。
投稿(C)を「市民の素直な感想」として受け入れる
感想は自由ですが、根拠にした「難しい」が条件つきの譲歩であることを確かめていません。
写真の説明(D)を「写真がそう見えるから」で認める
腕を組む姿は反対の証拠になりません。発言全体と照らします。
自分で説明しよう
確認1:切り取りで失われる四つのもの
前後、全体、条件、時間。
確認2:切り取りを確かめる四段階
切り取り後の意味を書く、元の全体をたどる、四つを補う、書き直して差を示す。
確認3:引用を確かめる三つの確認
条件、前後、誰の言葉か。
セクションの出口
発言の全文と切り取りを比べ、失われたものを条件・前後・誰の言葉かで指摘し、意味の差を逆転・限定・程度で説明し、中心から見出しを作り、写真の説明の問題を指摘できたら完了です。
次のセクション「感情を動かす言葉に注意しよう」では、切り取りと並んで判断を左右する、断定・誇張・恐怖や期待をあおる表現を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。