情報を疑うとはどういうこと:複数資料・入試で判断する
このレッスンの役割
ここは「情報を疑うとはどういうこと」の出口です。五つの問い、四段階の手順、印象の四つの型を、複数の資料を読む入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、複数の資料を五つの問いで比べ、最も信頼できるものを選び、保留の理由と足りない情報を書くことです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
情報の信頼性は、三つの形で出ます。
- 選択:「次の資料のうち、最も信頼できるものを選べ」
- 理由の記述:「資料Aをそのまま根拠にできない理由を書け」
- 不足の記述:「判断するためにさらに必要な情報を書け」
総合問題
次の三つの資料を読んで、あとの問いに答えなさい。
【資料A】SNSの投稿(投稿者名:ゆうき、フォロワー三百人) 「市内の中学校で給食に異物が混入したらしい。知り合いの話では何人も体調を崩したって。市は隠してるのかも。」
【資料B】○○新聞(十月三日) 「市教育委員会は二日、市立△△中学校の給食に金属片が混入していたと発表した。配膳前に調理員が発見し、生徒への提供はなかった。教育委員会は原因を調査中で、三日の給食は通常通り提供される。」
【資料C】市教育委員会の発表文(十月二日) 「本日、△△中学校の給食において、調理器具の一部とみられる金属片が配膳前に発見されました。生徒への提供はありません。原因を調査し、結果を公表します。」
問1
三つの資料のうち、最も信頼できるものを選び、その理由を五つの問いのうち二つを使って説明しなさい。
問2
資料Aをそのまま根拠にできない理由を、四十字以内で書きなさい。
問3
資料Aの「何人も体調を崩した」が事実かどうかを判断するために、さらに必要な情報を一つ書きなさい。
問4
資料Aの投稿を見て「市はひどい」と感じた人は、印象の四つの型のどれに流されていますか。
答えと判断
問1
資料C。①誰が:当事者である市教育委員会が責任をもって発表している。③何を根拠に:発見の経緯(配膳前、調理員)と提供の有無が具体的に書かれている。資料Bも信頼できるが、資料Cを伝えた二次情報。
問2
「発信者の責任が不明で、根拠が『らしい』『知り合いの話』という伝聞だから。」(三十七字)。①と③。
問3
「体調を崩した生徒がいるかどうかの、学校または保健所の記録」。または「金属片が生徒に提供されたかどうかの事実(資料B・Cでは提供なし)」。
問4
型④(感情:怒り)。「市は隠してるのかも」という推測に腹が立ち、確かめる前に判断している。型③(一致:行政への不信)も可。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で資料B | 一次(C)と二次(B)の区別がない | 確かめる観点をつかむ(五つの問い①) |
| 問1で「新聞だから」だけ | 問いを使って説明していない | 出典・根拠を手順で調べる(段階2) |
| 問2で「うそだから」 | 否定している(確かめていない) | 確かめる観点をつかむ(疑うの意味) |
| 問3で「本当かどうか」 | 必要な情報を具体的に書いていない | 出典・根拠を手順で調べる(段階3) |
| 問4で型① | 共有数の話ではない | 印象に流された判断を直す |
三つの資料の表
| 問い | 資料A | 資料B | 資料C |
|---|---|---|---|
| ① 誰が | 個人(責任不明) | 新聞(出典を明記) | 市教育委員会(当事者) |
| ② 何のために | 注意・不信の共有 | 知らせる | 知らせる・説明責任 |
| ③ 何を根拠に | 伝聞(らしい・知り合い) | Cの発表 | 自らの確認 |
| ④ どう見せているか | 「隠してるのかも」で不信をあおる | 事実の列挙 | 事実の列挙 |
| ⑤ 他はどう言うか | B・Cと食い違う(体調不良・隠蔽) | Cと一致 | ― |
| 判定 | 保留 | 使える(Cの要約として) | 使える |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 「信頼できる」理由を問いの番号で言えるか | ①③ |
| 「根拠にできない」理由を否定でなく「不明」「伝聞」で書いたか | 責任不明、らしい |
| 足りない情報を具体的に書いたか | 記録、提供の有無 |
| 資料どうしの食い違いを見たか | 体調不良、隠蔽 |
よくある間違い
資料Aを「うそ」と断定する
Aの「金属片の混入」自体はB・Cと一致しています。全部が誤りではなく、「体調不良」「隠蔽」の部分が確かめられていない。部分ごとに判定します。
新聞を公式発表より上に置く
新聞は公式発表を伝える二次情報で、ここでは発表に基づいています。一次と二次は後のセクションで扱います。
問3で「調べる」とだけ書く
「何を」「どこで」確かめるかまで書きます。
自分で説明しよう
確認1:「疑う」とは何をすることですか
否定でも鵜呑みでもなく、五つの問いで根拠と条件を確かめてから判断すること。
確認2:情報を確かめる四段階
主張と根拠に分ける、五つの問いに答える、足りない情報を書き出す、三段階で判定して次の行動を決める。
確認3:印象による判断の四つの型
多数、権威、一致、感情。
セクションの出口
複数の資料を五つの問いで比べ、最も信頼できるものを問いの番号で説明し、根拠にできない理由を「不明」「伝聞」で書き、足りない情報を具体的に挙げられたら完了です。
次のセクション「発信者と出典を確かめよう」では、五つの問いの①「誰が」を深め、発信者の種類、出典の示し方、責任の所在の確かめ方を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。