目的と対象を読み取ろう:確かめる観点をつかむ
このレッスンの役割
五つの問いの②「何のために」を深めます。同じ事実でも、知らせるための文、説得するための文、売るための文では、選ばれる事実と見せ方が変わります。目的が分かれば、「何が強調され、何が省かれているか」を予測できます。
今回の中心技能は、情報の目的を四つのどれかで言い、対象(想定される読み手)を推定し、目的が選び方と見せ方をどう変えるかを説明できることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「この参考書は、昨年の利用者の九十二%が『分かりやすい』と回答。今なら特別価格。」
目的は「売る」です。「九十二%」は満足した人の割合で、成績が上がった人の割合ではありません。「今なら」は急がせる見せ方です。売る目的の文は、良い点を選び、急がせる形で見せます。これが分かれば、「成績が上がった割合」「回答した人数」が省かれていることに気づけます。
四つの目的
| 目的 | 例 | 選ばれる事実 | 見せ方 |
|---|---|---|---|
| 知らせる | ニュース、公式発表、説明書 | 起きたこと、手順 | 事実の列挙、日時・場所を明記 |
| 説得する | 社説、意見文、署名の呼びかけ | 主張を支える事実 | 根拠→主張、反対意見への反論 |
| 売る | 広告、商品ページ、宣伝の投稿 | 良い点、満足した人 | 数字の強調、急がせる、保証の言葉 |
| 楽しませる | 物語、娯楽番組、面白い投稿 | 驚くこと、笑えること | 誇張、演出 |
一つの情報に二つの目的が混ざることがあります(知らせる形をした売る文、楽しませる形をした説得)。
対象(想定される読み手)
| 手掛かり | 対象 |
|---|---|
| 「受験生の皆さん」「保護者の方へ」 | 呼びかけの相手 |
| 専門用語の多さ | 専門家向けか一般向けか |
| 載っている場所(学校の掲示、子ども向け雑誌、業界紙) | その場所の読者 |
| 言葉遣い(敬語、くだけた調子) | 年齢・関係 |
対象が分かると、「この読み手に向けて何が省かれているか」が見えます。子ども向けには難しい条件が省かれ、専門家向けには前提が省かれます。
目的を読み取る手掛かり
| 手掛かり | 知らせる | 説得する | 売る |
|---|---|---|---|
| 文末 | 〜した、〜である | 〜べきだ、〜ではないか | 〜しませんか、今すぐ |
| 語の選び方 | 中立(増加、減少) | 評価(深刻、望ましい) | 強調(驚異の、限定) |
| 数字 | 出典つき | 主張に合うもの | 良い数字だけ |
| 呼びかけ | なし | 「私たちは」 | 「あなたに」 |
例題:目的と対象を読み取る
| 情報 | 目的 | 対象 | 手掛かり |
|---|---|---|---|
| 市の広報「十月から粗大ごみの収集日が変わります」 | 知らせる | 市民 | 事実、日付 |
| 新聞の社説「学校の部活動は地域に移すべきだ」 | 説得する | 読者一般 | べきだ |
| 塾のチラシ「合格者数、地域一位!今だけ入会金無料」 | 売る | 受験生と保護者 | 強調、急がせる、呼びかけ |
| 「中学生あるある」の動画 | 楽しませる | 中学生 | 誇張、笑い |
目的が変えるもの
| 変わるもの | 例 |
|---|---|
| 選ぶ事実 | 売る:満足度九十二%を選び、成績の変化は省く |
| 強調 | 説得:部活動の負担を強調し、利点は小さく |
| 省くもの | 売る:回答した人数、条件、価格の内訳 |
| 言葉 | 知らせる「減少」、説得「深刻な減少」、売る「驚きの減少」 |
目的を読み取ったら、「この目的なら何を省くか」を予測し、省かれたものを探します。
よくある間違い
「売る」目的の情報は全部うそだと思う
満足度九十二%は事実かもしれません。問題は「何が選ばれ、何が省かれたか」です。
知らせる形なら目的も「知らせる」だと思う
記事の形をした広告(記事広告)、公式発表の形をした宣伝があります。文末・語・呼びかけで確かめます。
対象を考えない
子ども向けの説明は条件が省かれ、専門家向けは前提が省かれます。対象によって「省かれたもの」が変わります。
自分で確かめよう
確認1:情報の四つの目的
知らせる、説得する、売る、楽しませる。
確認2:「九十二%が分かりやすいと回答。今なら特別価格」の目的と、省かれているもの
売る。成績が上がった割合、回答した人数、通常価格。
確認3:目的を読み取る手掛かりを三つ
文末、語の選び方、呼びかけ(数字の出し方、載っている場所も可)。
まとめと次の一歩
情報の目的は知らせる・説得する・売る・楽しませるの四つで、目的が選ぶ事実・強調・省くもの・言葉を変えます。対象は呼びかけ・用語・場所・言葉遣いから推定します。
次のレッスンでは、目的と対象を読み取り、省かれたものを探して判定するまでの手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。