高校入試・語彙マスターチェック:初見文・入試で使う
このレッスンの役割
ここはコース「語彙と語句の意味」の出口です。七つの技能、本番用の四段階の手順、失点の四つのグループを、初見の論説文に付いた入試本番形式の総合問題で通して使います。
中心技能は、入試形式の語彙問題を手順どおりに解き、誤答があればどのセクションに戻るかを自分で決められることです。目安時間は12分です。
入試でどう出るか
公立高校入試の国語では、語彙問題は読解の大問の中に組み込まれます。語義選択、空欄補充、慣用句、表現の効果、言い換え記述が、一つの文章の中で混ざって出ます。形を見て技能を切り替える力が問われます。
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
「分かりやすさ」は、現代において①無条件に歓迎される。しかし、分かりやすい説明が、必ずしも正確な説明であるとは限らない。複雑な問題を②単純化すれば、確かに理解はしやすくなる。だが、その過程で③切り捨てられるものがある。たとえば、ある政策の是非を「賛成か反対か」の二択で語れば分かりやすいが、「条件つきで賛成」「一部に反対」といった中間の立場は見えなくなる。分かりやすさを④金科玉条のように掲げる前に、何を切り捨てているかを問うべきではないだろうか。私は、分かりにくさに⑤( )する勇気も、ときには必要だと考える。
問1
①「無条件に」の意味として最も適切なものを選びなさい。
ア 条件を知らずに イ 何の条件もつけず、そのまま ウ 条件が悪いのに エ こっそりと
問2
②「単純化」と対になる語を、本文から漢字二字で抜き出しなさい。
問3
③「切り捨てられるもの」の例として本文に挙げられているものを答えなさい。
問4
④「金科玉条」の意味として最も適切なものを選びなさい。
ア 金や玉のように高価なもの イ 絶対に守るべき決まり ウ 古くて役に立たない考え エ 美しい言葉
問5
⑤に入る語として最も適切なものを選びなさい。
ア 拒否 イ 安住 ウ 直面 エ 回避
問6
筆者の主張を四十字以内でまとめなさい。
答えと判断
問1
イ。「無(〜がない)」+「条件」で「条件をつけずに」。つくりから決まります。
問2
「複雑」。「複雑な問題を単純化すれば」の対比。「単純↔複雑」の対義語。
問3
「条件つきで賛成」「一部に反対」といった中間の立場。「たとえば」の後の具体例から、「切り捨てられる」側を取ります。
問4
イ。四字熟語で「最も大切な決まり、絶対的なよりどころ」。「〜のように掲げる」という文脈で、筆者はこれを批判的に見ています。
問5
ウ。「分かりにくさに〜する勇気」で、筆者は分かりやすさを疑い、分かりにくさを避けないことを求めています。「直面する」が合います。アの「拒否」、エの「回避」は逆。イの「安住」は居座る意味で、勇気と結びつきません。
問6
「分かりやすさを無条件に求める前に、何を切り捨てているかを問うべきだ。」(三十六字)。「〜べきではないだろうか」の後が主張。具体例(政策の二択)は入れません。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るセクション |
|---|---|---|
| 問1でア | 打ち消しの部品を正しく読めなかった | 漢字や言葉のつくり |
| 問2で「分かりやすさ」 | 対の軸を取り違えた | 対義語 |
| 問3で「賛成か反対か」 | 対比の向き(切り捨てる側と残す側)を逆にした | 対義語・具体と抽象 |
| 問4でア | 字面で決めた | 慣用句・ことわざ・四字熟語 |
| 問5でエ | 筆者の立場(しかし・だが の後)を逆に読んだ | 論説文の重要語彙 |
| 問6に二択の例を入れた | 具体例を主張に入れた | 具体と抽象 |
本番の時間配分
| 場面 | すること | 目安 |
|---|---|---|
| 読解文中の語彙問題 | 読みながら、傍線部の前後三文で四段階を使う | 一問一分 |
| 記述 | 部分に分けて別表現に印、下書き、清書、点検 | 一問三〜四分 |
| 最後の見直し | 語彙問題だけを、文に戻す・文末・字数の目的で見る | 一〜二分 |
迷った問題は印をつけて先へ進み、見直しで戻ります。
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 形から技能を決めたか | 語義/空欄/慣用句/効果/記述 |
| 本文の該当箇所で決めたか | 合図(つまり・一方・たとえば・しかし) |
| 文に戻して通るか | ニュアンス、向き |
| 慣用表現は本来の意味か | 字面で決めていないか |
| 記述の五つの点検 | 部分・比喩・抽象化・文末・字数 |
よくある間違い
語彙問題を「知っているかどうか」の問題だと思う
入試の語彙問題は、本文の手掛かりで解くように作られています。知らない語でも、手順で解けます。
筆者の立場を文章の前半で決める
論説文は「しかし」「だが」の後に筆者の主張が来ます。後半まで読んで決めます。
見直しで文章を読み直してしまう
見直しは、語彙問題だけを目的に、文に戻す・文末・字数を見ます。
自分で説明しよう
確認1:入試の語彙問題を解く四段階の手順
問題の形を見る、技能と手掛かりを決める、本文の該当箇所で決める、文に戻して確かめる。
確認2:知らない語の意味を問われたときの手掛かり
文脈の合図、語のつくり、対比。本文の手掛かりで解けます。
確認3:筆者の主張を見つける合図
「しかし」「だが」の後、「〜べきだ」「〜と考える」「〜ではないだろうか」。
コースの出口
このコースでは、語の意味を決める手掛かり、語と語の関係、ニュアンスと表現、慣用表現、論説文の語彙、言い換え記述を学びました。入試の語彙問題を見て、形から技能を決め、本文の手掛かりで答え、文に戻して確かめられたら、このコースは完了です。
誤答があったセクションに戻り、手順を一行ずつ使い直してください。知らない語に出会っても、手掛かりで意味を決め、自分の言葉で言い換えられるようになっていれば、入試本番でも同じ手順が使えます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。