類義語を使い分けよう:初見文・入試で使う
このレッスンの役割
ここは「類義語を使い分けよう」の出口です。三つの軸、四段階の手順、誤りの四つの型を、初見の文章に付いた入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、類義語の空欄補充を軸で解き、語の選択から筆者の評価を読み、記述で文脈に合う語を選ぶことです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
類義語は、三つの形で出ます。
- 空欄補充:「空欄に入る語として最も適切なものを選べ」。選択肢に核の同じ語が並び、軸で絞ります。
- 人物評価:「筆者は〜をどのように見ているか」。筆者が選んだ語の印象から答えます。
- 記述:「〜を別の言葉で言い換えよ」「〜字以内で説明せよ」。文脈に合う軸の語を自分で選びます。
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
祖父は、村でただ一人の時計職人だった。どんな小さな部品も①( )に磨き、一日に一つの時計しか直さなかった。近所の人は「②のんびりした人だ」と言ったが、祖父の直した時計は何十年も狂わなかった。私は、祖父の仕事ぶりを③悠長だとは思わない。むしろ、時間をかけることで品質を守る④姿勢だったのだと、今は思う。
問1
①に入る語として最も適切なものを選びなさい。
ア 神経質 イ 丹念 ウ 細かく エ しつこく
問2
②「のんびりした」と③「悠長」は、同じ祖父の仕事ぶりを指している。この二語に共通する印象と、筆者がそれをどう見ているかを説明しなさい。
問3
④「姿勢」を、同じ意味の別の語に言い換えなさい。
ア 体勢 イ 態度 ウ 格好 エ 形
問4
筆者が祖父の仕事ぶりをプラスに評価していることが分かる語を、本文から二つ抜き出しなさい。
答えと判断
問1
イ。核は「細かく注意して」。文脈は「何十年も狂わなかった」というプラスの結果につながるので、プラスの語。「丹念」はプラス、「神経質」「しつこく」はマイナス、「細かく」は中立。印象の軸です。
問2
共通する印象は「時間がかかりすぎる、急がない」というややマイナスの評価。筆者は「悠長だとは思わない」「むしろ〜品質を守る姿勢」と述べ、その評価を否定してプラスに見ている。
問3
イ。「姿勢」はここでは「物事に向かう心構え」なので「態度」。「体勢」「格好」「形」は体の向きという物理的な核で、ここでは合いません。
問4
「丹念」(問1の答え)と「品質を守る」。または「狂わなかった」。プラスの語の選択が筆者の評価です。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1でア | 印象の取り違え | 誤った言い換えを直す(型①) |
| 問2で「筆者ものんびりしていると思っている」 | 「〜とは思わない」の否定を見落とし、印象を逆に読んだ | 誤った言い換えを直す(型①) |
| 問3でア | 核が違う語を選んだ | 誤った言い換えを直す(型④) |
| 問4で「のんびり」 | マイナスの語をプラスと取り違えた | 意味の核をつかむ(印象の軸) |
人物評価を語から読む
| 筆者が選んだ語 | 評価 |
|---|---|
| 丹念、綿密、慎重、率直、倹約 | プラス |
| しつこい、細かすぎる、臆病、無遠慮、けち | マイナス |
| 「〜だとは思わない。むしろ〜」 | 前の評価を否定し、後の評価を採る |
設問「筆者はどう見ているか」は、語の印象と、否定・逆接の構造で答えます。
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 核をそろえたか | 核の違う選択肢を外したか |
| 文脈の条件を読んだか | 評価語・程度語・文体 |
| 印象の向きは合うか | プラスの文脈にマイナスの語を入れていないか |
| 否定・逆接を見たか | 「〜とは思わない」「むしろ」の後が筆者の評価 |
| 記述の語は文脈に合うか | 入れて読んで通るか |
よくある間違い
選択肢の中で一番「強そうな」語を選ぶ
強さは文脈の程度語で決まります。強い語が正解とは限りません。
人物評価を自分の感想で答える
筆者の評価は、筆者が選んだ語と文の構造から読みます。自分がどう思うかではありません。
「同じ意味の語」を核の違う語から選ぶ
「姿勢=体勢」のように、字面が似ていて核が違う選択肢に注意します。
自分で説明しよう
確認1:類義語の空欄補充で、文脈の条件からどの軸を使うかを決める方法
評価語なら印象、程度語なら強さ、文体や相手なら場面の軸です。
確認2:「〜だとは思わない。むしろ〜」の構造で、筆者の評価はどこにありますか
「むしろ」の後です。前の評価は否定されています。
確認3:筆者の人物評価を読む手掛かり
筆者が選んだ語の印象(プラスかマイナスか)と、否定・逆接の構造です。
セクションの出口
初見文で、類義語の空欄補充を軸で解き、語の印象から筆者の評価を読み、記述で文脈に合う語を選べたら完了です。
次のセクション「対義語から意味を捉えよう」では、反対の関係を使って言葉の意味を明確にし、文章中の対比を正確に読む方法を扱います。
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