一つの言葉が持つ複数の意味:手掛かりから意味を決める
このレッスンの役割
前のレッスンで、多義語は核から広がることを知りました。ここでは、文中の多義語の意味を決める手順を一つに決め、どんな語でも同じ順で当てられるようにします。
今回の中心技能は、「結びつく語を見る → 物理的か比喩的かを分ける → 核から意味を導く → 文に戻して確かめる」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
彼の言葉は、私の胸に刺さった。
「刺さる」の意味を手順で決めます。結びつく語は「言葉が」「胸に」。言葉は物ではないので比喩的。核は「とがったものが突き入る」。言葉が心に突き入る、つまり「強く心に響いた、痛いところを突かれた」。文に戻して「彼の言葉が強く心に響いた」で通ります。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 「刺さる」の場合 |
|---|---|---|
| 1 | 結びつく語を見る | 言葉が/胸に |
| 2 | 物理的か比喩的かを分ける | 言葉は物でない → 比喩的 |
| 3 | 核から意味を導く | 突き入る → 強く心に響く |
| 4 | 文に戻して確かめる | 「言葉が強く心に響いた」→ 通る |
段階1の結びつく語(主語・目的語)が、物か、目に見えないものかを決めます。
例題1:「かたい」
彼女は、固い決意で留学を決めた。
- 結びつく語:決意が
- 決意は目に見えない → 比喩的
- 核「形が変わりにくい」→ 揺るがない、変わらない
- 「揺るがない決意」→ 通る
例題2:「流れる」
会議は、重い空気のまま流れた。
- 結びつく語:会議が
- 会議は物でない → 比喩的
- 核「液体が移動する」→ 時間や出来事が進む
- 「会議が重い空気のまま進んだ」→ 通る。「流れる」にはさらに「中止になる」の意味もあるので、文脈で区別。ここは「進んだ」。
例題3:「高い」
彼は目が高い。
- 結びつく語:目が
- 「目」は体の部分だが、「目が高い=視線の位置」では文脈に合わない → 比喩的(慣用句)
- 核「位置が上」→ 水準が上 → 見る力が優れている
- 「彼は良いものを見分ける力がある」→ 通る
例題4:評価の意味
この罪は重い。
- 結びつく語:罪が
- 罪は物でない → 比喩的・評価
- 核「重量が大きい」→ 程度が大きい、深刻
- 「この罪は深刻だ」→ 通る
段階2の分け方
| 結びつく語 | 判定 |
|---|---|
| 物、場所、体の部分(文字通り) | 物理的 |
| 気持ち、考え、関係、言葉、時間、出来事 | 比喩的 |
| 罪、病気、責任(程度を問うもの) | 評価 |
主語か目的語が目に見えないものなら、物理的な意味ではありません。
よくある間違い
段階1を飛ばして語だけ見る
「刺さる」だけでは意味が決まりません。「言葉が/胸に」という結びつきが決めます。
段階2で物理的と決めつける
「目が高い」「口が重い」は体の部分が主語ですが、文字通りでは通りません。通らなければ比喩的です。
段階3で核を忘れて暗記した意味を当てる
核から導くと、「流れる=進む」「流れる=中止」のどちらかも文脈で選べます。
自分で確かめよう
確認1:「彼の話は長くて、頭が痛い」の「頭が痛い」を四段階で
頭が/話の文脈 → 文字通りの頭痛ではなく比喩的 → 核「痛む」→ 困って悩ましい → 「話が長くて困る」→ 通る。
確認2:「時間が流れる」の「流れる」はどの型ですか
比喩的。核「液体が移動する」が「時間が進む」に当てはまっています。
確認3:段階2で物理的か比喩的かを分ける手掛かり
結びつく語(主語・目的語)が物か、目に見えないものか。
まとめと次の一歩
手順は、結びつく語を見る、物理的か比喩的かを分ける、核から意味を導く、文に戻して確かめる、の四段階です。結びつく語が目に見えないものなら、比喩的な意味です。
次のレッスンでは、多義語の読みでよく起きる誤りを集め、どの段階で崩れたかを見抜けるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。