LESSON 01

一つの言葉が持つ複数の意味

一つの言葉が持つ複数の意味:初見文・入試で使う

初見の物語文で、多義語の意味選択、「同じ意味で使われているもの」の選択、比喩的な表現の言い換え記述を入試形式で解き、多義語の判断を本番で使える形にまとめます。

一つの言葉が持つ複数の意味:初見文・入試で使う

このレッスンの役割

ここは「一つの言葉が持つ複数の意味」の出口です。核と広がりの型、四段階の手順、誤りの四つの型を、初見の物語文に付いた入試形式の問題で通して使います。

中心技能は、文中の多義語の意味を選び、同じ意味の用例を見分け、比喩的な表現を記述で言い換えることです。目安時間は10分です。

入試でどう出るか

多義語は、三つの形で出ます。

  1. 意味の選択:「──線部の意味として最も適切なものを選べ」
  2. 同じ意味の選択:「──線部と同じ意味で使われているものを選べ」
  3. 言い換え記述:「──線部はどういうことか、説明せよ」(比喩的な表現を自分の言葉に)

物語文では、心情を表す比喩的な用法が多く出ます。

総合問題

次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

転校初日、教室の空気は①硬かった。誰も声をかけてこない。昼休み、隣の席の中村が、弁当を持って②軽く手を上げた。「一緒に食べない?」その一言で、私の中の何かが③ほどけた。午後の授業は、朝よりずっと④短く感じられた。

問1

①「硬かった」の意味として最も適切なものを選びなさい。

ア 机や椅子が丈夫だった イ 打ち解けず緊張していた ウ 規則が厳しかった エ 声が大きかった

問2

②「軽く」と同じ意味で使われているものを選びなさい。

ア 軽く会釈する イ 荷物が軽い ウ 発言が軽い エ 軽い病気

問3

③「ほどけた」とはどういうことか、二十五字以内で説明しなさい。

問4

④「短く感じられた」とあるが、なぜそう感じたのか。本文の内容をふまえて説明しなさい。

答えと判断

問1

イ。結びつく語は「空気が」で、物ではないので比喩的。核「形が変わりにくい」から「打ち解けず、緊張している」。アは物理的な意味の押しつけ。

問2

ア。本文の「軽く手を上げた」は「力を入れず、さりげなく」という動作の様子。「軽く会釈する」が同じ。イは物理的な重量、ウは「慎重さがない」という評価、エは「程度が軽い」。

問3

「緊張していた気持ちがゆるんで、安心したということ。」(二十四字)。「ほどける」の核は「結び目がゆるむ」。「私の中の何か」は緊張や不安で、それがゆるんだ。

問4

中村に声をかけられて緊張がほどけ、気持ちが楽になったので、同じ長さの時間が朝より速く過ぎるように感じられたから。「短い」は物理的な長さではなく、心理的な時間の感じ方。

誤答を診断する

誤答 型 戻るレッスン
問1でア 物理的な意味の押しつけ 誤った言い換えを直す(型①)
問2でウ 広がりの型を取り違えた(動作の様子/評価) 意味の核をつかむ(三つの型)
問3で「結び目がゆるんだ」 核をそのまま書き、比喩を言い換えていない 手掛かりから意味を決める(段階3)
問4で「授業が実際に短かった」 物理的な意味の押しつけ 誤った言い換えを直す(型①)

物語文の比喩的な多義語

表現 核 心情の意味
空気が硬い/ゆるむ 形・緊張 緊張している/打ち解ける
胸が熱くなる/冷える 温度 感動する/気持ちが冷める
気持ちがほどける/固まる 結び目 安心する/緊張する
時間が短い/長い 長さ 楽しい/つらい、退屈
心が重い/軽い 重量 気が進まない/気楽

物語の心情問題は、こうした多義語の比喩的な意味を読む問題です。

答案で落とさないための確認

確認 見るもの
結びつく語を見たか 空気が、気持ちが、時間が
物理的と決めつけていないか 物語では比喩的が多い
核から導いたか ほどける=ゆるむ → 安心
記述で比喩を言い換えたか 核の言葉をそのまま書いていないか
同じ意味の問題で型を分けたか 物理的/動作の様子/評価

よくある間違い

物語の比喩を文字通りに読む

「空気が硬い」「時間が短い」は心情です。物理的に読むと設問の意図を外します。

記述で核の言葉を書いて終わる

「ほどける=ゆるむ」では比喩のままです。「緊張がゆるんで安心した」まで言い換えます。

「同じ意味」の問題で、広がりの型を分けずに選ぶ

「軽く手を上げる」(動作の様子)と「発言が軽い」(評価)は、どちらも比喩的ですが型が違います。

自分で説明しよう

確認1:物語文で多義語が心情を表すとき、どの型の意味ですか

比喩的(または評価)。物理的な意味ではありません。

確認2:「ほどけた」を記述で言い換える手順

核(結び目がゆるむ)を、文脈の対象(緊張・不安)に当てはめ、「緊張がゆるんで安心した」と自分の言葉にする。

確認3:「時間が短く感じられた」から読み取れる心情

楽しい、気持ちが楽になった。つらい時間は長く、楽しい時間は短く感じるから。

セクションの出口

初見の物語文で、多義語の比喩的な意味を選び、同じ意味の用例を型で見分け、心情を記述で言い換えられたら完了です。

次のセクション「語感とニュアンスを読み取ろう」では、似た言葉が伝える感情・態度・意味の強さの違いを捉え、表現を適切に選ぶ方法を扱います。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:多義語を入試で使う

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    「転校初日、教室の空気は硬かった」の「硬かった」の意味はどれですか。
  2. 設問 1
    「軽く手を上げた」の「軽く」と同じ意味で使われているものはどれですか。
  3. 設問 2
    「その一言で、私の中の何かがほどけた」の「ほどけた」を言い換えたものとして適切なのはどれですか。
  4. 設問 3
    「午後の授業は、朝よりずっと短く感じられた」から読み取れる心情はどれですか。
  5. 設問 4
    物語文で多義語が心情を表すときの意味の型はどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。