一つの言葉が持つ複数の意味:意味の核をつかむ
このレッスンの役割
「あたたかい部屋」「あたたかい人」「あたたかい色」。同じ「あたたかい」でも、指しているものは違います。しかし、まったく別の意味ではなく、一つの核から広がっています。ここでは、多義語の意味がどう広がるかの型を知り、文章に合う意味を判断する土台を作ります。
今回の中心技能は、多義語の核となる意味を言い、文中の意味が「物理的・比喩的・評価」のどの広がりかを言えることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「深い」の核となる意味は何でしょうか。
「深い海」の「深い」は、表面から底までの距離が大きいこと。これが核です。「深い考え」は、表面的でなく奥まで及んでいる考え。「深い関係」は、浅くない、しっかり結びついた関係。「深い緑」は、濃い色。どれも「表面から奥まで距離がある」という核のイメージを、別のものに当てはめています。
意味の広がりの三つの型
| 型 | 広がり方 | 「深い」の例 |
|---|---|---|
| ① 物理的 | 目に見える物・空間・体についての核の意味 | 深い海、深い穴 |
| ② 比喩的 | 核のイメージを、目に見えないものに当てはめる | 深い考え、深い関係、深い眠り |
| ③ 評価 | 良い・悪い、程度の大小の意味になる | 深い感銘(強い)、罪が深い(重い) |
辞書の①はたいてい物理的な意味で、文章ではそれ以外が多く使われます。
例:「重い」の広がり
| 型 | 例 | 核とのつながり |
|---|---|---|
| 物理的 | 重い荷物 | 重量が大きい |
| 比喩的 | 重い責任、重い空気、口が重い | 負担が大きい、動きにくい |
| 評価 | 重い病気、重い罪 | 程度が大きい、深刻 |
「重い」の核は「重量が大きく、動かしにくい」。責任も空気も口も、「動かしにくさ」で結びついています。
例:「立つ」の広がり
| 型 | 例 |
|---|---|
| 物理的 | 人が立つ、柱が立つ |
| 比喩的 | 腹が立つ、役に立つ、目立つ、計画が立つ |
| 評価 | 顔が立つ(面目が保たれる) |
核は「縦に起きて、はっきり現れる」。腹が立つ(怒りが現れる)、役に立つ(働きが現れる)、目立つ(目に現れる)。
核を知ると何がよいか
核が分かれば、辞書にない使い方に出会っても意味が取れます。「深い」の核を知っていれば、「深い沈黙」(長く重い沈黙)を初めて見ても、「表面的でない、奥まで及んだ沈黙」と見当がつきます。
よくある間違い
多義語の意味を一つずつ別々に覚える
「深い」に五つの意味があると覚えるより、核一つと広がりの型を知るほうが、未知の用法に対応できます。
文章で①(物理的)の意味を当てはめる
論説文や物語では、比喩的・評価の意味が多く使われます。「重い空気」を重量と読む人はいませんが、「硬い文章」「軽い発言」では誤りが起きます。
核と広がりのつながりを言えない
「なぜ『腹が立つ』が怒りなのか」を核(現れる)から説明できると、意味が定着します。
自分で確かめよう
確認1:多義語の意味の広がりの三つの型
物理的、比喩的、評価。
確認2:「重い責任」の「重い」はどの型で、核とどうつながりますか
比喩的。核の「重量が大きく動かしにくい」が「負担が大きい」に当てはまっています。
確認3:「深い」の核と、「深い考え」の意味
核は「表面から底までの距離が大きい」。深い考えは、表面的でなく奥まで及んだ考え。
まとめと次の一歩
多義語は、一つの核から物理的・比喩的・評価の三つの型で広がっています。核を知れば、辞書にない用法にも見当がつきます。文章では、物理的でない意味が多く使われます。
次のレッスンでは、文中の多義語の意味を決める手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。