前後の文脈から意味を推測しよう:初見文・入試で使う
このレッスンの役割
ここは「前後の文脈から意味を推測しよう」の出口です。四つの合図、四段階の手順、誤りの四つの型を、初見の文章に付いた入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、初見文の語義選択と言い換え記述を、本文の説明を根拠にして解くことです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
文脈推測は、二つの形で出ます。
- 語義選択:「──線部の意味として最も適切なものを選べ」。選択肢の中に、字面で選ぶと誤るものと、ニュアンスが近いだけのものが混ざります。
- 言い換え記述:「──線部はどういうことか説明せよ」。本文の説明(合図のあと)を根拠にして、自分の言葉で書きます。
どちらも、本文に筆者が置いた説明を見つけることが出発点です。
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
人は、自分と似た意見ばかりを集めてしまう傾向がある。インターネットではこの傾向が①顕著だ。検索や推薦の仕組みが、自分の好みに合う情報ばかりを届けるからである。その結果、自分の考えが世間の②大勢だと錯覚しやすくなる。これは、意見の③多様性を知る機会を失うということでもある。異なる意見に触れることは、ときに④不快だ。しかし、自分の考えを疑い、鍛え直す機会は、そこにしかない。
問1
①「顕著」の意味として最も適切なものを選びなさい。
ア 目立ってはっきりしている イ 少しずつ増えている ウ 隠れている エ めずらしい
問2
②「大勢」の意味を、本文に即して説明しなさい。
問3
③「多様性」の意味を、「〜ではなく、〜であること」の形で説明しなさい。
問4
④「不快だ」とあるが、筆者はそれでも異なる意見に触れるべきだと考えている。その理由を本文の言葉を使って答えなさい。
答えと判断
問1
ア。合図は次の文の「なぜなら」にあたる「〜からである」で、「自分の好みに合う情報ばかりを届ける」という原因が述べられています。傾向が強くはっきり現れる、という意味です。ウは反対、エは字面の「著」から「著名=めずらしい」と連想した誤り。
問2
「世の中の多くの人の意見・流れ」。「自分の考えが世間の〜だと錯覚する」という文脈で、「自分一人の考え」の対比で「多くの人の考え」。「たいせい」と読みます。「おおぜい」ではありません。
問3
「意見が一つに偏っているのではなく、さまざまな意見があること」。「似た意見ばかり」の対比で考えます。
問4
「自分の考えを疑い、鍛え直す機会は、そこ(異なる意見に触れること)にしかないから」。「しかし」のあとが筆者の主張で、その理由が「〜しかない」で述べられています。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1でエ | 字面で決めた | 誤った言い換えを直す(型①) |
| 問2で「おおぜい」の意味 | 知っている意味の押しつけ | 誤った言い換えを直す(型④) |
| 問3で「似た意見」側を書く | 対比の向きの取り違え | 誤った言い換えを直す(型②) |
| 問4で「不快だから」 | 説明の範囲を誤った(「しかし」の後を見ていない) | 誤った言い換えを直す(型③) |
記述で本文の説明を使う
言い換え記述は、本文の説明を根拠に、自分の言葉で書きます。
| 段階 | すること | 問2の場合 |
|---|---|---|
| 1 | 合図のあとの説明を見つける | 「自分の考えが世間の〜だと錯覚」 |
| 2 | 対比や言い換えから意味を決める | 自分一人 ↔ 世間の多く |
| 3 | 「〜こと」の形で書く | 世の中の多くの人の意見のこと |
| 4 | 本文に戻して通るか確かめる | 「自分の考えが多くの人の意見だと錯覚」→ 通る |
本文の語を全部写すのではなく、説明の中心を自分の言葉で言い直します。
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 合図を見つけたか | つまり・たとえば・〜ではなく・〜からである |
| 字面だけで決めていないか | 顕著=めずらしい、のような連想 |
| 対比の向きは合っているか | 「〜ではなく」の後が肯定 |
| 記述は「〜こと」の形か | 語をそのまま写していないか |
| 文に戻して通るか | 最後の十秒 |
よくある間違い
選択肢を先に見て、合いそうなものを選ぶ
本文の説明を先に見つけ、仮の意味を置いてから選択肢を見ます。選択肢から入ると、字面で誤ります。
記述で本文を丸写しする
「どういうことか」は言い換えを求めています。本文の説明を根拠に、自分の言葉にします。
「しかし」の前で読むのをやめる
筆者の主張は「しかし」のあとにあります。語の説明も主張も、逆接のあとまで読んで決めます。
自分で説明しよう
確認1:語義選択で最初にすることは何ですか
本文の合図を見つけ、説明から仮の意味を置くことです。選択肢を見るのはそのあとです。
確認2:言い換え記述の四段階
説明を見つける、対比や言い換えから意味を決める、「〜こと」の形で書く、本文に戻して確かめる。
確認3:「異なる意見は不快だ。しかし〜」のとき、筆者の主張はどこにありますか
「しかし」のあとです。
セクションの出口
初見文で合図を見つけ、本文の説明を根拠に語義選択と言い換え記述に答えられたら完了です。
次のセクション「漢字や言葉のつくりから意味を考えよう」では、文脈に説明がないときの手掛かりとして、部首・熟語の組み立て・接頭語と接尾語から意味を推測する方法を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。