説明文・論説文の重要語彙:手掛かりから意味を決める
このレッスンの役割
前のレッスンで、論説文の重要語彙を三種類に整理しました。ここでは、その語彙を使って論説文の構造を読み取り、設問に答える手順を一つに決めます。
今回の中心技能は、「合図で主張・根拠・例・対比を区分する → 重要語彙を対と文脈で決める → 構造を表にする → 設問の語を構造に対応させる」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
美しさの基準は絶対的なものではない。なぜなら、時代や文化によって、美しいとされるものは大きく異なるからだ。たとえば、ある時代にはふくよかな体型が美とされ、別の時代には細い体型が美とされた。つまり、美の基準は相対的なのである。
設問「筆者の主張と根拠を答えよ」を手順で解きます。合図:「なぜなら」の後が根拠、「たとえば」の後が例、「つまり」の後が主張のまとめ。語彙:「絶対的↔相対的」の対で、「絶対的ではない=相対的」。構造:主張「美の基準は相対的」、根拠「時代や文化で異なる」、例「体型の例」。設問の「主張」は主張の行、「根拠」は根拠の行から答えます。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 合図で区分する | なぜなら→根拠、たとえば→例、つまり→主張 |
| 2 | 重要語彙を対と文脈で決める | 絶対的↔相対的:比べて決まる |
| 3 | 構造を表にする | 主張/根拠/例の表 |
| 4 | 設問の語を構造に対応させる | 「主張」→主張の行、「根拠」→根拠の行 |
段階1:合図の表
| 構造 | 合図 |
|---|---|
| 主張 | 〜べきだ、〜と考える、つまり、要するに |
| 根拠 | なぜなら、〜からだ、〜ので |
| 例 | たとえば、具体的には |
| 対比 | 一方、これに対して、〜ではなく |
| 譲歩 | 確かに、もちろん、〜もある |
| 定義 | 〜とは〜である |
段階2:語彙を文脈で決める
| 語 | 対 | 文脈での意味 |
|---|---|---|
| 絶対的 | 相対的 | 時代や文化によらず成り立つ |
| 相対的 | 絶対的 | 時代や文化によって変わる |
対で境目を決め、文脈の説明(時代や文化で異なる)で確定します。
段階3:構造の表
| 構造 | 内容 |
|---|---|
| 主張 | 美の基準は相対的だ(絶対的ではない) |
| 根拠 | 時代や文化によって美しいとされるものが異なる |
| 例 | ふくよかな体型/細い体型 |
表にすると、どの設問にも対応できます。
段階4:設問の語を対応させる
| 設問の語 | 対応する構造 |
|---|---|
| 筆者の主張 | 主張の行 |
| 根拠・理由 | 根拠の行 |
| 具体例 | 例の行 |
| 〜とはどういうことか | 定義、または主張の言い換え |
| 筆者が批判しているもの | 譲歩・対比の相手側 |
例題:対比と評価を含む文章
現代の教育は、画一的な評価に偏りすぎている。テストの点数という一つの基準で全員を測る方法は、確かに公平に見える。しかし、生徒の多様な能力を見落としてしまう。本質的に重要なのは、一人ひとりの強みを見出すことではないだろうか。
- 合図:「確かに〜。しかし」で譲歩と逆接。「〜ではないだろうか」で主張
- 語彙:画一的↔多様、本質的(プラス評価)、表面的(暗に「点数」を指す)
- 構造:批判対象「画一的な評価(点数)」、譲歩「公平に見える」、主張「一人ひとりの強みを見出すべき」
- 設問「筆者が批判しているもの」→ 画一的な評価。「筆者の主張」→ 一人ひとりの強みを見出すこと
よくある間違い
段階1を飛ばして、文章を頭から読んで印象で答える
合図で区分すれば、主張と根拠と例は機械的に分かれます。印象ではなく合図です。
段階2で語の意味を日常の意味で読む
「絶対的=とても」と読むと、主張が取れません。対で厳密な意味を決めます。
段階4で設問の語と構造を対応させない
「根拠を答えよ」に主張を書く誤りは、対応を省いたときに起きます。
自分で確かめよう
確認1:「なぜなら」「たとえば」「つまり」の後にそれぞれ何が来ますか
根拠、例、主張(まとめ)。
確認2:「確かに〜。しかし〜」で、筆者の主張はどちらにありますか
「しかし」の後。「確かに」は譲歩です。
確認3:「筆者が批判しているもの」は構造の表のどこから答えますか
譲歩・対比の相手側(筆者の主張の反対側)。
まとめと次の一歩
手順は、合図で区分する、重要語彙を対と文脈で決める、構造を表にする、設問の語を構造に対応させる、の四段階です。表にすれば、主張・根拠・例・批判対象のどの設問にも答えられます。
次のレッスンでは、論説文の語彙でよく起きる誤りを集め、どの段階で崩れたかを見抜けるようにします。
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