語彙力の理解度チェック:誤った言い換えを直す
このレッスンの役割
語彙の失点は、「語を知らなかった」だけでは起きません。意味は分かっているのに、言い換えや選択で誤ることのほうが多いのです。ここでは、語彙の誤りを五つの型に分け、自分がどの型で失点しやすいかを診断します。
今回の中心技能は、誤答を見て五つの型のどれかを言い、直し方を一つ選べることです。目安時間は8分です。
今日の問い
次の問題で、ある人はウを選びました。どこで誤ったのでしょうか。
「彼は約束の時間に遅れたことを、しきりに弁解した。」の「弁解」の意味として最も適切なものを選びなさい。 ア 謝った イ 言い訳をした ウ 説明した エ 反省した
「弁解」は「自分の失敗について、言い訳をして正当化しようとすること」です。ウの「説明した」は意味が近いように見えますが、「弁解」には「自分を守るための」というニュアンスが含まれます。それを無視したので、型⑤(ニュアンス無視)です。正解はイ。
誤りの五つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 語を知らない | 語そのものの意味が分からない | 「払拭」を読めない | 手掛かりで意味を決める |
| ② 合図の見落とし | 「つまり」「たとえば」「〜ではなく」を見なかった | 言い換えが文中にあるのに使わない | 合図を探してから決める |
| ③ 関係の取り違え | 対義・類義・上位下位の関係を誤る | 「冷涼」を「温暖」の仲間と読む | 「〜ではなく」の向きを見る |
| ④ 言い換え不足 | 意味は分かるが自分の言葉にできない | 記述で語をそのまま写す | 「〜ということ」の形で言い直す |
| ⑤ ニュアンス無視 | 意味の強さ・評価・場面を無視する | 弁解=説明 | 語がプラスかマイナスか、強いか弱いかを見る |
型ごとの診断問題
問1(型②)
彼の提案は画期的だった。つまり、それまで誰も考えなかった新しい方法だったのだ。
「画期的」の意味を答えなさい。
問2(型③)
彼女の判断は主観的ではなく、データに基づいた客観的なものだった。
「客観的」と「主観的」のどちらが「データに基づいた」に近いですか。
問3(型④)
彼は困難な状況でも冷静さを失わなかった。
「冷静さを失わなかった」を、「冷静」を使わずに言い換えなさい。
問4(型⑤)
彼女は目上の人にも( )ものを言う。
ア 率直に イ 無遠慮に ウ はっきりと エ 正直に
この文が「彼女の良いところ」を述べているとき、入らない語はどれですか。
答えと型
問1
「それまでになかった新しい」。「つまり」のあとが言い換えです。見落とすと「すばらしい」のような漠然とした答えになります。
問2
「客観的」。「主観的ではなく」と対で示されているので、「データに基づいた」は客観的のほうです。向きを取り違えると逆になります。
問3
「落ち着いて判断する力を保っていた」「あわてなかった」。語を写さずに言い直せれば④は克服しています。
問4
イ。「無遠慮」はマイナスの評価を含む語です。良いところを述べる文には合いません。ア・ウ・エは中立かプラスです。
診断結果の読み方
| 誤った問 | 型 | 戻るセクション |
|---|---|---|
| 問1 | ② 合図の見落とし | 前後の文脈から意味を推測しよう |
| 問2 | ③ 関係の取り違え | 対義語から意味を捉えよう |
| 問3 | ④ 言い換え不足 | 語句を言い換えて説明しよう |
| 問4 | ⑤ ニュアンス無視 | 語感とニュアンスを読み取ろう |
よくある間違い
「語を知らなかった」で全部片づける
五つの型のうち、①は一つだけです。残り四つは、知っている語でも起きます。型を分けないと、語を覚え直すだけで同じ失点を繰り返します。
意味が近ければ正解だと思う
選択問題の誤りの多くは、型⑤です。意味が近い選択肢の中から、ニュアンスまで合うものを選びます。
記述で本文の語をそのまま使う
「どういうことか」の設問では言い換えが求められます。型④の練習が要ります。
自分で確かめよう
確認1:五つの型を順に言ってください
語を知らない、合図の見落とし、関係の取り違え、言い換え不足、ニュアンス無視。
確認2:「弁解」を「説明」と読んだ誤りの型と直し方
型⑤。「弁解」は自分を守るための言い訳というマイナス寄りのニュアンスを持つので、「言い訳をした」と直します。
確認3:「客観的」を「自分の感じ方による」と読んだ誤りの型
型③。主観と客観の関係を取り違えています。「主観的ではなく」の後が肯定なので、客観は「誰が見ても同じ」です。
まとめと次の一歩
語彙の誤りは、語を知らない、合図の見落とし、関係の取り違え、言い換え不足、ニュアンス無視、の五つに分けられます。型①以外は、知っている語でも起きます。自分が誤りやすい型が、コースで力を入れるセクションです。
次のレッスンでは、初見の文章に付いた入試形式の問題で、ここまでの診断を通して確かめます。
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