比喩・擬音語・擬態語の効果:初見文・入試で使う
このレッスンの役割
ここは「比喩・擬音語・擬態語の効果」の出口です。技法の種類、効果の型、四段階の手順、誤りの四つの型を、初見の物語文に付いた入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、表現技法を識別し、効果を選択問題で選び、記述で三つの要素をそろえて説明することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
表現の効果は、三つの形で出ます。
- 技法の識別:「──線部に使われている表現技法を答えよ」
- 効果の選択:「──線部の表現の効果として最も適切なものを選べ」
- 効果の記述:「──線部の表現にはどのような効果があるか、説明せよ」
選択問題では、「一般的すぎる選択肢」と「共通点を取り違えた選択肢」が罠として並びます。
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
卒業式の朝、校門の桜は①まだ眠っているように、固いつぼみのままだった。式が終わり、私たちは②ぱらぱらと校庭に出た。三年間通った校舎を見上げると、窓ガラスが③朝日を受けて金色に燃えていた。友人が「また会おうね」と言った。その声は、④春の風のように軽く、けれど私の胸の奥にまっすぐ届いた。
問1
①と④に使われている表現技法を、それぞれ答えなさい。
問2
②「ぱらぱらと」の効果として最も適切なものを選びなさい。
ア 生徒たちが一斉に勢いよく出てきた様子を表す イ 生徒たちがまばらに、少しずつ出てきた様子を表し、式の余韻に浸る静かな雰囲気を伝える ウ 雨が降り始めた様子を表す エ 生徒たちの足音を生き生きと表す
問3
③「金色に燃えていた」の効果を、「何を、何に、どう感じさせるか」の三つの要素を入れて説明しなさい。
問4
④「春の風のように軽く、けれど〜まっすぐ届いた」から読み取れる、友人の言葉の性質を説明しなさい。
答えと判断
問1
①擬人法(桜が眠る)と直喩(〜ように)。④直喩(〜のように)。
問2
イ。「ぱらぱら」は、まばらに少しずつの様子。アは「どっと」など、ウは擬音語としての雨、エは「生き生きと」が一般的すぎる。式の直後という文脈と結んだイが効果の説明として適切。
問3
朝日を受けた窓ガラスの輝きを、燃える炎にたとえ(隠喩)、卒業の朝の校舎が特別に輝いて見えることと、三年間の思い出が胸に迫る高ぶった気持ちを伝えている。
問4
「春の風のように軽く」で、重苦しくなく、さりげない言い方であること。「けれど〜まっすぐ届いた」で、軽い言い方でありながら、心に深く響く真剣な思いが込められていること。軽さと深さの両方を持つ言葉だと読み取れる。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で①を「直喩」だけ | 擬人法を見落とした | 意味の核をつかむ(三種類) |
| 問2でエ | 一般的すぎる選択肢を選んだ | 誤った言い換えを直す(型④) |
| 問3で「隠喩で印象的に」 | 技法名だけで終わった | 誤った言い換えを直す(型①) |
| 問3で「窓が熱い」 | 共通点の取り違え(燃える=熱い) | 誤った言い換えを直す(型②) |
| 問4で「軽い言葉」だけ | 「けれど」の後を読まなかった | 手掛かりから意味を決める(段階3) |
選択問題の絞り方
| 選択肢の特徴 | 判定 |
|---|---|
| 「生き生きと」「印象的に」だけ | 一般的すぎる → 外す |
| たとえの一般的なイメージ(炎=熱い) | 共通点の取り違え → 外す |
| 文脈の心情・場面と結んでいる | 正解の候補 |
| 技法の種類を誤っている | 外す |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 技法は合っているか | 〜のような(直喩)、なし(隠喩)、人のように(擬人法) |
| 共通点は文脈に合うか | 燃える=輝く(熱いではない) |
| 心情・場面と結んだか | 卒業の朝、思い出、高ぶり |
| 三つの要素がそろったか | 何を、何に、どう感じさせるか |
| 一般的な言葉で終わっていないか | 印象的、生き生き、分かりやすく |
よくある間違い
複数の技法が重なっているときに一つしか答えない
「眠っているように」は擬人法と直喩の両方です。設問が「技法を答えよ」なら両方を書きます。
効果の選択で、たとえの説明が正しいものを選ぶ
たとえの説明が正しくても、文脈の心情と結んでいなければ「効果」ではありません。
記述で三つの要素のうち「どう感じさせるか」を落とす
「何を何にたとえた」で終わると、言い換えにしかなりません。
自分で説明しよう
確認1:効果の選択問題で、まず外す選択肢の特徴
「生き生きと」「印象的に」だけの一般的すぎるものと、たとえの共通点を取り違えたもの。
確認2:「金色に燃えていた」の共通点を「熱い」としない理由
文脈は朝日を受けた窓ガラスの輝きなので、燃えるとの共通点は「輝き・激しさ」であり、温度ではないから。
確認3:効果の記述の三つの要素
何を、何に(どう)、どう感じさせるか。
セクションの出口
初見の物語文で、技法を識別し、効果の選択肢を絞り、三つの要素をそろえて効果を記述できたら完了です。
次のセクション「説明文・論説文の重要語彙」では、根拠・対比・普遍・相対など、論説文を読むための抽象語彙を体系的に扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。