語彙力の理解度チェック:意味の核をつかむ
このレッスンの役割
このコース「語彙と語句の意味」は、知らない言葉に出会ったときに意味を決める力と、知っている言葉を正しく使い分ける力を育てます。最初のセクションは診断です。今の自分の語彙力がどの段階にあるかを確かめ、コースのどこに力を入れるかを決めます。
今回の中心技能は、「知っている」を三つの段階に分け、自分がどの段階にいるかを言えることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「慎重」という言葉を知っていますか。
「見たことがある」と答える人は多いでしょう。では、「慎重」の意味を、難しい言葉を使わずに説明できますか。さらに、「慎重」を使った短い文を作れますか。
この三つの問いに対する答えが、語彙力の三つの段階です。
「知っている」の三段階
| 段階 | できること | 試し方 |
|---|---|---|
| ① 見覚えがある | 読めるし、見たことがある | 読みを言う |
| ② 説明できる | 意味を自分の言葉で言える | 「〜ということ」と言い換える |
| ③ 文で使える | 場面に合わせて正しく使える | 短い文を作る |
入試で問われるのは②と③です。「慎重」なら、②は「よく考えて、軽々しく行動しないこと」、③は「慎重に道を渡る」。「慎重に走る」とは言えないと分かっていれば、③まで到達しています。
なぜ段階を分けるのか
語彙力は「知っている語の数」ではありません。①の語がいくら多くても、読解で意味が取れず、記述で使えなければ点になりません。
逆に、①の語を②へ、②の語を③へ引き上げる方法が分かれば、語彙は確実に増えます。このコースの各セクションは、その引き上げ方を一つずつ扱います。
例題:三段階で診断する
次の五語を、①②③のどの段階か自分で判定してください。
| 語 | ① 読める | ② 説明できる | ③ 文で使える |
|---|---|---|---|
| 慎重 | |||
| 妥協 | |||
| 普遍 | |||
| 一目置く | |||
| 臨機応変 |
答えの例
- 慎重:しんちょう/よく考えて軽々しく動かない/慎重に判断する
- 妥協:だきょう/ゆずり合って折り合いをつける/予算で妥協する
- 普遍:ふへん/どこでも誰にでも当てはまる/普遍的な価値
- 一目置く:いちもくおく/相手が自分より上だと認めて敬意を払う/彼の実力には一目置いている
- 臨機応変:りんきおうへん/その場の状況に合わせて適切に対応する/臨機応変に対処する
②で「なんとなく」しか言えない語、③で文が作れない語が、あなたの伸びしろです。
語の種類で診断を分ける
このコースで扱う語は、三種類に分かれます。
| 種類 | 例 | 主に問われる形 |
|---|---|---|
| 日常語 | 慎重、妥協、ためらう | 読解の言い換え、記述 |
| 抽象語 | 普遍、相対、本質 | 論説文の読解、語義選択 |
| 慣用句・ことわざ・四字熟語 | 一目置く、臨機応変 | 語彙問題、意味選択 |
どの種類で②③に届かない語が多いかを見ると、コースのどのセクションに時間をかけるかが決まります。
よくある間違い
読めれば知っていると思う
①は入口にすぎません。読めても意味が言えなければ、読解では意味が取れません。
意味を辞書の言葉で丸暗記する
「慎重=注意深く、軽々しく行動しないさま」と覚えても、自分の言葉で言えなければ記述では使えません。②は「自分の言葉で」が条件です。
文で使う練習をしない
③まで届いて初めて、記述で語を正しく使えます。短い文を一つ作るだけで、②と③の差が分かります。
自分で確かめよう
確認1:「知っている」の三段階を順に言ってください
見覚えがある(読める)、説明できる(自分の言葉で言い換えられる)、文で使える(場面に合わせて正しく使える)。
確認2:「妥協」を②と③で示してください
②:ゆずり合って折り合いをつけること。③:予算の都合で妥協した。
確認3:入試で問われるのはどの段階ですか
②と③です。意味を言い換える、文脈に合う語を選ぶ、記述で使う、のいずれも②以上が必要です。
まとめと次の一歩
語彙力は「見覚えがある」「説明できる」「文で使える」の三段階で測ります。入試で必要なのは②と③です。日常語、抽象語、慣用句のどこに弱点があるかを見ておくと、コースの進め方が決まります。
次のレッスンでは、知らない語の意味を文中の手掛かりから決める方法を診断します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。