漢字や言葉のつくりから意味を考えよう:初見文・入試で使う
このレッスンの役割
ここは「漢字や言葉のつくりから意味を考えよう」の出口です。三つのつくり、四段階の手順、誤りの四つの型を、初見の文章に付いた入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、文脈に説明のない語をつくりから推測し、文脈で確定して、語義選択と言い換え記述に答えることです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
つくりからの推測が必要になるのは、次の場面です。
- 語義選択で、本文に言い換えがない語が問われる
- 空欄補充で、「不・無・非・未」の付いた語を選ぶ
- 熟語の組み立てが問われる(「読書」と同じ組み立ての語を選べ)
- 記述で、本文の難しい語を自分の言葉に直す
どの場面でも、部品に分けてつなぎ、文脈で確かめる手順は同じです。
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
都市の再開発では、古い建物を①一掃して新しい街区を作る方法がとられてきた。しかし近年、古い建物を②改修して使い続ける考え方が広まっている。その背景には、建物が持つ歴史や記憶を③不可逆的に失うことへの反省がある。一度壊した建物は二度と戻らない。効率だけを基準にした開発は、街の④均質化を招き、どこへ行っても同じ風景を生む。多様な風景を守るためには、古いものと新しいものの⑤共存を目指す視点が必要だ。
問1
①「一掃」の意味として最も適切なものを選びなさい。
ア 一つにまとめる イ すべて取り除く ウ 一度だけ掃除する エ 少しずつ減らす
問2
③「不可逆的」の意味を、部品の意味をつないで説明しなさい。
問3
④「均質化」の意味として最も適切なものを選びなさい。
ア 品質が良くなること イ どれも同じようになること ウ 大きくなること エ 古くなること
問4
「改修」と同じ組み立ての熟語を選びなさい。
ア 善悪 イ 読書 ウ 温暖 エ 日没
問5
⑤「共存」を、本文に即して「〜こと」の形で説明しなさい。
答えと判断
問1
イ。「一(すべて)」+「掃(はらう)」で「すべてはらいのける」。文脈の「新しい街区を作る」と通ります。ウは「一」を「一回」と読んだ誤り。
問2
「不(〜でない)+可(できる)+逆(もどる)+的」で、「元にもどすことができない」。文脈の「一度壊した建物は二度と戻らない」で確定します。
問3
イ。「均(ひとしい)」+「質」+「化(〜になる)」で「質がひとしくなる」。文脈の「どこへ行っても同じ風景」で確定。アは「質」から「品質向上」と連想した誤り。
問4
ウ。「改修」は「改(あらためる)」+「修(なおす)」で似た意味を重ねる組み立て。「温暖」も同じ。アは反対、イは下が対象、エは主語と述語。
問5
「古い建物と新しい建物が、どちらも排除されずに一緒にあること」。「共(ともに)」+「存(ある)」に、文脈の「古いものと新しいもの」を入れます。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1でウ | 一部品の意味を誤った | 誤った言い換えを直す(型③) |
| 問2で「逆にできる」 | 打ち消しの見落とし | 誤った言い換えを直す(型①) |
| 問3でア | 一部品だけで決めた | 誤った言い換えを直す(型③) |
| 問4でイ | 組み立ての取り違え | 誤った言い換えを直す(型②) |
| 問5で「共存すること」 | 言い換えになっていない | 手掛かりから意味を決める(段階2) |
記述でつくりを使う
言い換え記述では、部品の意味をつないだものが、そのまま答えの骨組みになります。
| 段階 | すること | 問5の場合 |
|---|---|---|
| 1 | 部品をつなぐ | ともに+ある |
| 2 | 文脈の語を入れる | 古いものと新しいものが |
| 3 | 「〜こと」の形にする | 一緒にあること |
| 4 | 本文に戻して通るか | 「〜を目指す視点」→ 通る |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 打ち消しの部品を見たか | 不・無・非・未 |
| 全部品をつないだか | 一字だけで決めていないか |
| 読み下したか | 組み立ての問題で関係を言ったか |
| 文脈で確定したか | 見当を文に戻したか |
| 記述は「〜こと」か | 語を写していないか |
よくある間違い
知らない語を飛ばして答えない
部品のどれかは必ず知っています。分かる部品で骨組みを作れば、選択肢は絞れます。
組み立ての問題を感覚で解く
読み下せば必ず決まります。「改修=改めて修す」のように、関係を言葉にします。
記述で本文の語を写す
「共存=共存すること」は言い換えではありません。部品の意味に文脈を入れます。
自分で説明しよう
確認1:文脈に説明がない語に出会ったときの手順
部品に分ける、部品の意味をつなぐ、見当を置く、文脈で確定する。
確認2:「不可逆的」の部品と意味
不+可+逆+的で、元にもどすことができない性質。
確認3:熟語の組み立ての問題を解く方法
読み下して二字の関係(似た意味・反対・修飾・対象・主語述語)を言います。
セクションの出口
初見文で、説明のない語を部品から推測して文脈で確定し、語義選択・組み立て・記述に答えられたら完了です。
次のセクション「辞書を使って意味を確かめよう」では、辞書の複数の意味の中から文脈に合うものを選ぶ方法を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。