LESSON 01

不自然な敬語を直そう

不自然な敬語を直そう:不自然な表現を直す

「させていただく」の乱用、「さ入れ・ら抜き」、身内への敬語、慣用として許容される形と誤りの線引きという四つの見落としやすい型で、不自然な敬語を見抜いて直します。

不自然な敬語を直そう:不自然な表現を直す

このレッスンの役割

四つの観点で点検しても見落としやすい誤りがあります。「させていただく」の乱用、「さ入れ・ら抜き」、身内への敬語、慣用として許容される形との線引き、の四つです。ここでは、それぞれを型に分け、直します。

今回の中心技能は、見落としやすい四つの型を知り、入試で問われたときに「誤り」と「許容」を線引きできることです。目安時間は8分です。

今日の問い

(生徒会の挨拶で)「本日は、私たちの発表を聞かさせていただき、ありがとうございます。校長先生もおいでになられ、うれしく思います。」

「聞かさせていただき」は、「聞く」のは聞き手(相手)の動作なので、自分が「させていただく」のは逆転。さらに「聞かさせ」は「さ入れ」。「お聞きいただき」。「おいでになられ」は二重敬語で「おいでになり」。

見落としやすい四つの型

型 起きていること 例 直し方
① させていただくの乱用 許可と無関係な動作、相手の動作に付ける 読ませていただきます、聞かせていただき(相手が聞く) 許可の動作だけに。相手の動作は「お〜いただく」
② さ入れ・ら抜き 「〜さ せる」「〜れる」の形の誤り 学ばさせて、行かさせて、食べれる、見れる 学ばせて、行かせて、食べられる、見られる
③ 身内への敬語 聞き手が外の人なのに家族・自校の人を高める 父がおっしゃる、うちの校長先生がいらっしゃる(外の人に) 身内は自分側。申す、参る
④ 許容と誤りの線引き 慣用として定着した形を誤りと決めつける、または逆 お伺いする、お召し上がりになる、ご覧になっていただく 入試では単純な形に直す。日常では許容

型①を直す:「させていただく」の条件

条件 例 判定
相手の許可を得て行う自分の動作 休ませていただきます、使わせていただきます ○
許可と無関係な自分の動作 読ませていただきます(自分で読むだけ) 過剰 → 読みます、拝読します
相手の動作 聞かせていただき(相手が聞く) 逆転 → お聞きいただき

型②を直す:さ入れ・ら抜き

誤り 正しい形 理由
学ばさせて 学ばせて 五段動詞には「せる」
行かさせて 行かせて 同上
読まさせて 読ませて 同上
食べれる 食べられる 上一段・下一段には「られる」
見れる 見られる 同上
来れる 来られる カ変には「られる」

敬語そのものではありませんが、敬語の文に混ざると不自然さが目立ちます。

型③を直す:内と外

聞き手 話題の人 扱い 例
外の人(面接官、他校の先生) 自分の父、自校の校長 自分側 父が申しました、校長が参ります
自校の先生 自校の校長 相手側 校長先生がいらっしゃいます
自校の先生 自分の父 自分側 父が申しました

次のセクション「内と外を意識した言葉遣い」で詳しく扱います。

型④を直す:線引きの表

形 日常 入試で「正しく直せ」なら
お伺いする 許容 伺う
お召し上がりになる 許容 召し上がる
お越しになられる 誤り お越しになる
ご覧になっていただく 許容 ご覧いただく
おっしゃられる 誤り おっしゃる

「お伺いする」「お召し上がりになる」は文化庁の指針でも慣用として許容されています。入試で誤りとして出ることは少ないですが、直せと言われたら単純な形にします。

例題:どの型か

(面接で)「御校の説明会に参加させていただき、先生方のお話を聞かせていただきました。」

「参加させていただき」は、説明会への参加に主催者の許可があるので○。「聞かせていただき」は、自分が聞くので型①ではないが、「お話を伺い」のほうが自然。

(他校の先生に)「うちの校長先生がおっしゃっていました。」

型③。聞き手が外の人なので、自校の校長は自分側。「校長が申しておりました」。

よくある間違い

「させていただく」を付ければ丁寧だと思う

許可の動作だけです。乱用は過剰、相手の動作に付ければ逆転。

「お伺いする」を見て必ず誤りと答える

慣用として許容されます。設問が「誤りを直せ」なら「伺う」に直せばよく、「誤りを選べ」で他に明らかな誤りがあればそちらを選びます。

聞き手が目上なら自校の校長も高める

聞き手が外の人なら、自校の人は自分側です。

自分で確かめよう

確認1:「読ませていただきます」が過剰になる場合

自分で読むだけで、相手の許可と関係ないとき(読みます、拝読します)。

確認2:「学ばさせて」「見れる」の正しい形

学ばせて、見られる。

確認3:「お伺いする」は誤りですか

慣用として許容。入試で直せと言われたら「伺う」。

まとめと次の一歩

見落としやすい誤りは、させていただくの乱用、さ入れ・ら抜き、身内への敬語、許容と誤りの線引き、の四つです。許可の条件、活用の形、内と外、線引きの表、で直せます。

次のレッスンでは、会話・面接・入試形式の問題で、四つの観点による点検を通して使います。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:見落としやすい誤りの型

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    「発表を聞かさせていただき」(聞くのは相手)の誤りは、どの型ですか。
  2. 設問 1
    「見れる」「食べれる」の正しい形はどれですか。
  3. 設問 2
    他校の先生に「うちの校長先生がおっしゃっていました」と言う誤りは、どの型ですか。
  4. 設問 3
    「お伺いする」について正しいものはどれですか。
  5. 設問 4
    「読ませていただきます」が過剰になるのはどんなときですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。