場面に合う表現を選ぼう:人物関係と働きをつかむ
このレッスンの役割
このコースで学んだ敬語・内と外・依頼の形・話し言葉と書き言葉を、「相手が変わると何が変わるか」の一つの表にまとめます。同じ内容を友人・先生・初対面の相手に言い分けられれば、どの場面でも言葉を選べます。
今回の中心技能は、一つの内容を三段階(友人・先生・初対面)で言い分け、何が変わったかを「文末・呼称・依頼の形・語彙」の四つで説明できることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「明日の集合時間を教えてほしい」を、①友人、②先生、③初対面の見学先の担当者に言うと。
①「明日の集合時間、教えて。」 ②「先生、明日の集合時間を教えていただけますか。」 ③「恐れ入ります、明日の集合時間を教えていただけますでしょうか。」
変わったのは、文末(て/ますか/ますでしょうか)、呼称(なし/先生/恐れ入ります)、依頼の形(教えて/教えていただけますか/教えていただけますでしょうか)。内容は同じです。
三段階の表
| 項目 | 友人 | 先生(目上・知っている) | 初対面・外部 |
|---|---|---|---|
| 文末 | だよ、〜て、〜? | です、ます | です、ます、ございます |
| 呼称 | 名前、あだ名 | 〇〇先生 | 〇〇様、〇〇先生、恐れ入ります(呼びかけの代わり) |
| 依頼の形 | 〜して、〜してくれる? | 〜していただけますか | 〜していただけますでしょうか、〜いただけますと幸いです |
| 語彙 | ちょっと、すごく、この前 | 少し、とても、先日 | 少々、大変、先日 |
| 敬語の向き | なし | 相手↑、自分↓ | 相手↑、自分↓(+ございます) |
四つの変化の軸
| 軸 | 変わり方 |
|---|---|
| 文末 | 普通の形 → です・ます → ございます |
| 呼称 | 名前 → 先生・さん → 様・恐れ入ります |
| 依頼・質問の形 | 〜して → 〜していただけますか → 〜していただけますでしょうか |
| 語彙 | 話し言葉 → 書き言葉寄り → 改まった語(少々、大変) |
この四つを一段ずつ上げると、相手に合った表現になります。
例題:三段階で言い分ける
「昨日は手伝ってくれてありがとう」
| 相手 | 表現 |
|---|---|
| 友人 | 昨日は手伝ってくれてありがとう。 |
| 先生 | 昨日は手伝ってくださり、ありがとうございました。 |
| 初対面・外部 | 昨日はお手伝いいただき、誠にありがとうございました。 |
「くれて」→「くださり」→「お手伝いいただき」と、敬語の向きと形が上がります。
「ちょっと待って」
| 相手 | 表現 |
|---|---|
| 友人 | ちょっと待って。 |
| 先生 | 少しお待ちください。 |
| 初対面・外部 | 少々お待ちくださいませ。 |
段階を上げすぎる・下げすぎる
| 誤り | 問題 |
|---|---|
| 友人に「少々お待ちくださいませ」 | 距離を作りすぎ、冗談か皮肉に聞こえる |
| 先生に「ちょっと待って」 | 失礼 |
| 初対面に「〜していただけますか」だけ | やや不足(「でしょうか」「幸いです」が自然) |
相手に合った段階を選ぶことが、「正しい敬語」より大切です。
よくある間違い
敬語の形だけ変えて語彙を変えない
「先生、ちょっと待っていただけますか」の「ちょっと」は話し言葉。「少し」。
初対面と先生を同じ段階にする
初対面には「でしょうか」「ございます」で一段上げます。
友人にも丁寧な段階が「無難」だと思う
距離を作ります。友人には友人の段階が正しい。
自分で確かめよう
確認1:相手で変わる四つの軸
文末、呼称、依頼・質問の形、語彙。
確認2:「ちょっと待って」の三段階
ちょっと待って/少しお待ちください/少々お待ちくださいませ。
確認3:友人に「少々お待ちくださいませ」と言うとどう聞こえますか
距離を作りすぎて、冗談か皮肉に聞こえる。
まとめと次の一歩
同じ内容は、文末・呼称・依頼の形・語彙の四つの軸で、友人・先生・初対面の三段階に言い分けられます。段階を上げすぎても下げすぎても不自然です。
次のレッスンでは、場面から段階を決め、四つの軸を順に調整する手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。