不自然な敬語を直そう:会話・面接・入試で使う
このレッスンの役割
ここは「不自然な敬語を直そう」の出口です。四つの観点、四段階の点検手順、見落としやすい四つの型を、会話・面接・入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、誤りを指摘して観点で理由を説明し、複数の誤りを含む文を全面修正し、掲示文と面接の受け答えを点検することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
不自然な敬語は、三つの形で出ます。
- 指摘と理由:「──線部の敬語の誤りを直し、その理由を説明せよ」
- 全面修正:「次の文には敬語の誤りが三か所ある。正しく直せ」
- 選択:「次のうち、敬語の使い方が正しいものを選べ」
総合問題
問1
次の──線部を直し、その理由を「二重敬語」「逆転」「過剰」「不足」のどれかで答えなさい。 ① 先生が①おっしゃられたことをメモしました。 ② 私が先生の作品を②ご覧になりました。 ③ 先生は昨日、職員室に③いましたか。 ④ 資料を④お持ちしてまいります。
問2
次の文には敬語の誤りが三か所ある。正しく直しなさい。(生徒が、他校の先生に自校の校長について話す場面) 「うちの校長先生がおっしゃっていましたが、来月の交流会には校長先生もいらっしゃられるそうです。私も参加させていただきたいと思っております。」
問3
次のうち、敬語の使い方が正しいものを一つ選びなさい。 ア お客様、こちらでお待ちしてください。 イ 先生のお話を伺い、大変参考になりました。 ウ 父がそのようにおっしゃっていました。 エ 詳しくは係にお聞きしてください。
問4
面接の受け答えを点検し、誤りを直しなさい。 「はい、私は御校の体験入学に参加させていただいた際、先生がお話しになられた『自ら学ぶ』という言葉に感銘を受けさせていただきました。母も御校のことをよくご存じで、勧めてくださいました。」
答えと判断
問1
①おっしゃった(二重敬語)。②拝見しました(逆転:自分の動作に尊敬語)。③いらっしゃいましたか(不足:丁寧語止まり)。④お持ちします(過剰:謙譲語の重ね)。
問2
「校長が申しておりましたが、来月の交流会には校長も参るそうです。私も参加したいと思っております。」①「校長先生がおっしゃって」→ 聞き手が他校の先生なので自校の校長は自分側(申して)。②「いらっしゃられる」→ 二重敬語かつ逆転(参る)。③「参加させていただきたい」→ 許可の場面と言えなくはないが、ここでは「参加したい」で十分(過剰)。なお「校長先生」→「校長」と呼ぶのも内と外の原則。
問3
イ。アは「お待ちください」(逆転・混在)。ウは父が自分側なので「申して」(逆転)。エは「お聞きください」または「お尋ねください」(逆転・混在)。
問4
「はい、私は御校の体験入学に参加した際、先生がお話しになった『自ら学ぶ』という言葉に感銘を受けました。母も御校のことをよく知っており、勧めてくれました。」「参加させていただいた」→ 許容されるが「参加した」で足りる。「お話しになられた」→ 二重敬語。「受けさせていただきました」→ 過剰(感銘を受けるのに許可は不要)。「母がご存じで、勧めてくださいました」→ 母は自分側なので逆転(知っており、勧めてくれました)。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1③を誤りなしと判断 | 不足を見落とした | 動作主と向きで選ぶ(段階1) |
| 問2で「校長先生がおっしゃって」を残した | 身内への敬語 | 不自然な表現を直す(型③) |
| 問3でウ | 自分の家族を高めた | 人物関係と働きをつかむ(観点②) |
| 問4で「受けさせていただきました」を残した | させていただくの乱用 | 不自然な表現を直す(型①) |
点検の表(問4)
| 語 | 観点 | 直し |
|---|---|---|
| 参加させていただいた | 過剰(許容範囲) | 参加した |
| お話しになられた | 二重敬語 | お話しになった |
| 受けさせていただきました | 過剰 | 受けました |
| 母がご存じで | 逆転(身内) | 母が知っており |
| 勧めてくださいました | 逆転(身内) | 勧めてくれました |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 四つの観点で理由を言えるか | 二重・逆転・過剰・不足 |
| 丁寧語止まりの目上の動作を見落としていないか | いましたか |
| 聞き手が外の人なら自校・家族は自分側にしたか | 校長、母 |
| 「させていただく」は許可の動作だけか | 受けさせて は不要 |
| 「お〜してください」を直したか | お〜ください |
よくある間違い
誤りの数を数えずに一つ直して終える
「三か所ある」なら三つ見つけるまで点検します。
「させていただく」を全部誤りにする
許可のある動作(参加させていただく)は許容です。明らかに無関係なもの(受けさせていただく)を直します。
面接で母の動作を「くださいました」と言う
母は自分側です。「くれました」。
自分で説明しよう
確認1:敬語の誤りを理由とともに説明する四つの観点
二重敬語、逆転、過剰、不足。
確認2:他校の先生に自校の校長の動作を言うときの扱い
自分側(校長が申す、参る)。「先生」も付けない。
確認3:「感銘を受けさせていただきました」の直し方と理由
「感銘を受けました」。許可と無関係な動作への「させていただく」は過剰。
セクションの出口
誤りを四つの観点で説明し、複数の誤りを取りこぼさずに全面修正し、掲示文と面接の受け答えを点検できたら完了です。
次のセクション「内と外を意識した言葉遣い」では、家族・学校・会社の「自分側」と「相手側」の線引きと、呼び方の変え方を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。