丁寧語の基本:動作主と向きで選ぶ
このレッスンの役割
前のレッスンで、丁寧語の働きを知りました。ここでは、普通の文を丁寧語の文に直し、「ございます」を使うかどうか、さらに尊敬語・謙譲語が要るかどうかを判断する手順を一つに決めます。
今回の中心技能は、「文末を見つける → 丁寧語に変える → ございますの要否を判断する → 尊敬語・謙譲語の要否を確かめる」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
(店員が客に)この商品は、在庫がない。来週には入る。
手順で直します。文末:「ない」「入る」。丁寧語:「ありません」「入ります」。ございます:店員が客に話す場面なので「ございません」が自然。尊敬・謙譲:動作主は商品(人ではない)なので不要。「この商品は、在庫がございません。来週には入ります。」
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 文末を見つける | ない、入る |
| 2 | 丁寧語に変える | ありません、入ります |
| 3 | ございますの要否を判断する | 店→客なので「ございません」 |
| 4 | 尊敬語・謙譲語の要否を確かめる | 動作主が物なので不要 |
段階2:丁寧語への変換表
| 普通の形 | 丁寧語 |
|---|---|
| 動詞(行く、見る) | 行きます、見ます |
| 名詞+だ(学生だ) | 学生です |
| 形容詞(高い) | 高いです |
| 形容動詞(静かだ) | 静かです |
| ある/ない | あります/ありません |
| 〜だろう | 〜でしょう |
| 〜ではない | 〜ではありません |
段階3:「ございます」を使う場面
| 場面 | 判断 |
|---|---|
| 店員が客に、式典の司会、電話の応対 | 使う(ございます) |
| 生徒が先生に、面接 | 「です・ます」で足りる(使ってもよい) |
| 友人同士 | 使わない |
「ございます」は、公的で改まった場面の印です。生徒が先生に「ございます」を連発すると、やや硬すぎます。
段階4:尊敬・謙譲の要否
| 動作主 | 向かう相手 | 丁寧語だけで |
|---|---|---|
| 物・事 | ― | 足りる |
| 自分側 | 相手なし | 足りる(行きます) |
| 自分側 | 目上 | 足りない → 謙譲語 |
| 相手側(目上) | ― | 足りない → 尊敬語 |
段階4を省くと、「先生が来ます」のような、丁寧語止まりの文になります。
例題:段階4が必要な場合
(生徒が先生に)先生が貸した本を、私が読んだ。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 貸した、読んだ |
| 2 | 貸しました、読みました |
| 3 | 生徒→先生なので「ます」で足りる |
| 4 | 貸す:動作主が先生 → 尊敬語「貸してくださった」。読む:動作主が私、向かう相手は先生の本 → 謙譲語「拝読した」 |
「先生が貸してくださった本を、私が拝読しました。」丁寧語だけでは足りない例です。
「です」の付け方の注意
| 誤り | 正しい形 |
|---|---|
| 行くです | 行きます |
| 高いでした | 高かったです |
| 静かでした | 静かでした(これは正しい) |
| 食べたいです | 食べたいです(正しい) |
動詞には「ます」、形容詞の過去は「〜かったです」。
よくある間違い
段階2で動詞に「です」を付ける
「行くです」は誤り。動詞は「ます」。
段階3で「ございます」を使えば常に正しいと思う
場面によっては硬すぎます。相手と場面で判断します。
段階4を省いて「ます」で終える
目上の動作、目上に向かう動作は、尊敬語・謙譲語が要ります。
自分で確かめよう
確認1:「この本は面白い。図書館にある」を店員が客に言う形で四段階で
文末:面白い、ある → 面白いです、あります → ございます(店→客)→ 動作主が物なので不要。「この本は面白いです。図書館にございます。」
確認2:動詞に付ける丁寧語は「です」「ます」のどちらですか
ます。
確認3:「先生が来ます」は段階4で何が必要ですか
尊敬語(いらっしゃいます)。
まとめと次の一歩
手順は、文末を見つける、丁寧語に変える、ございますの要否、尊敬・謙譲の要否、の四段階です。動詞には「ます」、改まった場面には「ございます」、目上の動作には段階4で尊敬・謙譲を足します。
次のレッスンでは、丁寧語でよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。
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