謙譲語の基本:不自然な表現を直す
このレッスンの役割
謙譲語の誤りは、相手側の動作に使う、向かう相手のない動作に使う、「伺う/参る」を取り違える、「お〜する」を相手の動作に使う、の四つに分けられます。ここでは、それぞれを型に分け、直します。
今回の中心技能は、不自然な謙譲語を見て四つの型のどれかを言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
(受付で、係員が客に)「お客様、この用紙にお書きして、こちらでお待ちしてください。」
「お書きして」「お待ちして」は、「お〜する」の謙譲語で、動作主を低めています。しかし動作主はお客様(相手側)なので、低めてはいけません。尊敬語で「お書きになって、こちらでお待ちください」。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 相手側に謙譲語 | 動作主が相手なのに自分↓ | お客様が申した、先生が伺う | 段階1で動作主を確かめ、尊敬語に |
| ② 相手のない動作に謙譲語 | 向かう相手がないのに自分↓ | お走りします、お起きします | 段階2で向きを確かめ、丁寧語のみに |
| ③ 伺う/参るの取り違え | 相手のない「行く」に「伺う」 | 東京へ伺います | 相手なしは「参る」、相手ありは「伺う」 |
| ④ お〜するを相手に使う | 相手の動作に「お〜する」「〜ください」を混ぜる | お書きしてください、お待ちしてください | 相手の動作は「お〜ください」「お〜になる」 |
型①を直す:対の表で向きを確認
| 誤り(相手側に自分↓) | 直し(相手↑) |
|---|---|
| お客様が申した | お客様がおっしゃった |
| 先生が伺う | 先生がいらっしゃる |
| 先生が拝見した | 先生がご覧になった |
| お客様がいただく | お客様が召し上がる |
| 先生が私に差し上げた | 先生が私にくださった |
型②を直す:向かう相手の有無
| 誤り | 向かう相手 | 直し |
|---|---|---|
| 毎朝お走りします | なし | 毎朝走ります |
| 六時にお起きします | なし | 六時に起きます |
| 家でお勉強します | なし | 家で勉強します |
| 先生にお聞きします | 先生 | ○(正しい) |
型③を直す:伺う/参る
| 文 | 相手 | 形 |
|---|---|---|
| 先生のお宅に行く | 先生 | 伺う |
| 東京に行く | なし | 参る |
| 会議に行く(目上が主催) | 主催者 | 伺う(参る も可) |
| 明日また来る(聞き手のところへ) | 聞き手 | 伺う(参る も可) |
「参る」は、相手の有無にかかわらず使える安全な形です。「伺う」は相手がいるときだけ。
型④を直す:相手の動作の形
| 誤り | 直し |
|---|---|
| お書きしてください | お書きください |
| お待ちしてください | お待ちください |
| ご利用してください | ご利用ください |
| お持ちして帰ってください | お持ち帰りください |
「お〜する」は自分の動作、「お〜ください」「お〜になる」は相手の動作。「お〜してください」は二つが混ざった形で誤りです。
例題:どの型か
(生徒が先生に)「先生が私の作文を拝見して、助言をくださいました。」
型①。拝見するのは先生(相手側)なので「ご覧になって」。
(面接で)「私は毎日、三時間お勉強しております。」
型②。「お勉強」は向かう相手がない。「勉強しております」。
よくある間違い
「お〜する」を付けると丁寧になると思う
「お〜する」は自分を低める形です。相手の動作に付けると相手を低めます。
「伺う」が「参る」より丁寧だと思う
敬意の高さではなく、向かう相手の有無で決まります。
「〜してください」を「お〜してください」にする
「お〜ください」です。「して」は入れません。
自分で確かめよう
確認1:「お客様、こちらにお書きしてください」の誤りの型と直し方
型④。「お書きください」。
確認2:「先生が私の作文を拝見して」の誤りの型と直し方
型①(相手側に謙譲語)。「先生がご覧になって」。
確認3:「東京へ伺います」が誤りになる場合
東京に向かう相手(目上)がいないとき。「参ります」。
まとめと次の一歩
誤りは、相手側に謙譲語、相手のない動作に謙譲語、伺う/参るの取り違え、お〜するを相手に使う、の四つに分けられます。対の表、向きの確認、相手の有無、お〜ください、で直せます。
次のレッスンでは、会話・面接・入試形式の問題で、謙譲語の判断を通して使います。
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