面接での言葉遣い:動作主と向きで選ぶ
このレッスンの役割
前のレッスンで、面接の基本形と定型を知りました。ここでは、質問を聞いてから答えを言い終えるまでを一つの手順に決めます。質問の種類を聞き分けることが最初で、ここを誤ると、正しい敬語で的外れな答えをすることになります。
今回の中心技能は、「質問の種類を聞き分ける → 結論を一文で決める → 理由と具体例を一つずつ添える → 相手と自分の動作の敬語を点検して結ぶ」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
「本校を志望した理由を教えてください」
手順で答えます。種類:理由を聞いている(志望理由)。結論:「御校の〇〇コースで、英語を重点的に学びたいからです」。理由・具体例:「説明会で、先生方が英語で授業をなさっているのを拝見し、自分もその環境で学びたいと思いました」。点検:先生方の動作は「なさっている」(尊敬)、自分の動作は「拝見し」(謙譲)。結び:「入学後は、英語の資格取得に挑戦したいと考えています」。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 質問の種類を聞き分ける | 理由(なぜ) |
| 2 | 結論を一文で決める | 英語を重点的に学びたいから |
| 3 | 理由と具体例を一つずつ添える | 説明会で授業を拝見した |
| 4 | 敬語を点検して結ぶ | なさっている/拝見し → 入学後は〜 |
段階1:質問の種類
| 種類 | 聞かれ方 | 答えの中心 |
|---|---|---|
| 事実 | 何ですか、どこですか | 名詞で答える(吹奏楽部です) |
| 理由 | なぜですか、理由を | 〜からです |
| 経験 | どんなことをしましたか | 出来事を時間順に |
| 意見 | どう思いますか | 〜と考えています+理由 |
| 将来 | 何をしたいですか | 〜したいです+理由 |
「がんばったことは何ですか」は事実(部活です)から入り、経験(何をしたか)を続けます。
段階2:結論の形
| 種類 | 結論の形 |
|---|---|
| 事実 | はい。〇〇です。 |
| 理由 | はい。〇〇だからです。/〇〇したいからです。 |
| 意見 | はい。私は〇〇だと考えています。 |
| 将来 | はい。〇〇したいと考えています。 |
結論は一文。長く説明しません。
段階3:理由と具体例
| 要素 | 形 | 注意 |
|---|---|---|
| 理由 | なぜなら〜からです/〜ので | 一つに絞る |
| 具体例 | 具体的には〜/〇年生のとき〜 | 数字・固有の出来事を入れる |
「いろいろがんばりました」は具体例になりません。「毎日三十分」「三年生の秋に」のように具体的に。
段階4:敬語の点検
| 動作主 | 例 | 形 |
|---|---|---|
| 面接官・御校の先生 | 説明会で話した、授業をした | お話しになった、授業をなさった |
| 自分 | 説明会に行った、話を聞いた | 参加した、伺った |
| 自校の先生・家族 | 担任が勧めた、母が言った | 担任が勧めてくれた、母が申した |
内と外の原則をここで使います。
例題:意見を聞かれる
「中学生がスマートフォンを持つことについて、どう思いますか」
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 意見 |
| 2 | 私は、使い方のルールを決めたうえで持つのはよいと考えています |
| 3 | 理由:連絡や調べ物に役立つから。具体例:私は家族と「夜九時以降は使わない」と決めています |
| 4 | 自分の動作のみ → 丁寧語。結び:高校でも、自分で決めたルールを守りたいです |
答えの長さ
| 質問 | 目安 |
|---|---|
| 事実(名前、学校名) | 一文 |
| 理由、経験、意見 | 三〜五文(三十秒〜一分) |
長すぎると結論がぼやけます。段階3で理由と具体例を一つずつに絞ると、自然に収まります。
よくある間違い
段階1を飛ばして用意した答えを言う
「がんばったこと」を聞かれて志望理由を話すと、聞いていないと思われます。
段階2で結論を後回しにする
経験を時間順に話し始めると、何を言いたいか分かりにくくなります。結論が先。
段階4で御校の先生の動作を普通の形で言う
「先生が授業をしていた」→「先生が授業をなさっていた」。
自分で確かめよう
確認1:「高校で挑戦したいことは何ですか」を四段階で
将来 → はい。英語の資格取得に挑戦したいと考えています → 理由:将来留学したいから。具体例:中学では英検三級を取得しました → 自分の動作のみ丁寧語。結び:御校の環境で力を伸ばしたいです。
確認2:質問の五つの種類
事実、理由、経験、意見、将来。
確認3:具体例に入れるとよいもの
数字、固有の出来事(毎日三十分、三年生の秋)。
まとめと次の一歩
手順は、質問の種類、結論を一文、理由と具体例を一つずつ、敬語の点検と結び、の四段階です。結論を先に、具体例は数字や出来事で、御校の先生は尊敬語、自校の先生と家族は内として扱います。
次のレッスンでは、面接でよく起きる言葉遣いの誤りを四つの型に分け、直せるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。