会話文から関係を読み取ろう:会話・面接・入試で使う
このレッスンの役割
ここは「会話文から関係を読み取ろう」の出口です。三つの読み取り、手掛かりの表、四段階の手順、誤りの四つの型を、入試形式の会話文・小説の問題で通して使います。
中心技能は、人物関係を根拠つきで選び、言葉遣いから心情を記述し、言葉の変化の理由を説明することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
会話文の読み取りは、三つの形で出ます。
- 関係の選択:「AとBの関係として最も適切なものを選べ」
- 心情の記述:「──線部の言い方から分かるAの気持ちを説明せよ」
- 変化の説明:「Bの言葉遣いが変わった理由を説明せよ」
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
放課後の職員室。美咲は、提出が遅れたレポートを持って担任の前に立っていた。 「①先生、遅くなってすみませんでした。これ、レポートです。」 「②うん、受け取るよ。でもね、美咲。期限を守るっていうのは、相手との約束を守るってことなんだ。」 「③……はい。分かってます。」 「④分かってるなら、いい。次からは頼むよ。」 美咲は小さくうなずいた。職員室を出るとき、廊下で待っていた友人の沙耶が駆け寄ってきた。 「⑤どうだった? 怒られた?」 「⑥……別に。ちゃんと出したし。」 「⑦なにそれ。心配して待ってたのに、その言い方。」 「⑧……ごめん。ありがと、待っててくれて。」
問1
美咲と担任の関係として、言葉遣いを根拠に最も適切なものを選びなさい。 ア 対等で親しい イ 生徒と教師で、教師は厳しく叱責している ウ 生徒と教師で、教師は諭しつつも穏やかである エ 生徒と教師で、よそよそしい
問2
⑥「別に。ちゃんと出したし。」から分かる美咲の気持ちを、言葉遣いを根拠に説明しなさい。
問3
⑥から⑧で美咲の言葉遣いが変わった理由を説明しなさい。
問4
②④の担任の言葉遣いから読み取れる、担任の美咲への態度を説明しなさい。
答えと判断
問1
ウ。美咲は「先生」「すみませんでした」「です」「はい」と丁寧語で話し(生徒と教師)、担任は「うん」「〜なんだ」「頼むよ」と普通の形で、命令形ではなく「頼むよ」と依頼の形。叱責(イ)やよそよそしさ(エ)ではなく、諭しつつ穏やか。
問2
心配してくれた沙耶に対して、「別に」「〜し」と突き放すような短い言い方をしており、叱られた直後で気まずく、素直になれずにいらだちを向けている。
問3
⑦で沙耶に「心配して待ってたのに、その言い方」と指摘され、自分の態度が友人を傷つけたことに気づいたから。「ごめん」「ありがと」と謝罪と感謝に変わっている。
問4
「〜なんだ」と理由を説明し、「分かってるなら、いい」と受け入れ、「頼むよ」と命令ではなく依頼の形で結んでいることから、叱るのではなく諭し、美咲を信頼して任せる態度。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1でイ | 内容(遅れた)から想像し、言葉(頼むよ)を見ていない | 不自然な表現を直す(型①) |
| 問2で「平気だった」 | 「別に」「〜し」の突き放しを字義どおりに読んだ | 動作主と向きで選ぶ(段階4) |
| 問3で理由を書かない | 変化の直前の出来事(⑦)を見ていない | 不自然な表現を直す(型③) |
| 問4で「厳しい」 | 「頼むよ」の依頼の形を命令と読んだ | 人物関係と働きをつかむ |
読み取りの表
| 発話 | 印 | 立場 | 距離 | 態度 |
|---|---|---|---|---|
| ①③ | 先生、すみませんでした、です、はい | 美咲が下 | 中(丁寧語) | 恐縮 |
| ②④ | うん、〜なんだ、頼むよ | 担任が上 | 近い(普通の形) | 諭す、穏やか |
| ⑤⑦ | どうだった、なにそれ、〜のに | 対等 | 近い | 心配 → 不満 |
| ⑥ | 別に、〜し | 対等 | 近いのに突き放す | 気まずさ、いらだち |
| ⑧ | ごめん、ありがと | 対等 | 近い | 謝罪、感謝 |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 関係の根拠を言葉から引いたか | 先生、頼むよ、別に |
| 命令形と依頼の形を区別したか | 頼むよ(依頼) |
| 短い突き放しの言葉を態度として読んだか | 別に、〜し |
| 変化の直前の出来事を理由にしたか | ⑦の指摘 |
| 立場・距離・態度の三つを答えに入れたか | 生徒と教師、穏やか、信頼 |
よくある間違い
「叱られた」場面だから「厳しい」と読む
担任の言葉は「頼むよ」です。言葉から態度を読みます。
「別に」を「気にしていない」と読む
親しい相手への短い突き放しは、気まずさやいらだちです。
変化の理由を「反省したから」で済ませる
「何によって」反省したかを、直前の発話(⑦)から答えます。
自分で説明しよう
確認1:会話文から関係を読む四段階
呼称と敬語に印、向きと呼称で立場、文末で距離、変化で態度。
確認2:「頼むよ」と「やれ」の違いが表すもの
依頼(穏やか、信頼)と命令(厳しい)。
確認3:言葉遣いの変化の理由を答えるとき、どこを見ますか
変化の直前の相手の発話や出来事。
セクションの出口
会話文から関係を言葉を根拠に選び、短い言い方から心情を読み、言葉の変化の理由を直前の出来事から説明できたら完了です。
次のセクション「場面に合う表現を選ぼう」では、同じ内容を友人・先生・初対面の相手に伝えるときの表現の違いを、一つの表で整理します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。