敬語と言葉遣いマスターチェック:人物関係と働きをつかむ
このレッスンの役割
ここからは、コース全体の仕上げです。十四のセクションで学んだことを一枚の表に集め、短い文を見た瞬間に敬語の種類と向きを判定できるかを確かめます。判定が速くなれば、面接でも入試でも、言葉を選ぶ余裕が生まれます。
今回の中心技能は、一〜二文の発話を見て、敬語の種類(尊敬・謙譲・丁寧)、向き、内と外、段階を即答できることです。目安時間は10分です。
コース全体の一覧表
| 項目 | 内容 | セクション |
|---|---|---|
| 四つの問い | 誰が・誰に・どんな場面で・何のために | 相手・場面・目的 |
| 三つの敬語 | 尊敬語(相手↑)、謙譲語(自分↓)、丁寧語(聞き手→丁寧) | 丁寧語・尊敬語・謙譲語 |
| 見分け | 動作主が相手側なら尊敬語、自分側で目上に向かえば謙譲語 | 見分けよう |
| 特別な形 | いらっしゃる/伺う、ご覧になる/拝見する、召し上がる/いただく… | 特別な形 |
| 規則的な形 | お〜になる(尊敬)、お〜する(謙譲)、和語に「お」、漢語に「ご」 | お・ご〜になる/する |
| 誤りの観点 | 二重敬語、逆転、過剰、不足 | 不自然な敬語 |
| 内と外 | 聞き手が外なら、家族・自校の人は内(高めない、敬称なし) | 内と外 |
| 用件の形 | 前置き+本文(+補い)。依頼は負担で段階、断りはお詫び+断り+代案 | 依頼・質問・断り |
| 手段 | 電話は名乗りと復唱、手紙は頭語・結語、メールは件名 | 電話・手紙・メール |
| 面接 | 結論・理由・具体例・結び、「はい」で始める、「自分」「えっと」を使わない | 面接 |
| 逆算 | 呼称・敬語の向き・文末から立場・距離・態度を読む | 会話文 |
| 三段階 | 友人/先生/初対面で、文末・呼称・形・語彙を一段ずつ | 場面に合う表現 |
判定の練習:十問
それぞれの発話について、敬語の種類と向き、または内外・段階を答えてから開いてください。
①「先生がおっしゃったとおりです」の「おっしゃった」
尊敬語(相手↑)。動作主が先生。
②「明日、先生のお宅に伺います」の「伺います」
謙譲語(自分↓)。動作主が私、先生のお宅に向かう。
③「在庫はございません」の「ございません」
丁寧語(聞き手→丁寧)。「ない」の丁寧な形。
④(面接官に)「母が申しておりました」の「母」「申して」
内。母は自分側なので謙譲語「申す」、敬称なし。
⑤(自校の担任に)「校長先生がいらっしゃいます」
外として扱う。聞き手が自校なので校長は目上、尊敬語。
⑥「お客様がお書きしてください」
誤り(逆転・混在)。「お書きください」。
⑦「先生がおっしゃられました」
誤り(二重敬語)。「おっしゃいました」。
⑧「ちょっと待って」を先生に
第二段階へ。「少しお待ちください」。
⑨「お説明します」
誤り(お/ご)。漢語なので「ご説明します」。
⑩「読ませていただきます」(自分で読むだけ)
過剰。許可の動作ではないので「読みます」「拝読します」。
紛らわしい組の見分け
| 組 | 見分け |
|---|---|
| 尊敬語 vs 謙譲語 | 動作主(相手側↑/自分側↓) |
| 丁寧語 vs 尊敬語 | 「ます」は誰にでも、「いらっしゃる」は相手の動作だけ |
| 伺う vs 参る | 向かう相手がある/ない |
| お〜になる vs お〜する | 語尾(になる=相手↑/する=自分↓) |
| 美化語 vs 尊敬の「お」 | 誰の物でも付く/相手の物だけ |
| 内 vs 外 | 聞き手から見て同じグループか |
判定が遅いときの原因
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| 特別な形を覚えていない | 対の表(いらっしゃる/伺う…)を声に出して三回 |
| 動作主を確かめていない | 「〜が」を探してから判定 |
| 聞き手を確かめていない | 内と外は聞き手で決まる |
よくある間違い
語の見た目で種類を決める
「伺う」も「いらっしゃる」も丁寧に見えます。動作主で決めます。
内と外を話題の人物の身分で決める
校長でも、聞き手が外なら内です。
判定して満足する
判定は手段です。次のレッスンで、判定を使って文全体を組み立てます。
自分で確かめよう
確認1:三つの敬語の記号
尊敬語:相手↑。謙譲語:自分↓。丁寧語:聞き手→丁寧。
確認2:内と外を決めるもの
聞き手(話題の人物が聞き手と同じグループなら外、違えば内)。
確認3:十問のうち、誤りだったもの
⑥(逆転・混在)、⑦(二重敬語)、⑨(お/ご)、⑩(過剰)。
まとめと次の一歩
コース全体は、四つの問い、三つの敬語と記号、内と外、三段階、の一枚の表にまとまります。紛らわしい組は動作主・語尾・聞き手で分けます。
次のレッスンでは、各セクションの手順を一つの流れに統合し、一つの場面から発話を組み立てる手順を通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。