丁寧語の基本:人物関係と働きをつかむ
このレッスンの役割
三つの敬語のうち、最も使う回数が多いのが丁寧語です。「です・ます」は誰の動作にも付けられ、聞き手への丁寧さを表します。ここでは、丁寧語の働きと、丁寧語だけで足りる場面・足りない場面をつかみます。
今回の中心技能は、丁寧語が「聞き手→丁寧」の働きであり、動作主を高めも低めもしないことを理解し、丁寧語の形を正しく作れることです。目安時間は8分です。
今日の問い
①私は行く。 ②私は行きます。 ③先生は行く。 ④先生は行きます。
②と④は、どちらも丁寧語です。動作主が私でも先生でも、「ます」の働きは同じで、聞き手に丁寧に言っているだけです。④は先生の動作を高めてはいません。先生を高めるには「いらっしゃいます」(尊敬語)が要ります。
丁寧語の定義
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 働き | 聞き手に対して丁寧に述べる |
| 記号 | 聞き手→丁寧 |
| 動作主 | 誰でも(自分側でも相手側でも) |
| 形 | です、ます、ございます |
丁寧語は「誰の動作か」に関係なく、「誰に話しているか」で決まります。
丁寧語の形
| 普通の形 | 丁寧語 | さらに丁寧 |
|---|---|---|
| 〜だ | 〜です | 〜でございます |
| 〜する | 〜します | 〜いたします(謙譲) |
| ある | あります | ございます |
| 〜ではない | 〜ではありません | 〜ではございません |
| 〜か | 〜ですか、〜ますか | 〜でございますか |
「ございます」は「あります」「です」をさらに丁寧にした形で、店や式典で使います。日常の会話では「です・ます」で十分です。
美化語:お・ご
| 普通 | 美化語 |
|---|---|
| 茶 | お茶 |
| 金 | お金 |
| 飯 | ご飯 |
| 菓子 | お菓子 |
「お茶」「ご飯」は、物を上品に言う美化語で、相手を高めてはいません。「先生のお茶」も「私のお茶」も同じ形です。相手を高める「お・ご」(先生のご本、お名前)とは区別します。
丁寧語だけで足りる場面・足りない場面
| 場面 | 丁寧語だけで | 理由 |
|---|---|---|
| 自分の動作を目上に報告 | 足りる(行きます) | 向かう相手がなければ謙譲語は不要 |
| 自分の動作が目上に向かう | 足りない(伺います) | 謙譲語が要る |
| 目上の動作を述べる | 足りない(いらっしゃいます) | 尊敬語が要る |
| 友人との会話 | 不要 | 丁寧語自体が距離を作る |
例題:丁寧語で足りるか
(先生に)明日、図書館で勉強します。
足りる。動作主は私、向かう相手なし、聞き手は先生。「します」で十分。
(先生に)先生の本を、明日返します。
足りない。「返す」は先生に向かう動作なので「お返しします」(謙譲語)。
よくある間違い
「ます」を付ければ目上の動作も敬語になったと思う
「先生が言いました」は丁寧語だけです。先生の動作には「おっしゃいました」。
「お」を付ければ相手を高めたと思う
「お茶」「お金」は美化語で、誰の物でも同じ形です。
友人に「です・ます」で話すのが正しいと思う
丁寧語は距離を作ります。親しい相手には普通の形が自然です。
自分で確かめよう
確認1:丁寧語の働きと記号
聞き手に対して丁寧に述べる。聞き手→丁寧。
確認2:「先生が言いました」に足りないもの
尊敬語(おっしゃいました)。「ました」は丁寧語だけ。
確認3:「お茶」の「お」は相手を高めていますか
高めていない(美化語)。
まとめと次の一歩
丁寧語は聞き手への丁寧さで、動作主が誰でも使え、高めも低めもしません。形は「です・ます・ございます」、美化語の「お・ご」は物を上品にするだけです。
次のレッスンでは、丁寧語の形を正しく作り、「ございます」を使う場面を選ぶ手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。