敬語と言葉遣いマスターチェック:不自然な表現を直す
このレッスンの役割
各セクションで四つずつ学んだ誤りの型は、全部で五十以上あります。ここでは、それらを四つの大きな型にまとめ、自分がどの型で落としやすいかを診断します。型が分かれば、直し方は一つに決まります。
今回の中心技能は、自分の誤答を見て、四つの大きな型のどれかを言い、対応する直し方を即座に使えることです。目安時間は10分です。
四つの大きな型
| 大きな型 | 内容 | 含まれるセクションの型 |
|---|---|---|
| Ⅰ 向きの誤り | 相手と自分、内と外を取り違える | 自分側に尊敬語、相手側に謙譲語、「〜に」を動作主に、くださる/いただく、外の人に内の人を高める、お〜してください |
| Ⅱ 形の誤り | 語の形そのものが誤り | 二重敬語、特別な形の無視、お/ご、おっしゃります、さ入れ・ら抜き、動詞に「です」 |
| Ⅲ 段階の誤り | 相手・場面と丁寧さが合わない | 上げすぎ、下げすぎ、軸の不ぞろい、させていただくの乱用、話し言葉の混入、場面の変化に無反応 |
| Ⅳ 組み立ての誤り | 用件の構造が崩れている | 本文がない、曖昧な断り、結論の遅れ、質問とのずれ、名乗り・件名の欠落、頭語と結語 |
型Ⅰ:向きの誤りの直し方
| 直し方 | 使う場面 |
|---|---|
| 動詞ごとに「〜が」を探して動作主を書く | 尊敬・謙譲の選択 |
| 聞き手は誰か、話題の人物は同じグループか | 内と外 |
| 主語が相手なら「くださる」、私なら「いただく」 | 〜てくださる/〜ていただく |
| 相手の動作は「お〜ください」、自分の動作は「お〜する」 | 混在 |
一言で言えば、「動作主と聞き手を確かめる」。
型Ⅱ:形の誤りの直し方
| 直し方 | 使う場面 |
|---|---|
| 特別な形の対の表を使う | お言いになる → おっしゃる |
| 敬語は一つの動詞に一つ | おっしゃられる → おっしゃる |
| 和語に「お」、漢語に「ご」(例外を覚える) | お説明 → ご説明 |
| 「おっしゃいます」「いらっしゃいます」の活用 | おっしゃります |
| 五段動詞に「せる」、上一段・下一段に「られる」 | 学ばさせて、見れる |
一言で言えば、「表で正しい形を引く」。
型Ⅲ:段階の誤りの直し方
| 直し方 | 使う場面 |
|---|---|
| 相手と場面で三段階を決める | 友人/先生/初対面、式典 |
| 四つの軸(文末・呼称・形・語彙)をそろえる | 不ぞろい |
| 「させていただく」は許可の動作だけ | 乱用 |
| 話し言葉の置き換え表 | この前、すごく、〜って |
一言で言えば、「段階を決めて四つの軸をそろえる」。
型Ⅳ:組み立ての誤りの直し方
| 直し方 | 使う場面 |
|---|---|
| 前置き+本文+補い | 依頼・質問・断り |
| 結論・理由・具体例・結び | 面接 |
| 件名・名乗り・挨拶・用件・結び | メール・手紙・電話 |
| お詫び+明確な断り+代案 | 断り |
一言で言えば、「型に当てはめて部分を埋める」。
自己診断
次の六つの誤答を見て、大きな型を答えてから開いてください。
①(面接官に)「母がおっしゃっていました」
Ⅰ 向きの誤り(内の人を高めた)。「母が申しておりました」。
②「校長先生がおっしゃられた」
Ⅱ 形の誤り(二重敬語)。「おっしゃった」。
③(友人に)「ノートを拝借できますでしょうか」
Ⅲ 段階の誤り(上げすぎ)。「ノート貸して」。
④(先生に)「推薦書のことなんですけど…」で終わる
Ⅳ 組み立ての誤り(本文がない)。「書いていただけないでしょうか」を加える。
⑤「お客様がお書きしてください」
Ⅰ 向きの誤り(混在)。「お書きください」。
⑥(面接で)「えっと、自分は、部活とかやってて」
Ⅲ 段階の誤り(話し言葉、場面に無反応)。「はい。私は部活動に取り組んでおり」。
同じ型が二つ以上あれば、それが自分の弱点です。
弱点ごとの戻り先
| 弱点 | 戻るセクション |
|---|---|
| Ⅰ 向きの誤り | 尊敬語と謙譲語を見分けよう、内と外、お・ご〜になる/する |
| Ⅱ 形の誤り | 特別な形の敬語、お・ご〜になる/する、不自然な敬語 |
| Ⅲ 段階の誤り | 場面に合う表現、電話・手紙・メール、面接 |
| Ⅳ 組み立ての誤り | 依頼・質問・断り、電話・手紙・メール、面接 |
よくある間違い
誤答を「うっかり」で済ませる
うっかりにも型があります。型を言えれば、同じ落とし方をしなくなります。
直し方を全部覚えようとする
大きな型ごとに一言(動作主と聞き手、表で引く、段階と軸、型に当てはめる)で足ります。
弱点を一つに決めない
診断で二つ以上同じ型があれば、そこを優先します。
自分で確かめよう
確認1:四つの大きな型
向きの誤り、形の誤り、段階の誤り、組み立ての誤り。
確認2:型Ⅰの直し方を一言で
動作主と聞き手を確かめる。
確認3:型Ⅲの直し方を一言で
段階を決めて四つの軸をそろえる。
まとめと次の一歩
誤りは、向き・形・段階・組み立て、の四つの大きな型にまとまります。自己診断で弱点の型を決め、一言の直し方と戻り先のセクションで練習します。
次のレッスンは、コースの出口です。入試形式の総合問題と模擬面接で、全部を一度に使います。
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