場面に合う表現を選ぼう:不自然な表現を直す
このレッスンの役割
場面に合わない表現の誤りは、段階の上げすぎ、下げすぎ、四つの軸がそろっていない、場面が変わったのに言葉が変わらない、の四つに分けられます。ここでは、それぞれを型に分け、直します。
今回の中心技能は、場面に合わない表現を見て四つの型のどれかを言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
(先生に)「先生、お忙しいところ誠に恐縮でございますが、この前のプリント、もう一回もらえますか。」
前半は第三段階(誠に恐縮でございますが)、後半は第一〜二段階(この前、もう一回、もらえますか)。軸がそろっていません(型③)。先生なら第二段階にそろえます。「先生、お忙しいところすみませんが、先日のプリントをもう一度いただけますか。」
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 上げすぎ | 友人・家族に第二〜三段階 | (友人に)少々お待ちくださいませ | 相手に合わせて下げる |
| ② 下げすぎ | 目上・外部に第一段階 | (先生に)ちょっと待って | 相手に合わせて上げる |
| ③ 軸の不ぞろい | 文末は丁寧、語彙は話し言葉(またはその逆) | 誠に恐縮でございますが、もう一回 | 四つの軸を同じ段階に |
| ④ 場面の変化に無反応 | 休み時間の言葉を式典・面接で使う | 式典で「〜じゃないですか」 | 場面が改まれば一段上げる |
型①を直す:下げる
| 上げすぎ | 相手 | 直し |
|---|---|---|
| 少々お待ちくださいませ | 友人 | ちょっと待って |
| ご確認いただけますでしょうか | 友人 | 見といて |
| お父様はいらっしゃいますか | 自分の父について友人に | お父さんいる? |
型②を直す:上げる
| 下げすぎ | 相手 | 直し |
|---|---|---|
| ちょっと待って | 先生 | 少しお待ちください |
| これ見て | 先生 | これを見ていただけますか |
| 了解 | 先生 | 承知しました |
| どうも | 初対面 | ありがとうございます |
型③を直す:四つの軸の点検
| 軸 | 第二段階の形 |
|---|---|
| 文末 | です、ます |
| 呼称 | 〇〇先生 |
| 依頼の形 | 〜していただけますか |
| 語彙 | 先日、もう一度、少し |
一つでも段階が違えば不ぞろい。表で横に見て、同じ列にそろえます。
型④を直す:場面で上げる
| 場面 | 段階 |
|---|---|
| 休み時間に先生と | 第二 |
| 式典で先生に挨拶 | 第三 |
| 面接 | 第三 |
| 職員室で改まった相談 | 第二〜三 |
相手が同じでも、場面が公的になれば上げます。
例題:どの型か
(初対面の見学先で)「どうも、〇〇中学の田中です。今日はよろしくです。」
型②④。「〇〇中学校の田中と申します。本日はよろしくお願いいたします。」
(友人に)「昨日はお手伝いいただき、誠にありがとうございました。」
型①。「昨日は手伝ってくれてありがとう。」ただし、わざと言っているなら冗談や皮肉。
よくある間違い
丁寧にしておけば失礼にならないと思う
上げすぎは距離を作り、相手を遠ざけます。型①も誤りです。
敬語の形を変えれば十分だと思う
語彙(この前、もう一回)が残ると不ぞろいです。四つの軸を点検します。
相手が同じなら言葉も同じだと思う
場面で変わります。式典・面接は一段上。
自分で確かめよう
確認1:「誠に恐縮でございますが、もう一回もらえますか」の誤りの型と直し方
型③(軸の不ぞろい)。「すみませんが、もう一度いただけますか」と第二段階にそろえる。
確認2:友人に「少々お待ちくださいませ」の型
型①(上げすぎ)。
確認3:休み時間と式典で先生への言葉が変わる理由
場面が改まると段階を一段上げるから(型④を防ぐ)。
まとめと次の一歩
誤りは、上げすぎ、下げすぎ、軸の不ぞろい、場面の変化に無反応、の四つに分けられます。相手で上げ下げ、四つの軸をそろえる、場面で一段上げる、で直せます。
次のレッスンでは、入試形式の「〜に言う形に直せ」「適切な表現を選べ」で、場面に合う表現の選択を通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。