電話・手紙・メールの言葉:動作主と向きで選ぶ
このレッスンの役割
前のレッスンで、三つの手段と四つの部分を知りました。ここでは、場面から手段を選び、四つの部分を順に書き起こし、最後に言葉を点検する手順を一つに決めます。入試の「メールを書け」「手紙を完成させよ」は、この手順で解けます。
今回の中心技能は、「相手と用件から手段を選ぶ → 件名または名乗りを決める → 挨拶・用件・結びを順に書く → 話し言葉を書き言葉に直し敬語を点検する」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
職場体験でお世話になった店の店長に、お礼を伝えたい。
手順で組み立てます。手段:改まったお礼なので手紙(メールでも可)。名乗り:〇〇中学校二年の田中。挨拶・用件・結び:「拝啓 秋も深まってまいりました。先日の職場体験では、大変お世話になりました。〜(用件:学んだこと)〜。今後ともよろしくお願いいたします。敬具」。点検:「すごく」→「とても」、「この前」→「先日」。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 相手と用件から手段を選ぶ | お礼・外部 → 手紙 |
| 2 | 件名または名乗りを決める | 〇〇中学校二年 田中(末尾) |
| 3 | 挨拶・用件・結びを順に書く | 拝啓〜敬具 |
| 4 | 話し言葉を書き言葉に直し、敬語を点検する | 先日、とても、お世話になりました |
段階1:手段の選び方
| 用件 | 相手 | 手段 |
|---|---|---|
| 急ぎの確認 | 誰でも | 電話 |
| 改まったお礼・お詫び | 外部、目上 | 手紙 |
| 日程の連絡、資料の送付 | 先生、外部 | メール |
| 親しい相手への連絡 | 友人 | メッセージ(本コースの対象外) |
段階2:件名と名乗り
| 手段 | 位置 | 形 |
|---|---|---|
| メール | 件名+冒頭 | 件名「職場体験のお礼(〇〇中学校 田中)」/本文冒頭「〇〇中学校二年の田中です」 |
| 手紙 | 末尾 | 日付、署名、宛名 |
| 電話 | 冒頭 | 「〇〇中学校の田中と申します」 |
メールの件名には、用件と差出人を入れると親切です。
段階3:三つの部分の定型
| 部分 | 手紙 | メール |
|---|---|---|
| 挨拶 | 拝啓 〇〇の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます | お世話になっております |
| 用件 | さて、先日は〜。〜(具体的に)〜 | 〜について、ご連絡しました。〜 |
| 結び | 今後ともよろしくお願いいたします。敬具 | お手数ですが、よろしくお願いいたします |
手紙の「拝啓」には「敬具」、「前略」には「草々」が対応します。
段階4:点検の表
| 点検 | 直す |
|---|---|
| 話し言葉 | 〜って→〜は、すごく→とても、この前→先日 |
| 敬語の向き | 店長の動作は尊敬語(教えてくださった)、自分の動作は謙譲語(伺いました) |
| 内と外 | 外部の人に自校の先生を「〇〇先生」と書かない |
| 文の長さ | 一文を四十字程度に |
例題:メールを書く
先生に、明日の委員会の資料をメールで送る。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 資料の送付 → メール |
| 2 | 件名「明日の委員会の資料(二年一組 田中)」/冒頭「二年一組の田中です」 |
| 3 | お世話になっております。明日の委員会の資料をお送りします。ご確認いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。 |
| 4 | 「送ります」→「お送りします」(謙譲)、「見てください」→「ご確認いただけますと幸いです」 |
電話の手順の違い
電話は書けないので、段階3を「名乗り → 相手の確認 → 用件 → 復唱 → 結び」の順に口で言います。用件を言う前に「今、お時間よろしいでしょうか」を入れると丁寧です。
よくある間違い
段階1で急ぎの用件をメールで送る
メールは相手がいつ読むか分かりません。急ぎは電話。
段階3で挨拶を省いて用件から始める
メールでも「お世話になっております」の一行は入れます。
段階4を省いて話し言葉のまま送る
「この前はありがとうございました」は「先日は」。送る前に読み返します。
自分で確かめよう
確認1:先生に資料を送るメールの件名の例
「明日の委員会の資料(二年一組 田中)」(用件+差出人)。
確認2:「拝啓」に対応する結語
敬具。
確認3:電話で用件の前に入れる一言
「今、お時間よろしいでしょうか。」
まとめと次の一歩
手順は、手段を選ぶ、件名・名乗り、挨拶・用件・結び、書き言葉と敬語の点検、の四段階です。メールは件名と冒頭の名乗り、手紙は頭語・結語、電話は名乗りと復唱が要点です。
次のレッスンでは、電話・手紙・メールでよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。