LESSON 01

化政文化と学問の広がり

本居宣長はなぜ古典を読み直したのか

国学と『古事記伝』を通して、中国思想の枠だけに頼らず日本の古典・言葉を研究した目的を学びます。

このレッスンの役割

ここまでは江戸庶民の文化を扱いました。ここからは学問の広がりです。最初に、日本の古典を研究した国学を学びます。

中心技能は、国学を「昔を大切にした」で終わらず、古い言葉を丁寧に読み、後世の考えを取り除こうとした研究方法として説明することです。

国学は何を研究したのか

江戸時代の学問では、中国から伝わった儒学・朱子学が大きな力をもちました。国学者は、日本の古典・古い言葉・神話・歌を研究し、古代の人々の感じ方や考え方を知ろうとしました。

主な研究対象 読み取ろうとしたこと
『古事記』 神話・古代の社会と心
『万葉集』 古い日本語、歌、感情
『源氏物語』 人の心、物語表現
古い言葉 後世と異なる意味・用法

本居宣長と『古事記伝』

本居宣長は、長い年月をかけて『古事記』を研究し、『古事記伝』を著しました。

古い文をそのまま現代の感覚で読むのではなく、当時の言葉の意味、表記、他の古典を比較します。宣長は、中国思想の理屈だけで古典を判断せず、日本古来の心を明らかにしようとしました。

「もののあはれ」

宣長は、人が物事に触れて感じるしみじみとした感情を「もののあはれ」と捉え、『源氏物語』などを評価しました。

これは「悲しい話」という一語ではありません。うれしさ、悲しさ、恋しさ、移ろいへの感動など、人の心の動きを理解する考えです。

後の時代への影響

国学は古典研究を深める一方、日本の神々や天皇を重視する思想へもつながりました。幕末の政治思想へ影響します。

ただし、宣長がただちに幕府を倒す運動をしたと考えるのは飛躍です。学問の内容と、後世の政治的利用を区別します。

よくある間違い

「国学は外国語の勉強」「宣長は蘭学者」「古事記伝は古事記そのもの」は誤りです。『古事記伝』は『古事記』を研究・注釈した著作です。

自分で確かめよう

確認1:国学の主な研究対象は何ですか『古事記』『万葉集』『源氏物語』など日本の古典・古い言葉です。
確認2:本居宣長の代表的な著作は何ですか『古事記伝』です。
確認3:国学が後に政治思想へ影響したことをどう説明しますか古典研究から日本の神々や天皇を重視する考えが育ち、幕末の思想へ影響しました。ただし宣長自身の研究と後世の運動は区別します。

次は蘭学を学び、オランダ語の本を実証的に読み解いた方法を見ます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。