このレッスンの役割
ここまでは江戸庶民の文化を扱いました。ここからは学問の広がりです。最初に、日本の古典を研究した国学を学びます。
中心技能は、国学を「昔を大切にした」で終わらず、古い言葉を丁寧に読み、後世の考えを取り除こうとした研究方法として説明することです。
国学は何を研究したのか
江戸時代の学問では、中国から伝わった儒学・朱子学が大きな力をもちました。国学者は、日本の古典・古い言葉・神話・歌を研究し、古代の人々の感じ方や考え方を知ろうとしました。
| 主な研究対象 | 読み取ろうとしたこと |
|---|---|
| 『古事記』 | 神話・古代の社会と心 |
| 『万葉集』 | 古い日本語、歌、感情 |
| 『源氏物語』 | 人の心、物語表現 |
| 古い言葉 | 後世と異なる意味・用法 |
本居宣長と『古事記伝』
本居宣長は、長い年月をかけて『古事記』を研究し、『古事記伝』を著しました。
古い文をそのまま現代の感覚で読むのではなく、当時の言葉の意味、表記、他の古典を比較します。宣長は、中国思想の理屈だけで古典を判断せず、日本古来の心を明らかにしようとしました。
「もののあはれ」
宣長は、人が物事に触れて感じるしみじみとした感情を「もののあはれ」と捉え、『源氏物語』などを評価しました。
これは「悲しい話」という一語ではありません。うれしさ、悲しさ、恋しさ、移ろいへの感動など、人の心の動きを理解する考えです。
後の時代への影響
国学は古典研究を深める一方、日本の神々や天皇を重視する思想へもつながりました。幕末の政治思想へ影響します。
ただし、宣長がただちに幕府を倒す運動をしたと考えるのは飛躍です。学問の内容と、後世の政治的利用を区別します。
よくある間違い
「国学は外国語の勉強」「宣長は蘭学者」「古事記伝は古事記そのもの」は誤りです。『古事記伝』は『古事記』を研究・注釈した著作です。
自分で確かめよう
確認1:国学の主な研究対象は何ですか
『古事記』『万葉集』『源氏物語』など日本の古典・古い言葉です。確認2:本居宣長の代表的な著作は何ですか
『古事記伝』です。確認3:国学が後に政治思想へ影響したことをどう説明しますか
古典研究から日本の神々や天皇を重視する考えが育ち、幕末の思想へ影響しました。ただし宣長自身の研究と後世の運動は区別します。次は蘭学を学び、オランダ語の本を実証的に読み解いた方法を見ます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。