LESSON 01

享保の改革と幕府財政

「米将軍」吉宗は米価と飢饉にどう向き合ったのか

米価調整と享保の大飢饉を通して、米中心の財政が抱えた矛盾と救荒策を理解します。

このレッスンの役割

これまでの政策で幕府収入を増やし、行政を整える方法を学びました。ここでは、数字上の財政改善だけでは解けない米価と人々の生活を考えます。

中心技能は、米価の上昇・下落が、農民・武士・都市住民へ異なる影響を与えることを説明することです。

米価は高い方がよいのか

米を売って収入を得る幕府・武士にとって、米価が低すぎると得られる貨幣が減ります。しかし米を買って食べる都市住民にとって、米価が高すぎると生活が苦しくなります。

米価 幕府・武士 米を買う都市住民
下がる 米を売って得る貨幣が減る 米を買いやすくなる
上がる 同じ米から多くの貨幣を得やすい 食費が増え生活が苦しくなる

農民も、米を売る立場と年貢・自家消費の条件で影響が異なります。「全員にとって最適な米価」は簡単には決まりません。

なぜ「米将軍」と呼ばれたのか

吉宗は年貢米の確保や米価の安定に力を入れました。そのため「米将軍」「米公方」と呼ばれます。

これは米を好んだという意味ではなく、米が幕府財政と武士の収入の中心で、米価問題に繰り返し対応したことを表します。

享保の大飢饉

1732年ごろ、西日本を中心に天候不順や害虫などで米が不作となり、享保の大飢饉が起きました。米が不足して価格が上がり、多くの人が飢えに苦しみました。

飢饉は自然現象だけで説明できません。

不作 → 食料供給が減る → 米価が上がる → 貯えや現金の少ない人ほど買えない → 流通・救済・年貢の対応によって被害が変わる

社会の仕組みが被害の大きさに影響します。

救荒作物と青木昆陽

幕府は飢饉への備えとして、やせた土地でも育ちやすい甘藷の栽培を研究・奨励しました。青木昆陽がその普及に関わった人物として知られます。

ただし、一つの作物だけで飢饉がなくなったわけではありません。備蓄、流通、救済、年貢調整など複数の対策が必要です。

よくある間違い

「米価が上がれば農民を含む全員が得をする」「飢饉は雨が少ないと必ず起こる」は誤りです。立場による違いと、自然・経済・政治の重なりを見ます。

自分で確かめよう

確認1:米価が下がると武士が困る理由は何ですか俸禄の米を売って得られる貨幣が減るからです。
確認2:米価が上がると都市住民が困る理由は何ですか主食の購入費が増え、特に貧しい人ほど買えなくなるからです。
確認3:飢饉の被害が自然だけで決まらない理由は何ですか備蓄、流通、物価、救済、年貢など社会の対応で被害が変わるからです。

次は全政策を問題と手段で組み合わせ、享保の改革を成果と限界の両面から評価します。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。