このレッスンの役割
これまでの政策で幕府収入を増やし、行政を整える方法を学びました。ここでは、数字上の財政改善だけでは解けない米価と人々の生活を考えます。
中心技能は、米価の上昇・下落が、農民・武士・都市住民へ異なる影響を与えることを説明することです。
米価は高い方がよいのか
米を売って収入を得る幕府・武士にとって、米価が低すぎると得られる貨幣が減ります。しかし米を買って食べる都市住民にとって、米価が高すぎると生活が苦しくなります。
| 米価 | 幕府・武士 | 米を買う都市住民 |
|---|---|---|
| 下がる | 米を売って得る貨幣が減る | 米を買いやすくなる |
| 上がる | 同じ米から多くの貨幣を得やすい | 食費が増え生活が苦しくなる |
農民も、米を売る立場と年貢・自家消費の条件で影響が異なります。「全員にとって最適な米価」は簡単には決まりません。
なぜ「米将軍」と呼ばれたのか
吉宗は年貢米の確保や米価の安定に力を入れました。そのため「米将軍」「米公方」と呼ばれます。
これは米を好んだという意味ではなく、米が幕府財政と武士の収入の中心で、米価問題に繰り返し対応したことを表します。
享保の大飢饉
1732年ごろ、西日本を中心に天候不順や害虫などで米が不作となり、享保の大飢饉が起きました。米が不足して価格が上がり、多くの人が飢えに苦しみました。
飢饉は自然現象だけで説明できません。
不作 → 食料供給が減る → 米価が上がる → 貯えや現金の少ない人ほど買えない → 流通・救済・年貢の対応によって被害が変わる
社会の仕組みが被害の大きさに影響します。
救荒作物と青木昆陽
幕府は飢饉への備えとして、やせた土地でも育ちやすい甘藷の栽培を研究・奨励しました。青木昆陽がその普及に関わった人物として知られます。
ただし、一つの作物だけで飢饉がなくなったわけではありません。備蓄、流通、救済、年貢調整など複数の対策が必要です。
よくある間違い
「米価が上がれば農民を含む全員が得をする」「飢饉は雨が少ないと必ず起こる」は誤りです。立場による違いと、自然・経済・政治の重なりを見ます。
自分で確かめよう
確認1:米価が下がると武士が困る理由は何ですか
俸禄の米を売って得られる貨幣が減るからです。確認2:米価が上がると都市住民が困る理由は何ですか
主食の購入費が増え、特に貧しい人ほど買えなくなるからです。確認3:飢饉の被害が自然だけで決まらない理由は何ですか
備蓄、流通、物価、救済、年貢など社会の対応で被害が変わるからです。次は全政策を問題と手段で組み合わせ、享保の改革を成果と限界の両面から評価します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。