このレッスンの役割
このセクションの出口です。享保の改革の政策を、ばらばらな用語ではなく「問題→政策→効果→限界」の形で統合します。
完成の目安は、吉宗を「よい将軍」「厳しい将軍」と感想で評価せず、資料を二つ以上使って成果と限界を説明することです。
政策を問題へつなぐ
政策の対応表
| 問題 | 政策 | 期待した効果 | 限界・負担 |
|---|---|---|---|
| 支出が多い | 倹約令 | 支出削減 | 消費・商業を弱めうる |
| 米収入が足りない | 上米の制 | 大名から一時的に米を得る | 恒久策ではない |
| 年貢を増やしたい | 新田開発・定免法 | 耕地・収入増、収入安定 | 凶作時も農民負担が重い |
| 人材を使いたい | 足高の制 | 低い俸禄でも登用 | 身分制の範囲内 |
| 行政を整えたい | 目安箱・公事方御定書 | 情報収集・裁判基準 | 民主政治や権利保障ではない |
| 病気・飢饉 | 養生所・甘藷奨励 | 救済と備え | 貧困・飢饉を解消しきれない |
資料を読む順番
- 年貢量・幕府収入のグラフなら、増減の時期を見る
- 法令なら、だれへ何を命じているか読む
- 米価資料なら、だれに有利・不利か分ける
- 百姓一揆や投書なら、政策の負担・不足を考える
- 一つの資料だけで改革全体を断定しない
入試記述
問題:享保の改革の成果と限界を、年貢政策にふれて説明しなさい。
解答例:新田開発や定免法によって幕府の年貢収入を増やし安定させ、財政を改善したが、凶作の年にも固定された年貢負担が農民を苦しめるなどの限界があった。
改革を評価する二つの軸
- 財政・行政は安定したか
- 人々の生活は安定したか
この二軸は一致しないことがあります。幕府の収入が増えても、農民の負担が重くなれば、政策には別の評価が必要です。
よくある間違い
「改革は成功か失敗か一語で答える」「すべての政策を財政政策とする」は不十分です。政策ごとに目的と結果を示し、成果と限界を分けます。
自分で確かめよう
確認1:支出削減と収入増加の政策を一つずつ言えますか
支出削減は倹約令、収入増加は上米の制・新田開発・定免法などです。確認2:行政を整えた政策を二つ挙げられますか
足高の制、目安箱、公事方御定書などから二つです。確認3:享保の改革を成果と限界の両方から説明できますか
幕府財政と行政を立て直した一方、年貢負担や米価・飢饉など人々の生活問題を解消しきれませんでした。セクションのまとめ
徳川吉宗は、倹約、上米、新田開発、定免法によって財政を立て直し、足高、目安箱、法整備、救済策で行政の改善も進めました。しかし米を基礎とする財政の矛盾や農民負担、飢饉への弱さは残りました。
次のセクションでは、商業の力を財政へ取り込もうとした田沼意次と、倹約・農村復興を重視した松平定信を比較します。
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