LESSON 01

世界恐慌はなぜ広がった?

保護貿易とブロック経済はなぜ世界貿易を縮めたのか

関税と経済ブロックが自国保護を目指しながら、相手国の輸出も奪った仕組みを考えます。

このレッスンの役割

前回は、融資と貿易のつながりが恐慌を世界へ広げたと学びました。今回は、各国が自国を守ろうとした政策が、世界全体では不況を深めた理由を考えます。

中心技能は、関税引き上げと報復の連鎖から世界貿易の縮小を説明することです。次は、アメリカが国内の需要と信頼を立て直そうとしたニューディール政策へ進みます。

おすすめの学び方

一国だけを見ず、「自国には利益でも、相手国が同じ行動をしたらどうなるか」と考えましょう。

関税を上げる目的

関税は、外国から輸入する商品にかける税です。輸入品の価格が高くなれば、国内の商品が売れやすくなります。不況で仕事を守りたい政府にとって、関税引き上げは分かりやすい対策でした。

しかし、輸出する側から見れば商品が売れなくなります。その国も自国産業を守るため関税を上げれば、双方の輸出が減ります。

段階 一国の判断 世界全体への影響
1 輸入品へ高い関税をかける 相手国の輸出が減る
2 相手国も報復関税をかける 自国の輸出も減る
3 各国が同じ行動を取る 世界貿易が縮小する
4 輸出産業が生産を減らす 失業と所得減少が広がる

ブロック経済とは

イギリスやフランスなどは、本国と植民地・自治領を中心に経済圏をつくり、その内部の貿易を優先しました。これをブロック経済と呼びます。

ブロック内の国や地域には市場を確保する効果がありました。一方、広い植民地を持たないドイツ、イタリア、日本などは、資源や市場を得にくいという不満を強めました。それが侵略を正当化する理由として利用されていきます。

ただし、「ブロック経済が自動的に戦争を起こした」と一本の原因にしないようにします。独裁体制、軍拡、民族主義、外交の失敗なども重なりました。

一人ひとりには合理的でも、全体では悪化する

ある国が輸入を減らせば、その国の資金が国外へ出るのを抑えられます。しかし、すべての国が輸入を減らすと、すべての国が輸出先を失います。

これは、個別には合理的に見える行動が、全員で行うと望ましくない結果になる例です。資料問題では「政策の目的」と「実際の結果」を分けて読みましょう。

よくある間違い

「保護貿易は必ず悪い政策」と決めつけるのは不正確です。幼い産業や雇用を守る役割を持つ場合もあります。ここで問うのは、恐慌時に各国が協調せず、報復を重ねた結果です。

自分で確かめよう

確認1:関税を上げると国内商品が売れやすくなるのはなぜ? 輸入品へ税が加わって価格が上がり、国内商品との価格差が小さくなるからです。
確認2:報復関税が続くと、なぜ自国も困る? 自国の商品も外国で売れにくくなり、輸出企業の生産と雇用が減るからです。
確認3:ブロック経済と国際対立の関係を説明しよう 植民地を含む経済圏を持つ国が市場と資源を囲い込み、持たない国の不満を強め、対外膨張の主張に利用されました。

まとめと次の一歩

関税とブロック化は自国を守る目的で進みましたが、報復と排除によって世界貿易を縮めました。次は、アメリカが政府の役割を広げて不況へ向き合った政策を見ます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。