このレッスンの役割
前回は、1920年代の繁栄の内側に格差や借金への依存があったと確認しました。今回は、株価が企業の実力以上に上がり、1929年に急落した仕組みを学びます。
中心技能は、株価上昇と急落を「期待・借金・一斉売却」の三つで説明することです。次は、株価の下落が銀行・企業・失業へどう伝わったかを扱います。
おすすめの学び方
「1929年=世界恐慌」と年号だけで覚えず、価格が上がる理由と下がる理由を同じ図で追いましょう。
株価は何で決まる?
株式は、企業の一部を持つ権利です。企業の利益が今後増えると予想する人が多ければ、その株を買いたい人が増え、株価は上がりやすくなります。
投資は、企業の事業や将来性を考えて資金を出す行為です。投機は、価格の変化そのものから利益を得ようとする行為です。境界は完全には分かれませんが、「企業がどれだけ利益を生むか」より「もっと高く売れるはずだ」という期待だけが強くなると、価格は実力から離れやすくなります。
借金で株を買うと何が起きる?
少ない自己資金と借金で株を買う信用買いが広がりました。
| 株価の動き | 自己資金だけで買った場合 | 借金も使った場合 |
|---|---|---|
| 上昇 | 利益が出る | 少ない元手でも大きな利益になりうる |
| 下落 | 損失が出る | 損失に加えて返済が残る |
| 急落 | 売るか持つか選びやすい | 返済のため売却を迫られやすい |
借金を使うと、上昇時の利益だけでなく下落時の損失も大きくなります。値下がりすると、返済するために株を売る人が増えます。売る人が増えると株価はさらに下がり、別の人も売らざるを得なくなります。
1929年の株価急落
1929年10月、ニューヨークの株式市場で株価が大きく下がりました。将来への期待が不安に変わると、多くの人が一斉に売ろうとしました。
ただし、株価急落だけが世界恐慌の唯一の原因ではありません。すでに過剰生産、所得格差、農業不振、銀行制度の弱さなどがありました。急落は、それらの弱点を一度に表面化させた大きなきっかけです。
よくある間違い
「株が下がったので、世界中の会社がその日に倒産した」と考えるのは誤りです。影響は、資産の減少、銀行の損失、融資の減少、企業活動の縮小という経路を通って広がりました。
自分で確かめよう
確認1:信用買いは、なぜ下落を大きくしやすい?
値下がり時に借金返済のため売却を迫られる人が増え、その売却がさらに値下がりを招くからです。確認2:株価急落だけを世界恐慌の唯一の原因といえる?
いえません。過剰生産、格差、農業不振、銀行の弱さなど複数の条件が重なっていました。確認3:投機と投資の違いを、自分の言葉で説明しよう
例:企業の事業や利益を考えて資金を出す面が投資、短期的な値上がりを主に期待して売買する面が投機です。まとめと次の一歩
期待と借金で株価が上がると、期待が崩れたときに売りが売りを呼びます。次は、この金融市場の衝撃が銀行と実際の暮らしへ伝わる経路を追います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。