このレッスンの役割
前回は、ナチ体制の宣伝・教育・検閲を学びました。今回は、同じ時期のソ連でスターリンが築いた独裁体制を取り上げ、ファシズムとの共通点と相違点を整理します。
中心技能は、政治体制を「同じ独裁だから全部同じ」とせず、目的・経済・支配方法の観点で比較することです。次は、日本の軍国主義を同じ比較軸で考えます。
おすすめの学び方
共通点と相違点を二列にして、比較する観点をそろえましょう。
スターリン体制
1920年代末からスターリンは、五か年計画で重工業を急速に発展させようとしました。農業では農地や家畜を集団農場へまとめる集団化を進めました。
工業化は大きく進みましたが、労働者や農民へ厳しい負担がかかりました。農業集団化への抵抗は弾圧され、飢饉で多数の人が命を失いました。1930年代には大粛清が行われ、党員、軍人、市民が逮捕・処刑・収容されました。
共通点と相違点
| 比較軸 | ナチ・ファシズム | スターリン体制 |
|---|---|---|
| 政治 | 一党独裁、指導者崇拝 | 一党独裁、指導者崇拝 |
| 反対派 | 警察・収容所・暴力で弾圧 | 秘密警察・粛清・収容所で弾圧 |
| 情報 | 宣伝と検閲 | 宣伝と検閲 |
| 経済 | 私有企業を残しつつ国家統制・軍需拡大 | 生産手段を国家管理し計画経済 |
| 思想 | 極端な民族主義、人種主義、反共産主義 | 共産主義を掲げ階級の廃止を主張 |
| 排除の基準 | 人種・民族・政治的反対など | 階級敵とされた人、政治的反対など |
共通する支配方法があっても、掲げた思想と経済制度は異なります。また、理想として掲げた理念と、実際に行われた政策も区別します。
比較は被害の競争ではない
「どちらがより悪いか」だけを競うと、それぞれの被害と仕組みを理解できません。どの権利が奪われ、だれが意思決定し、どの制度が弾圧を可能にしたかを検討します。
よくある間違い
「ソ連は社会主義なので、ファシズムと正反対だから比較できない」とするのは不十分です。思想は異なっても、一党独裁、指導者崇拝、検閲、反対派弾圧など比較できる特徴があります。
反対に、「独裁だから全部同じ」とするのも誤りです。比較軸ごとに同じ点と違う点を示します。
自分で確かめよう
確認1:共通する支配方法を二つ挙げよう
例:一党独裁、指導者崇拝、宣伝と検閲、秘密警察、反対派の弾圧などです。確認2:経済制度の違いは?
ナチ体制は私有企業を残しつつ国家が統制し、ソ連は国家所有を基本に計画経済を進めました。確認3:よい比較文の形は?
「AとBは〇〇の点では共通するが、△△の点では異なる」のように、同じ比較軸で書きます。まとめと次の一歩
スターリン体制とファシズムには独裁の方法で共通点があり、思想と経済制度では相違点がありました。次は、日本の軍部の影響拡大を、西欧型の一党独裁と同じか違うか考えます。
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