LESSON 01

化石と地球の歴史

環境変化と生物の出現・絶滅を証拠で結ぼう

化石群集の変化を、環境変化・移動・進化・絶滅・保存の偏りという複数候補から説明する。

環境変化と生物の出現・絶滅を証拠で結ぼう

まず知る

このレッスンの役割と到達点

前のレッスンでは、化石と年代資料を同じ時間軸へ置きました。ここでは、ある境界をはさんで化石の種類が変わったとき、その変化を一つの原因に決めず、環境変化・移動・進化・絶滅・保存の偏りから説明します。

最初に、観察事実と説明候補を分けます。

  • 観察事実:下の地層には化石A・B・C、上の地層にはB・Dがある。
  • 説明候補:環境が変わってA・Cが移動した、Dが新しく現れた、A・Cが絶滅した、保存条件が変わった。

化石記録だけで、生物が「現れた」「消えた」原因が一つに決まるとは限りません。

理解する

化石記録は生物の歴史をそのまま写した写真ではない

生物群の変化が化石記録へ残るまでの原因と保存のフィルター環境変化、移動、進化、絶滅が生物群を変え、その後の死・埋没・保存・露出・発見を通して化石記録になる化石群集が変わった理由を二段階で考える環境変化水温・海深・気候移動生息域が別地点へ進化・出現集団が枝分かれ絶滅その種類が途絶える当時の生物群が変化実際に暮らした種類と数保存のフィルター:硬い部分・埋没・侵食・露出・採集フィルターを通った一部だけが、現在の化石記録として見える「化石が消えた」=「その瞬間に世界中で絶滅」とは限らない

同じ地点で化石Aが見つからなくなっても、Aが世界中で絶滅したとは限りません。その場所の水温や水深が変わり、Aが別の地域へ移った可能性があります。また、Aの殻が溶けやすい環境になり、化石として残らなかった可能性もあります。

絶滅とは、その種類の生物が地球上のどこにも生き残らなくなることです。一地点から消えることは、局地的な消失や移動かもしれません。複数の地域で、同じ時期にその種類が見られなくなる証拠が必要です。

進化は、すべての生物が同じゴールへ向かって進歩することではありません。集団が世代を重ねる中で変化し、枝分かれし、環境に合う特徴をもつ系統が残る過程です。古い生物が「劣っていた」から必ず絶滅したわけではありません。

使う

境界前後の資料を四段階で説明する

資料:境界より下では海生生物A・B・Cが多数、境界より上ではBが少数と新しいDが見つかる。境界で岩相は石灰岩から泥岩へ変わる。

  1. 事実:A・Cが見つからなくなり、Bが減り、Dが現れた。岩相も変化した。
  2. 環境候補:石灰岩ができる浅い海から、泥がたまる別の海洋環境へ変わった可能性。
  3. 生物候補:A・Cが移動または絶滅し、Dが移入または進化で現れた可能性。
  4. 保存候補:泥岩では保存されにくい生物がいた可能性。

この資料だけでは、A・Cの世界的絶滅までは断定しません。別地域の同時期の地層を調べ、同じ変化が広く見られるか確かめます。

原因を確かめる追加証拠

説明候補 追加で調べる証拠
環境変化 岩相、示相化石、水温・水深の指標
移動 同時期の別地点でA・Cが続くか
絶滅 広い地域で最後の産出時期がそろうか
保存の偏り 殻の溶け方、堆積環境、採集量

転用する

条件を変えた資料を予測する

もし環境変化が主因でAが移動したなら、同じ時期でも環境が保たれた別地点ではA化石が続くと予測できます。世界的な絶滅なら、環境の違う多くの地点でも同じ時期より上からAが見つからなくなると予測できます。

仮説から「次にどんな資料が見えるはずか」を予測し、実際の地層で確かめると、説明の強さを比べられます。

次のレッスンでは、化石の種類数や産出数のグラフから急減・回復・欠測を読み、時代の転換点を証拠の範囲内で説明します。

確認1:直接確認一地点で化石Aが見つからなくなったとき、絶滅以外に何を考えますか。環境変化による移動、保存条件の変化、侵食や未発見を考えます。
確認2:誤りを見抜く進化は、すべての生物がより優れた一つの姿へ向かう過程ですか。違います。集団が変化し枝分かれする過程で、共通のゴールはありません。
確認3:初見資料へ転用多くの大陸で同じ年代より上から化石Xが見つからず、環境の異なる地層でも同じ傾向なら、局地的移動より世界的絶滅の説明が強くなります。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。