環境変化と生物の出現・絶滅を証拠で結ぼう
まず知る
このレッスンの役割と到達点
前のレッスンでは、化石と年代資料を同じ時間軸へ置きました。ここでは、ある境界をはさんで化石の種類が変わったとき、その変化を一つの原因に決めず、環境変化・移動・進化・絶滅・保存の偏りから説明します。
最初に、観察事実と説明候補を分けます。
- 観察事実:下の地層には化石A・B・C、上の地層にはB・Dがある。
- 説明候補:環境が変わってA・Cが移動した、Dが新しく現れた、A・Cが絶滅した、保存条件が変わった。
化石記録だけで、生物が「現れた」「消えた」原因が一つに決まるとは限りません。
理解する
化石記録は生物の歴史をそのまま写した写真ではない
同じ地点で化石Aが見つからなくなっても、Aが世界中で絶滅したとは限りません。その場所の水温や水深が変わり、Aが別の地域へ移った可能性があります。また、Aの殻が溶けやすい環境になり、化石として残らなかった可能性もあります。
絶滅とは、その種類の生物が地球上のどこにも生き残らなくなることです。一地点から消えることは、局地的な消失や移動かもしれません。複数の地域で、同じ時期にその種類が見られなくなる証拠が必要です。
進化は、すべての生物が同じゴールへ向かって進歩することではありません。集団が世代を重ねる中で変化し、枝分かれし、環境に合う特徴をもつ系統が残る過程です。古い生物が「劣っていた」から必ず絶滅したわけではありません。
使う
境界前後の資料を四段階で説明する
資料:境界より下では海生生物A・B・Cが多数、境界より上ではBが少数と新しいDが見つかる。境界で岩相は石灰岩から泥岩へ変わる。
- 事実:A・Cが見つからなくなり、Bが減り、Dが現れた。岩相も変化した。
- 環境候補:石灰岩ができる浅い海から、泥がたまる別の海洋環境へ変わった可能性。
- 生物候補:A・Cが移動または絶滅し、Dが移入または進化で現れた可能性。
- 保存候補:泥岩では保存されにくい生物がいた可能性。
この資料だけでは、A・Cの世界的絶滅までは断定しません。別地域の同時期の地層を調べ、同じ変化が広く見られるか確かめます。
原因を確かめる追加証拠
| 説明候補 | 追加で調べる証拠 |
|---|---|
| 環境変化 | 岩相、示相化石、水温・水深の指標 |
| 移動 | 同時期の別地点でA・Cが続くか |
| 絶滅 | 広い地域で最後の産出時期がそろうか |
| 保存の偏り | 殻の溶け方、堆積環境、採集量 |
転用する
条件を変えた資料を予測する
もし環境変化が主因でAが移動したなら、同じ時期でも環境が保たれた別地点ではA化石が続くと予測できます。世界的な絶滅なら、環境の違う多くの地点でも同じ時期より上からAが見つからなくなると予測できます。
仮説から「次にどんな資料が見えるはずか」を予測し、実際の地層で確かめると、説明の強さを比べられます。
次のレッスンでは、化石の種類数や産出数のグラフから急減・回復・欠測を読み、時代の転換点を証拠の範囲内で説明します。
確認1:直接確認
一地点で化石Aが見つからなくなったとき、絶滅以外に何を考えますか。環境変化による移動、保存条件の変化、侵食や未発見を考えます。確認2:誤りを見抜く
進化は、すべての生物がより優れた一つの姿へ向かう過程ですか。違います。集団が変化し枝分かれする過程で、共通のゴールはありません。確認3:初見資料へ転用
多くの大陸で同じ年代より上から化石Xが見つからず、環境の異なる地層でも同じ傾向なら、局地的移動より世界的絶滅の説明が強くなります。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。