粒・化石・模様を環境証拠として整理しよう
まず知る
このレッスンは「地層から過去の環境を復元する」6レッスンの1番目です。前のセクションでは、地層に残る出来事を古い順に並べました。ここからは、その順序の各場面が「どのような場所だったか」を考えます。
過去の環境は直接見られません。そこで、地層に残った特徴を証拠として使います。大切なのは、特徴の名前だけで環境を即決せず、「その特徴は、どんな過程でできるか」を考えることです。
| 証拠の種類 | 観察するもの | 主に考えられること |
|---|---|---|
| 粒 | 大きさ、丸さ、そろい方 | 流れの強さ、運搬距離、選別 |
| 岩石 | 礫岩、砂岩、泥岩、石灰岩など | 堆積物の材料と堆積過程 |
| 化石 | 種類、壊れ方、向き、密集 | 生息環境、運搬、保存条件 |
| 堆積構造 | れん痕、泥割れ、級化層理 | 水流、波、乾燥、一回の堆積事件 |
| 地層の関係 | 重なり、侵食面、厚さの変化 | 環境が変わった順序、堆積の中断 |
| 火山灰層 | 広がり、粒、位置 | 噴火・降灰、離れた地点を結ぶ時刻面 |
一つの証拠は、多くの場合「環境の候補」をしぼります。確定するには、別の種類の証拠と一致するかを確かめます。
理解する
たとえば、丸い礫を多く含む礫岩があったとします。粗い礫を動かすには比較的強い流れが必要です。礫が丸いことは、転がったりぶつかったりして角が取れた可能性を示します。ここから「流れのある川や海岸」という候補が出ます。しかし、礫岩だけで川と海岸を区別することはできません。
そこで追加の証拠を探します。淡水生物の化石、流れの向きを示す斜交葉理、周囲の地層の広がりがあれば、川の可能性が高まります。海生生物の化石、波による対称なれん痕、貝殻片があれば、海岸の可能性が高まります。
化石も同じです。サンゴの化石は、一般に暖かく浅い海の環境を考える手がかりになります。しかし、化石が壊れて丸くなり、礫と混ざっていれば、死後に別の場所へ運ばれた可能性があります。「化石が見つかった場所」と「生物が暮らした場所」が同じとは限りません。
泥割れは、ぬれた泥が空気に触れて乾燥した証拠です。そのため、水底だった場所が一時的に水面上へ出た候補になります。れん痕は水や風の動きを示しますが、形が左右対称か非対称かで波と一方向の流れを区別する手がかりになります。
使う
環境証拠は次の手順で整理します。
- 観察事実を書く。「砂岩に左右対称のれん痕がある」。
- 形成過程を考える。「浅い水底で波が往復して砂を動かした」。
- 環境候補を書く。「浅い海や湖の岸近く」。
- 別の証拠を探す。「海生貝化石があれば浅い海を支持」。
- 反対する証拠も探す。「淡水生物なら湖の可能性」。
- 確実度を言葉で示す。「断定できる」「可能性が高い」「資料だけでは区別できない」。
例として、細かい泥岩、保存状態のよい海生生物化石、波のれん痕がない地層を考えます。細粒は弱い流れや静かな水、保存状態のよい化石は運搬が少ない可能性を示します。これらが一致すれば、波の影響が弱い沖合の海底が有力です。ただし、水深の数値までは資料がないと決められません。
転用する
入試の初見資料では、覚えた岩石名がそのまま出ないことがあります。そのときも、粒、化石、模様、重なりの四つに分ければ整理できます。
「礫が多いから川」と一行で終わらせず、「粗い礫を運べる強い流れが必要で、礫が丸く、淡水生物化石と一方向の流れを示す構造があるため、川の可能性が高い」のように、証拠同士を組み合わせます。
次のレッスンでは、礫岩・砂岩・泥岩などができる過程を詳しく追い、川・海岸・沖合・陸上などの候補を論理的に推定します。
確認1:泥割れはどのような過程を示す?
ぬれた泥が水面上などで空気に触れ、乾燥して縮んだ過程を示します。一時的な陸化や水位低下の候補になります。確認2:サンゴ化石だけで「この場所は必ず暖かい浅海だった」と断定できないのはなぜ?
化石が死後に運搬・再堆積された可能性があるためです。壊れ方、向き、周囲の粒や別の化石などを合わせて確認します。確認3:未知の砂岩に対称なれん痕と海生貝化石がある。どんな推定ができる?
波が往復する浅い海の岸近くが有力です。ただし、化石の保存状態や運搬の有無も調べ、証拠の範囲を超えた水深などは断定しません。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。