柱状図と化石年代から失われた時間をしぼろう
まず知る
このレッスンの役割と到達目標
このレッスンは「不整合が示す時間の空白」6レッスン中の4番目です。前のレッスンでは、未堆積や侵食によって地層記録が途切れるため、不整合面が時間の空白を示すと学びました。今回は、柱状図、かぎ層、化石が示す年代範囲を使い、どの時代の記録が欠ける可能性があるかをしぼります。ここができると、次のレッスンで「年代差をそのまま空白時間とする」誤りを直せます。
中心技能は、不整合のすぐ下とすぐ上の地層年代を範囲で読み、記録が欠ける期間の境界を根拠付きで表すことです。年代は一点ではなく区間として数直線に置き、古い・新しいの向きを確認しながら考えましょう。
柱状図は、ある地点の地層を下から上へ並べ、種類、厚さ、化石、かぎ層などを示した図です。通常の重なりで逆転していないなら、下ほど古く、上ほど新しいと考えます。不整合の上下を比べるときは、次を先に確認します。
- 柱状図の上下と標高、厚さの目盛り。
- 不整合面の位置。
- 境界直下・直上の地層を示す化石や火山灰。
- 各年代資料が示す範囲と誤差。
- 離れた柱状図を結ぶかぎ層が同じものか。
図では、地点Bに残る中間層が地点Aでは不整合面の位置で欠けています。ただし、地点Aで中間層が最初から堆積しなかったのか、堆積後に侵食されたのかは、追加の証拠が必要です。
理解する
年代の読み方で最も大切なのは、「化石が見つかった地層は、化石が生きていた期間のどこかで堆積した」と考えることです。たとえば境界直下の地層が9000万〜8600万年前、直上の地層が7600万〜7200万年前と分かったとします。
直下の地層の堆積が終わった時刻は、その年代範囲だけでは一点に決まりません。直上の地層が積もり始めた時刻も一点には決まりません。したがって、9000万−7200万=1800万年 のように、両範囲の端を都合よく引いて空白の長さと断定してはいけません。
安全に言えるのは、次のようなことです。
- 境界直下は、少なくとも直上より古い年代資料をもつ。
- 直下の最も新しい可能性と直上の最も古い可能性の間に、記録が欠ける期間がありうる。
- より正確なしぼり込みには、境界に近い火山灰層や、より短い生存期間の示準化石が必要。
年代の数は「年前」が大きいほど古い点にも注意します。9000万年前から7000万年前へ進むと、時間は新しくなります。普通の数直線の右ほど大きい感覚と逆になる図もあるため、軸のラベルを確認します。
かぎ層を使うと、離れた地点の同じ時刻に近い地層を対応させられます。広い範囲に短時間で積もった火山灰層などが有効です。地点Aでは不整合で欠ける層が、地点Bではかぎ層の間に残っていれば、地点Aで失われた地層の種類や順序を推定できます。
ただし、岩相だけで対比するのは危険です。同じ砂岩は異なる時代にもできます。火山灰の特徴、含まれる鉱物、化石、上下の層の並びなど、複数の証拠で同じ層か確かめます。
使う
年代範囲を使う具体例
地点Pの不整合直下の泥岩から、8400万〜8200万年前に生存した示準化石Xが見つかりました。直上の砂岩のすぐ上にある火山灰層は、7600万年前±100万年と測定されました。
最初に資料を区別します。
- 化石Xは泥岩が8400万〜8200万年前のどこかで堆積したことを示す。
- 火山灰層は7500万〜7700万年前ごろに堆積したと考えられる。
- 砂岩は不整合直上で、火山灰層より少し前に堆積した。
この資料だけでは、泥岩の堆積終了時刻も砂岩の堆積開始時刻も一点に決まりません。そのため、空白が正確に何万年続いたかは求められません。しかし、泥岩より新しく、直上の砂岩・火山灰より古い時代の地層記録が境界で欠けると説明できます。
近くの地点Qで、化石Xを含む泥岩の上に、8000万年前を示す化石Yを含む石灰岩があり、その上に同じ火山灰層があるとします。地点Pで石灰岩が見つからず、不整合面が泥岩を切っているなら、地点Qに残る石灰岩相当の記録がPでは欠けた可能性が高まります。
| 問い | 使う資料 | 答え方 |
|---|---|---|
| どちらが古いか | 重なり・年代範囲 | 直下は直上より古い |
| 何が欠けたか | 地点間のかぎ層・化石 | Qの中間層相当がPで欠ける可能性 |
| 何年欠けたか | 境界直近の年代資料 | 一点でなく範囲、または決定不能 |
| なぜ欠けたか | 侵食面・礫・堆積環境 | 侵食か未堆積かを証拠で比較 |
転用する
入試の年代資料へ使う
入試では、示準化石の生存期間を表す帯と、柱状図を組み合わせる問題が出ます。まず各化石が示す年代範囲を重ね、不整合直下・直上の地層がいつ堆積した可能性があるかをしぼります。次に別地点のかぎ層を対応させ、欠けた層の候補を探します。
複数の年代範囲が重なる場合、その共通部分が堆積年代の候補になります。重ならない場合は、化石が再堆積した、地層対比が誤っている、資料に誤差があるなども点検します。数字が出たからといって、すぐ引き算へ進まないことが大切です。
間違いを直す
「化石の生存期間の中央が地層の正確な年代」は誤りです。年代は範囲で扱います。「上下の年代差がそのまま侵食期間」も誤りです。未堆積の時間や各地層の堆積期間が含まれます。「地点Aにない層は地球上のどこにもなかった」も誤りです。地点Bの連続記録と対比します。
確認チェック
確認1:中心技能を直接確かめる
不整合直下・直上の年代は一点ではなく範囲で置き、直下の堆積後から直上の堆積前までに記録の空白があると表します。資料が足りなければ正確な長さは決めません。確認2:誤解を見抜く
「9000万年前の化石と7000万年前の化石があるので、空白は正確に2000万年」は誤りです。化石が示す期間、地層の堆積期間、境界からの距離を確認します。確認3:別の資料へ移す
地点Aで欠ける年代の層が地点Bのかぎ層間に残るなら、両地点のかぎ層が同じことを複数の特徴で確かめ、Aで失われた記録をしぼります。まとめと次へのつながり
空白期間は、数字を一度引いて終わりではなく、上下の年代範囲と離れた地点の連続記録からしぼります。次は「不整合なら必ず地層が傾く」「境界面は一瞬でできた」「欠けた層はすべて侵食された」という誤答を、ここまでの証拠で直します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。