複数柱状図のかぎ層標高から傾きと地下位置を読もう
まず知る
このレッスンの役割と到達点
前のレッスンで、地層境界の標高を「地表標高−深さ」で求めました。ここでは、複数地点にある同じかぎ層の標高を比べ、地層がどちらへ低くなるか、未知地点では地下何m付近にあるかを推定します。
必要な情報は四つです。
- 地点の位置と方位
- 地点間の水平距離
- 同じかぎ層だと判断した根拠
- かぎ層の同じ境界面の標高
上面なら上面どうし、下面なら下面どうしを比べます。同じ地層でも厚さが変わることがあるため、異なる面を混ぜないことが大切です。
理解する
標高差を水平距離と結び付ける
西の地点Aと東の地点Bは400 m離れています。同じ凝灰岩の上面が、Aでは標高95 m、Bでは標高75 mでした。
AからBへ20 m低くなっているので、このかぎ層は東へ低くなっています。標高差だけでなく方位が必要なのは、「右下がり」という紙面上の見え方ではなく、実際の方角で答えるためです。
20 m ÷ 400 m = 0.05なので、単純化すると東へ100 m進むごとに5 m低くなる傾きです。中間の地点CはAから200 m東なので、10 m低い標高85 m付近と推定できます。
ただし、この計算はAとBの間で地層が連続し、傾きがほぼ一定だとみなすモデルです。断層、しゅう曲、不整合があれば成り立たないことがあります。
使う
地下何mにあるかまで求める
地点Cの地表標高が92 mなら、推定したかぎ層上面は標高85 mです。
地表からの深さ = 地表の標高 − 地層境界の標高
92−85=7 mなので、かぎ層上面は地下約7 mと推定します。「約」と付けるのは、観測点の間をモデルで補っているからです。
別の例として、北の地点Pで標高60 m、南へ300 mの地点Qで標高45 mなら、かぎ層は南へ15 m低くなっています。100 m当たりでは5 m低下します。Pから南へ120 mの地点では、単純な比例なら6 m低い標高54 m付近です。
推定を確かめる
推定した位置で実際のボーリング資料が得られたら、予測と観測を比べます。合わないときは、計算ミスだけでなく、同じかぎ層ではなかった、途中に断層がある、傾きが一定でない、という可能性も調べます。
転用する
三地点以上では一方向ずつ整理する
地図上にA・B・Cが三角形に並ぶと、東西方向と南北方向の両方で標高差が生じます。まず東西に近い地点どうし、次に南北に近い地点どうしを比べます。三地点の情報があれば、二地点だけより傾きの向きをしぼれます。
ただし、点と点を結んだ面は推定です。資料のない遠方まで同じ傾きを延ばしてはいけません。答えには「AとBの間では」「地層が連続し傾きが一定なら」という条件を添えます。
次のレッスンでは、ここまでの計算を妨げる代表的な混同をまとめて修正します。
確認1:直接確認
西の地点でかぎ層上面が標高70 m、東へ200 mの地点で標高60 mです。どちらへ低くなりますか。東へ10 m低くなり、100 m当たり5 m低下します。確認2:誤りを見抜く
二地点の柱状図を紙面上で結ぶと右下がりなので「東へ傾く」と答えてよいですか。地点配置で右が東だと確認できなければ答えられません。地図の方位を確認します。確認3:初見資料へ転用
Aから東へ300 mのBで、同じ面が90 mから75 mへ低下しました。Aから東へ100 mの地点の地表標高が96 mなら、面は標高85 m、地下約11 mと推定できます。途中で傾きが一定という条件が必要です。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。