LESSON 01

示相化石で昔の環境を知る

未知の化石・岩相資料から昔の環境を復元しよう

未知の化石群集・母岩・柱状図・かぎ層を統合し、環境の時間変化と空間差を推定限界まで含めて復元する。

未知の化石・岩相資料から昔の環境を復元しよう

まず知る

このレッスンの役割と到達点

このセクションの最後は、初めて見る化石・岩相・柱状図・地点資料を統合し、昔の環境とその変化を復元する課題です。化石名を知っているかだけでなく、どの証拠を何のために使うかを自分で選びます。

初見資料では、証拠を三つの箱に分けます。

証拠の箱 主な問い
化石と生息条件 どんな水温・塩分・水深・気候か
岩相・粒径・堆積構造 流れの強さや海岸からの距離はどうか
柱状図・かぎ層・地点 いつ、どこで環境が変わったか

結論は、少なくとも二種類の証拠が同じ方向を示すか確かめます。反対の証拠があれば、無視せず別の説明を残します。

理解する

証拠を統合して環境を復元する

海岸に近い西の地点Aと、沖側の東の地点Bから柱状図が得られました。同じ黄色の凝灰岩をかぎ層として、同じ時期の地層を比べます。

二地点の化石・岩相・かぎ層から環境の時間変化と空間差を復元する西の地点Aと東の地点Bの柱状図を黄色い凝灰岩でそろえ、下位と上位の化石・岩相から河口、浅海、沖側の環境を読む地点A 西・海岸側地点B 東・沖側サンゴ・砂岩凝灰岩シジミ・泥岩れき岩生物X・泥岩より深い海凝灰岩生物X・泥岩より深い海アサリ・砂岩同じ時刻の基準上下=時間変化、同じかぎ層付近の左右=同時期の空間差

地点Aを下から読むと、川に近いれき岩→シジミのいる河口・汽水域→凝灰岩→サンゴのいる暖かく浅い海、と変化しています。地点Bは、下位のアサリを含む浅い海→凝灰岩→より深い海を示す泥岩へ変化しています。

凝灰岩のすぐ上を比べると、同じ時期にAは暖かい浅い海、Bはより深い海です。西から東へ海が深くなる空間差が考えられます。また、両地点とも上位ほど沖側・海側の環境になっているので、海岸線が西へ移動した、土地が沈降した、海水準が上がった、という原因候補があります。

使う

初見資料を七手で解く

  1. 設問が環境・年代・順序のどれを聞くか確認する。
  2. 柱状図の上下、地点、方位、凡例を確認する。
  3. かぎ層で同じ時期をそろえる。
  4. 化石ごとの生息条件を資料から拾う。
  5. 保存状態・母岩・粒径が同じ結論を支えるか見る。
  6. 同一地点の下から上で時間変化を読む。
  7. 同じ時間面の地点間で空間差を読み、限界を添える。

記述の型は「結論→化石の証拠→岩相の証拠→条件」です。

例:「凝灰岩より上の地点Aは暖かく浅い海だった可能性が高い。暖かい浅海に生息するサンゴ化石が保存よく多数あり、波の影響を受ける砂岩も同じ層にあるからである。ただし、化石が大きく運搬されていないと考えた場合である。」

矛盾する資料を扱う

もし地点Bの深い海を示す泥岩から、摩耗したサンゴ片が一個出たら、Bも浅い海とすぐ変更しません。サンゴ片がA側から運ばれた、古い地層から削られて再堆積した、という候補を産状から検討します。

転用する

環境と年代の二軸へつなげる

示相化石で分かるのは、主に地層ができた環境です。同じ環境は異なる時代にも繰り返し現れるため、これだけでは地層の年代を決められません。

次のセクションでは、広く分布し、地質学的には短い期間だけ栄えた生物の化石を使って年代をしぼります。示相化石で環境、示準化石で年代を求め、両方を柱状図の同じ層へ置くと、「いつ、どんな環境だったか」を二つの軸で復元できます。

初見資料でも、環境を聞かれたら生息条件、年代を聞かれたら生存期間と分布範囲へ戻ることが、証拠を選び分ける鍵です。

確認1:直接確認同じ地点の柱状図で環境変化を読むとき、どちらから読みますか。大きな乱れがなければ、下の古い地層から上の新しい地層へ読みます。
確認2:誤りを見抜く同じかぎ層の直上でAはサンゴを含む砂岩、Bは深海生物を含む泥岩でした。「時代が違う」と答えてよいですか。かぎ層が同じ時間面なら、同時期の場所による環境差として考えます。
確認3:初見資料へ転用化石Yは低塩分の水域だけに暮らし、保存のよいY化石が細粒の泥岩から多数見つかりました。河口や湖など流れの弱い低塩分環境だった可能性が高いと、二種類の証拠から説明できます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。