不整合面が時間の空白を示す理由を説明しよう
まず知る
このレッスンの役割と到達目標
このレッスンは「不整合が示す時間の空白」6レッスン中の3番目です。前のレッスンでは、堆積、隆起・傾動、侵食、沈降、再堆積を層状模型で順に再現しました。今回は、その順序を「地層に残る記録」という考え方へ結びつけ、不整合面がなぜ長い時間の空白を示すのか説明します。ここが分かると、次のレッスンで上下の地層年代から空白期間をしぼれます。
中心技能は、不整合面の上下に残る地層記録をもとに、空白期間には未堆積と侵食による記録の欠失がありうることを説明することです。用語を暗記するより、一本の時間軸に出来事と「記録が残る・残らない」を書き込んで学びましょう。
地層は、堆積物が積もり、後に残った期間の記録です。しかし、時間が進めばいつでも地層ができるわけではありません。堆積物が運ばれてこなければ、その場所に新しい層は作られません。また、一度できた層も、土地が隆起して侵食を受ければ削られます。
この二つを区別します。
| 記録が欠ける仕組み | その期間に起きたこと | 地層に残る結果 |
|---|---|---|
| 未堆積 | 時間は進むが、その場所に堆積物が積もらない | その期間の地層が作られない |
| 侵食 | すでにできた地層が流水・波・風などで削られる | 作られた記録の一部または全部が失われる |
どちらの場合も、後から新しい地層が重なると、上下の地層の間に連続した記録がない境界ができます。それが不整合です。
図の上の時間軸に切れ目はありません。切れているのは時間ではなく、地層として残った記録です。「時間の空白」とは、地球上で何も起きなかった期間ではなく、その場所の地層記録から読み取れない期間です。
理解する
本のページで考えてみましょう。毎日の日記を書いていても、数か月書かなかったり、書いたページを破って失ったりすれば、日付は連続して進んでいても記録には空白ができます。未堆積は「書かなかった期間」、侵食は「書いたページが失われた期間」に似ています。
不整合面が示す空白は、境界面の厚さでは測れません。古い地層ができた後、隆起し、傾き、長く侵食され、再び沈降して新しい堆積物が積もるまでに、さまざまな出来事が起こりえます。それらの時間が、薄い境界にまとめて表されます。
空白期間を考えるときは、境界のすぐ下とすぐ上の地層へ注目します。
- 下の地層ができ終わった後から、空白が始まる。
- 上の地層が積もり始める前まで、空白が続く。
- その間に堆積しなかった時間と、侵食で失われた記録が含まれうる。
たとえば、境界直下の地層が約1億年前、直上の地層が約8000万年前だと分かったとします。空白期間は単純に「2000万年間まったく何もなかった」のではありません。1億年前より後に下の地層の堆積が終わり、8000万年前までに上の地層の堆積が始まる間のどこかで、隆起・侵食・未堆積などが起き、記録が連続しません。
年代値にも幅があります。化石が示す年代は一点ではなく範囲であることが多く、地層の堆積にも時間がかかります。このレッスンでは、空白を示す仕組みを理解し、正確な範囲のしぼり方は次へ送ります。
不整合と断層も分けます。断層は岩盤が割れ、両側が相対的にずれた構造です。不整合は、堆積の中断や侵食をはさんで、新旧の地層が接する境界です。どちらも地層を切る線に見える場合がありますが、面に沿ったずれ、破砕、基底礫、上の地層が境界をおおう関係を調べます。
使う
記録の空白を言葉にする具体例
ある露頭で、傾いた泥岩層の上端が侵食面に切られ、その上に水平な礫岩層が重なっていました。泥岩層からは約9000万年前に栄えた生物の化石が、礫岩層のさらに上からは約7000万年前の火山灰層が見つかりました。
この資料から、次の順で説明します。
- 泥岩層が堆積した。
- 泥岩層が傾き、地表へ出て侵食された。
- その場所で連続した地層記録が残らない期間があった。
- その後に礫岩層など新しい地層が堆積した。
記述例です。
「傾いた泥岩層の上端を侵食面が切り、その上に水平な礫岩層が重なるため、泥岩層の堆積後に隆起・傾動・侵食が起こり、その後に新しい堆積が始まったと考えられる。侵食中または未堆積の期間の地層記録が境界で欠けているため、不整合面は時間の空白を示す。」
ここでは、約9000万年前と約7000万年前の差をそのまま空白期間と決めません。化石や火山灰がそれぞれ境界直下・直上の堆積時期をどこまでしぼるかを確かめる必要があります。
| 書く内容 | よい表現 | 避けたい断定 |
|---|---|---|
| 時間 | 記録が連続しない期間がある | 時間そのものが止まった |
| 原因 | 未堆積や侵食が考えられる | 必ずすべて侵食された |
| 長さ | 上下の年代資料から範囲をしぼる | 境界の厚さで決める |
| 出来事 | 堆積→変形・侵食→再堆積 | 面が一瞬でできた |
転用する
別の記録へ考え方を移す
氷床コア、年輪、湖底堆積物なども、連続した記録として利用されます。しかし、途中で融解した、木が成長しなかった、堆積物がかき乱されたなどの理由で記録が欠ける場合があります。大切なのは、記録がないことと、出来事がなかったことを同じにしないことです。
地層でも、ある化石が見つからないからといって、その時代の生物が地球上に存在しなかったとは限りません。その場所に生息しなかった、化石にならなかった、地層が堆積しなかった、後に侵食された可能性があります。
間違いを直す
「不整合面は薄いから空白も短い」は誤りです。面は境界であり、そこにまとめられた期間は長いことがあります。「空白期間には何も起きなかった」も誤りです。隆起や侵食などが起きたために記録が残らない場合があります。「欠けた地層はすべて侵食された」も断定できません。未堆積の可能性も比べます。
確認チェック
確認1:中心技能を直接確かめる
不整合面が時間の空白を示すのは、古い地層の堆積後から新しい地層の堆積前までに、未堆積や侵食で連続した地層記録が残らない期間があるためです。確認2:誤解を見抜く
「空白期間は何も起きなかった期間」は誤りです。時間は進み、隆起・傾動・侵食などが起きても、その場所の地層記録として残らないことがあります。確認3:別の資料へ移す
年代の違う二つの層の間に不整合があるときは、境界直下と直上の年代範囲を確認し、記録が欠ける期間を範囲として表します。まとめと次へのつながり
不整合の空白は、時間の停止ではなく地層記録の中断です。次は柱状図、かぎ層、化石年代を使い、境界の上下でどの年代の記録が欠ける可能性があるかを上限・下限からしぼります。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。