複数化石の年代範囲を重ねて地層の年代をしぼろう
まず知る
このレッスンの役割と到達点
前のレッスンでは、一種類の示準化石が示す年代範囲を考えました。ここでは、同じ地層から複数種類の化石が見つかったとき、それぞれの生存期間が重なる共通部分を使って年代をさらにしぼります。
考え方は集合の重なりと同じです。
- 化石Aが存在した期間に入る。
- 化石Bが存在した期間にも入る。
- 両方が同じ地層から出たなら、二つの期間の共通部分が候補になる。
数値が「○年前」の場合、大きい数が古く、小さい数が新しいことに注意します。
理解する
年代帯の共通部分を図で取る
架空の化石Aは1億1800万〜1億400万年前、化石Bは1億1000万〜1億年前、化石Cは1億800万〜1億600万年前に存在したとします。
AとBだけなら、共通部分は1億1000万〜1億400万年前です。Cも加えると、三つすべてに共通するのは1億800万〜1億600万年前です。化石を追加すると、いつでも範囲が細くなるとは限りませんが、独立した信頼できる化石帯が重なるほど年代をしぼれます。
重要なのは、帯の長さを足したり平均したりしないことです。「すべての条件を同時に満たす重なり」を取ります。
使う
表から共通範囲を求める
| 化石 | 確認される期間 |
|---|---|
| P | 90〜70百万年前 |
| Q | 82〜74百万年前 |
| R | 80〜76百万年前 |
- PとQの共通部分は82〜74百万年前。
- そこへRを重ねると80〜76百万年前。
- 地層の年代候補は80〜76百万年前。
「古い側の限界」は、三者のうち最も新しい開始時期である80百万年前です。「新しい側の限界」は、三者のうち最も古い終了時期である76百万年前です。図に塗ると数の大小で迷いにくくなります。
共通部分がないとき
化石Sが60〜50百万年前の生物だった場合、P・Q・Rとの共通部分はありません。このとき「平均して65百万年前」などと答えてはいけません。
共通部分がない原因候補は、化石の同定間違い、別の層から混入、古い化石の再堆積、地層の取り違え、年代表の誤読です。資料を点検し、矛盾を残したままにします。
転用する
柱状図とかぎ層へ広げる
地点Aの地層aから化石PとQ、離れた地点Bの地層bからQとRが見つかり、両層の直下に同じ凝灰岩があります。各化石の年代帯が80〜76百万年前で重なるなら、aとbは同じ時期にできた可能性が高まります。
ここでは、化石の共通年代と、凝灰岩というかぎ層の二種類の証拠が地層対比を支えます。岩相が違っても、同じ時期の異なる環境だったと考えられます。
ただし、示準化石が示すのは年代範囲です。正確な数値年代は、資料に放射年代など別の測定結果がある場合に使います。化石だけから資料にない数字を作りません。
次のレッスンでは、有名な絶滅生物や一個の化石を、条件確認なしに示準化石とする誤答を修正します。
確認1:直接確認
化石Aが120〜100百万年前、Bが110〜90百万年前なら共通範囲は何ですか。110〜100百万年前です。確認2:誤りを見抜く
年代帯に共通部分がない二化石の年代を平均して地層年代を求めてよいですか。いけません。混入・再堆積・同定・地層の取り違えを点検します。確認3:初見資料へ転用
Aが95〜80、Bが90〜75、Cが88〜84百万年前なら、三者の共通部分は88〜84百万年前です。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。