このレッスンは「粒の大きさと堆積する場所」セクションの4番目です。ここまでに、粒径の分類、沈降実験、流れが弱まると運べない粒から堆積するしくみを学びました。今回は、河口から沖へ並ぶ採取地点と粒径組成のグラフを対応させます。
- 前から受け取る力:流れの強さと粒の堆積順を因果で説明する力
- このレッスンの中心:地図・距離・流速・粒径組成を同じ地点どうしで結び、分布を読む力
- 次へ渡す力:資料に合わない「大きな粒ほど遠くへ行く」などの誤答を修正する力
まず知る
複数の資料を読むときは、いきなり結論を探しません。まず、同じ地点をそろえます。
- 地図の川の流れる向きと河口を確認する
- 採取地点A・B・C・Dの位置と河口からの距離を確認する
- 表やグラフのA・B・C・Dが同じ地点を示すか確かめる
- 横軸・縦軸・単位・合計を読む
- 最も多い粒だけでなく、三種類の割合の変化を見る
- 地図とデータを根拠に、分布の傾向を言葉にする
帯グラフなら、一つの棒の合計が100%か確認します。「砂が60%」は「残り40%が存在しない」という意味ではありません。れきや泥も含まれる場合があります。
次の図は、河口から沖へ並ぶ四地点と、各地点の粒径組成を同時に表した例です。
上の帯グラフは、各棒の横幅全体が100%です。AからDへ進むと、れきの割合が減り、泥の割合が増えています。BやCでは砂が多いことも読み取れます。
理解する
地図とグラフは、共通する地点記号で結びます。地図でDが最も沖にあり、グラフでDの泥の割合が最大なら、「沖ほど泥が多い傾向」が資料で支えられます。
ただし、傾向と因果は分けます。
- 資料から直接読める事実:AからDへ、れきの割合が減り、泥の割合が増える
- 学んだモデルによる説明:河口から沖へ流れが弱まり、大きな粒を先に運べなくなったためと考えられる
- 資料だけでは断定できない点:調査日以外も同じか、波や海流がどれほど影響したか
採取地点を無視すると間違えます。棒グラフのDだけを見て「泥が多い」と言えても、それだけではDが沖だとは分かりません。地図で位置を確かめて初めて、「沖のDで泥が多い」と説明できます。
また、最多成分だけで判断しません。Cで砂が最も多くても泥も含まれているなら、「Cには砂しかない」は誤りです。割合の大小と存在の有無を区別します。
数値を比べるときは単位もそろえます。河口からの距離がmとkmで混ざっている場合は、同じ単位に直します。粒径がmm、流速がm/sなら、それぞれ何を示す数値かを混同しません。
使う
ある調査で次の結果が得られました。
| 地点 | 河口からの距離 | 平均流速 | れき | 砂 | 泥 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 0.2 km | 0.70 m/s | 65% | 30% | 5% |
| B | 2.0 km | 0.40 m/s | 20% | 65% | 15% |
| C | 5.0 km | 0.18 m/s | 5% | 55% | 40% |
| D | 10.0 km | 0.05 m/s | 0% | 20% | 80% |
答案は次の順に書くと安定します。
- 位置:Aが河口に近く、Dが最も沖にある
- 数値の傾向:沖へ向かうほど流速とれきの割合が小さく、泥の割合が大きい
- しくみ:流れが弱まると大きな粒を運び続けにくくなり、細かな粒ほど沖まで届きやすい
- 結論:河口近くに比較的大きな粒、沖に細かな粒が多く堆積したと考えられる
- 限界:一回の調査なので、季節や洪水時にも同じとは限らない
BからCでは流速が0.40 m/sから0.18 m/sへ0.22 m/s小さくなっています。れきの割合は20%から5%へ15ポイント減っています。「15%減」ではなく「15ポイント減」と書くと、割合そのものの差を正確に表せます。
理解チェック1:直接確認
表で、河口から最も遠く、泥の割合が最大の地点はどこですか。
答え:Dです。河口から10.0 kmで最も遠く、泥が80%で最大です。
理解チェック2:誤解を直す
「Cは砂が55%で最多だから、Cには泥がない」という読み方の誤りは何ですか。
答え:最多であることと、それ以外が存在しないことを混同しています。Cには泥が40%含まれています。
理解チェック3:初見へ転用
別の資料で沖の地点ほど泥が減っていました。すぐに基本モデルが誤りだと決めてよいですか。
答え:決められません。地点の対応、採取時期、洪水、波や海流、海底地形、単位を確認し、別の条件が粒を動かしていないか調べます。
転用する
地図とグラフの複合問題では、答案の各文に根拠を持たせます。
- 位置の根拠:地図上の地点と距離
- 変化の根拠:表やグラフの具体的な数値
- しくみの根拠:流れの強さと運べる粒径の関係
- 結論の範囲:調査地点・時期から言えるところまで
- 例外の検討:洪水・波・海流・別の流入源
次のレッスンでは、こうした根拠を無視した典型的な誤答を直します。特に「大きな粒ほど遠くへ行く」「一番多い粒以外はない」「一地点の結果は流域全体に当てはまる」を、資料へ戻って修正します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。