LESSON 01

不整合が示す時間の空白

堆積→隆起→侵食→沈降→再堆積を模型で再現しよう

「不整合が示す時間の空白」第2段階。層状模型で堆積・傾動・侵食・再堆積を一段階ずつ記録し、不整合面ができる順序と模型の限界を確かめる。

堆積→隆起→侵食→沈降→再堆積を模型で再現しよう

まず知る

このレッスンの役割と到達目標

このレッスンは「不整合が示す時間の空白」6レッスン中の2番目です。前のレッスンでは、地層の向き、侵食面、基底礫、地層の欠けから不整合の候補を見つけました。今回は、層状模型を使って、古い地層の堆積から新しい地層の再堆積までを一段階ずつ再現します。模型で出来事と結果を対応させられると、次のレッスンで「なぜ一本の境界が長い時間の空白を示すのか」を説明できます。

中心技能は、模型の各段階で変えた操作と残った証拠を記録し、不整合面ができる出来事の順序を再現することです。完成形だけを見るのではなく、各段階を写真や簡単なスケッチで残すのが効果的です。

学校では、色の違う油粘土ややわらかいスポンジシートを層状に重ねた模型を使えます。削る操作にはプラスチック製のへらを使い、刃物や飛び散る硬い材料は使いません。指を板の間にはさまないよう、先生の指示に従います。

模型で表す出来事を確認します。

自然の出来事 模型の操作 残る証拠
古い地層の堆積 色の違う層を順に重ねる 下から上への層の並び
隆起・傾動 模型全体を持ち上げ、傾ける 古い層の傾き
侵食 上面をへらででこぼこに削る 層の先端を切る面、削りくず
沈降・水中への移動 模型を水平な容器へ戻す 再び堆積できる条件
新しい地層の堆積 削った面の上へ新しい層を重ねる 境界直上の基底層、上の新しい層

不整合ができる五段階の層状模型古い三層の堆積、地層の隆起と傾動、上面の侵食、沈降、水平な新しい二層の再堆積を左から右へ示す。1 堆積2 隆起・傾動3 侵食4 沈降5 再堆積各段階で、操作・形の変化・模型では表せないことを記録する

模型では、水中へ沈む過程を本物の水で再現しなくてもかまいません。「再び堆積できる低い場所になった」という条件を、模型の位置を戻す操作で表します。

理解する

この模型の大切な点は、完成した断面ではなく、出来事の順番です。古い地層を積んだ直後には不整合面はありません。地層を傾けても、まだ上面が削られていなければ「傾いた地層」があるだけです。侵食で複数の層の先端を切り、その後に新しい地層を積むことで、古い層と新しい層の間に不整合が残ります。

模型の各段階で次を記録します。

  1. 操作前の層の向きと並び。
  2. 今回だけ変えた操作。
  3. 操作後に新しく現れた形。
  4. 次の段階でその形が残るか。
  5. 自然と模型で異なる時間・材料・大きさ。

公平に比較するなら、一度に一つの操作だけを変えます。たとえばAでは傾けてから削り、Bでは傾けずに削ります。層の材料や厚さ、削る深さ、新しい層の厚さをそろえれば、傾きの有無が完成した境界の見え方にどう影響するか比べられます。

模型の限界も明確にします。数分の操作が、自然界でも数分で起きたことを意味しません。へらで削る操作は、流水、波、風、氷河などによる侵食をまとめて表すモデルです。模型は「どの順序でどの形が残りうるか」を考える道具であり、実際の侵食原因や期間を一つに決める証拠ではありません。

また、自然では一度積もった地層が完全に削られる場合と、その場所でそもそも堆積しなかった場合があります。模型の削りくずは侵食を再現しますが、未堆積までは同じ操作で表せません。どちらも地層記録の空白を作りうることを区別します。

使う

二つの条件を比べる具体例

同じ三色の粘土層を二組用意します。

  • 模型A:三層を20度傾け、上面を1 cm削り、水平に戻して新しい二層を重ねる。
  • 模型B:三層を傾けず、上面を1 cm削り、新しい二層を水平に重ねる。

変える条件は、侵食前に古い地層を傾けるかどうかです。調べる結果は、境界の上下にある地層の角度差です。そろえる条件は、材料、層の厚さ、削る深さ、新しい層の厚さです。

模型Aでは、傾いた古い層の先端を侵食面が切り、その上に水平な新しい層が重なる傾斜不整合の形になります。模型Bでは、上下の層はほぼ平行でも、削られた境界をはさむ不整合の形になります。この比較から「不整合には必ず角度差があるわけではない」と理解できます。

記録欄 模型A 模型B
侵食前の層の向き 20度傾く ほぼ水平
境界が切るもの 古い三層の先端 古い最上層の上面
新しい層の向き 水平 水平
共通する証拠 侵食面と再堆積 侵食面と再堆積

説明は「模型Aでは、古い層を傾けてから削ったので、侵食面が複数の層の先端を切った。再堆積した新しい層は水平で、上下に角度差が残った。ただし、模型の数分は自然の時間の長さを表さない」とします。

転用する

完成断面から操作を逆算する

初めて見る模型で、下の層は水平、境界はでこぼこし、上の層も水平だったとします。「傾ける操作がないので整合」と決めてはいけません。侵食で境界を作り、その後に同じ向きで再堆積すれば、平行な不整合ができます。完成形から、削る前と後の操作を逆算します。

自然の露頭でも同じです。上下の地層の角度差が目立たなくても、境界の凹凸、基底礫、地層年代の飛び、周辺地点との対比を調べます。

間違いを直す

「模型で5分かかったから不整合の空白も5分」は誤りです。模型は順序を表し、時間尺度は大幅に縮めています。「へらで削ったから自然でも刃物のようなものが削った」も誤りです。へらはさまざまな侵食作用の代わりです。「欠けた地層は必ず侵食された」も断定できません。その場所で堆積しなかった可能性があります。

確認チェック

確認1:中心技能を直接確かめる不整合模型の基本順序は、古い地層の堆積→隆起・必要なら傾動→侵食→沈降などで再び堆積できる条件→新しい地層の堆積です。
確認2:誤解を見抜く上下の層が平行でも、侵食面をはさんで再堆積した模型なら不整合です。傾きの違いは代表的な手がかりですが必要条件ではありません。
確認3:別の資料へ移す完成模型だけを見たら、境界がどの層を切るか、基底礫があるか、上下の層の向きがどう違うかを調べ、必要な操作の順序を逆算します。

まとめと次へのつながり

模型は不整合の時間の長さではなく、堆積が中断し、侵食などを経て再び堆積する順序を見せます。次は、この境界に「地層が作られなかった時間」と「作られても失われた時間」が含まれる理由を、記録という考え方から説明します。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。