このレッスンは「堆積岩を見分けよう」セクションの6番目、総仕上げです。六つの堆積岩について、観察、安全、でき方、分類キー、誤同定修正をまとめて使います。
- 前から受け取る力:似た岩石の誤同定を、でき方・反応・硬さ・成分へ戻して直す力
- このレッスンの中心:未知標本を複数根拠で同定し、代替候補と追加観察も示す力
- 次へ渡す力:地層に含まれる岩石を手がかりに、地層の重なりとできた順序を読む力
まず知る
初見問題では、岩石名を早く当てるより、証拠の強さを整理することが大切です。
証拠を三段階に分けます。
- 直接の観察:粒径、丸み、火山灰粒、化石、反応、硬さ
- でき方による説明:どんな物質が堆積し、どう固まったか
- 判定と限界:最も合う候補、残る別候補、必要な追加観察
写真は便利ですが、写真だけでは硬さ、成分、薄い塩酸への反応が分かりません。色や明るさも撮影条件で変わります。したがって「写真が似ている」だけで確定しません。
図の矢印は、各観察がどの候補を支えるかを示します。実際の試料で資料が不足していれば、候補のまま止めます。
理解する
複数根拠は、同じ結論を別の方向から支えます。
試料Eが薄い塩酸で発泡し、炭酸カルシウムを多く含むなら、反応と成分の二方向から石灰岩を支えます。さらに殻の断片が見えれば、生物由来の材料が関係するでき方ともつながります。
一方、「白い」「明るい」「淡い色」は同じ種類の見た目であり、三つ書いても独立した三根拠にはなりません。
別候補を退けることも重要です。細粒の試料Fをチャートとするなら、泥岩との違いを説明します。
- チャートを支える:非常にかたい、二酸化ケイ素を多く含む
- 石灰岩を退ける:薄い塩酸で発泡しない
- 泥岩を退ける:細粒だけでなく、硬さと成分がチャートに合う
ただし、すべての標本が典型的とは限りません。風化で表面だけが変色したり、別の粒が混じったりします。標本表面と新鮮な面で特徴が違う場合は、先生が用意した新鮮な面の写真や成分資料を使います。自分で割りません。
産状、つまり岩石が地層のどこにどのように入っているかも証拠になります。火山灰由来の薄い層が広く続けば凝灰岩を支えます。しかし、産状だけで決めず、標本の粒も確かめます。
使う
六つの試料を同定します。
| 試料 | 観察・資料 | 第一候補 | 別候補を退ける根拠・追加観察 |
|---|---|---|---|
| A | 4〜12 mmの丸い粒 | れき岩 | 2 mm以上の粒が明確。粒の間の固結を確認 |
| B | 0.2〜1 mmの粒、ざらざら | 砂岩 | 粒径が砂の範囲。色は根拠にしない |
| C | 一粒が見えず比較的やわらかい | 泥岩 | チャートとの区別に成分・硬さ資料を追加 |
| D | 火山灰粒と軽石片、層状 | 凝灰岩 | マグマの結晶組織ではなく堆積粒を確認 |
| E | 発泡、炭酸カルシウムを多く含む | 石灰岩 | チャートは同様の発泡をしない |
| F | 非常にかたくSiO₂が多い、発泡なし | チャート | 泥岩より硬く、成分も一致 |
入試答案では、岩石名だけでなく根拠を一文で書きます。
例: 「試料Dは、火山灰粒と軽石片を含み、その物質が層状に堆積しているため、凝灰岩と判断できる。」
判断できない場合の答案も練習します。
「試料Xは細粒で薄い塩酸に発泡しないため、泥岩またはチャートが候補である。硬さと二酸化ケイ素の含有量が必要で、現在の資料だけでは確定できない。」
これは不完全な答案ではありません。資料の限界を正しく表した科学的な答案です。
理解チェック1:直接確認
未知標本が薄い塩酸で発泡し、炭酸カルシウムを多く含みます。候補と二つの根拠を答えてください。
答え:石灰岩です。薄い塩酸で発泡することと、炭酸カルシウムを多く含むことが根拠です。
理解チェック2:誤解を直す
「試料は火山の近くの地層から出たので、必ず凝灰岩である」という判定の問題点は何ですか。
答え:採取場所だけでは決められません。火山灰や軽石片が堆積して固まった組織など、標本そのもののでき方を示す証拠が必要です。
理解チェック3:初見へ転用
写真では白い細粒岩に見えますが、反応・硬さ・成分の資料がありません。どう結論を書きますか。
答え:色と写真だけでは石灰岩・チャート・泥岩などを区別できないため確定しません。教師管理の塩酸反応、硬さ、成分、粒の組織を追加で調べます。
転用する
未知標本の判定は、次の順で完成させます。
- 標本番号と観察条件を確認する
- 粒径、丸み、火山灰粒、化石を記録する
- 与えられた反応、硬さ、成分を読む
- 分類キーで第一候補を選ぶ
- でき方を一文で説明する
- 似た候補を退ける根拠を書く
- 資料不足なら必要な追加観察を示す
- 薬品や破壊を伴う操作は自分で行わない
次の「地層が重なる基本原理」では、ここで見分けたれき岩・砂岩・泥岩・凝灰岩などが上下に重なる資料を読みます。まず各層の岩石を正しく認識し、その後に「大きな乱れがなければ、下の地層ほど古い」という時間の関係へ進みます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。