未知の柱状図から地下断面と欠失を復元しよう
まず知る
このレッスンの役割と到達点
このセクションの最後は、初めて見る複数の柱状図から地下のようすを復元する総合課題です。これまで身に付けた、凡例を読む、層厚を求める、深さを標高へ直す、かぎ層を対応させる、傾きを推定する、誤答を点検する力を自分で選んで使います。
地下断面は、見えない地下を証拠から推定したモデルです。観測した地点は確かな情報ですが、その間を結ぶ線には推定が含まれます。そのため、実線・点線・疑問符などを使い、確かさを表します。
復元で使う証拠の優先順位は一つに固定されませんが、次のように役割を分けます。
| 証拠 | 主な役割 |
|---|---|
| かぎ層 | 離れた地点の同じ時間面を結ぶ |
| 岩相・粒径 | 堆積した環境や横方向の変化を考える |
| 地表標高と深さ | 境界の標高を求める |
| 不整合・断層 | 地層が途切れる原因候補を考える |
| 化石 | 堆積環境や年代を別の証拠で確かめる |
理解する
三地点の柱状図を同じ基準へそろえる
西から東へA、B、Cの三地点が並びます。黄色の凝灰岩を同じかぎ層と判断でき、上面の標高はAが90 m、Bが80 m、Cが70 mでした。一方、青色の砂岩はBの柱状図では確認できません。
かぎ層上面は東へ低くなるので、地層全体も東へ傾く第一候補を描けます。ただし、Bに砂岩が描かれていない理由は一つではありません。
- ボーリングが浅く、砂岩まで届いていない。
- 砂岩が横方向に泥岩へ変化した。
- 侵食によって一部が失われた。
- 断層で位置がずれた。
- A・B・Cの凝灰岩を同じ層とした判断が誤っている。
まず観測範囲を確認し、次に境界の不連続、断層、不整合、岩相変化の証拠を探します。証拠が足りなければ、候補を複数残します。
使う
入試型資料を六手で解く
- 地図で地点の並び、方位、距離を確認する。
- 各柱状図の地表標高、目盛り、凡例を確認する。
- かぎ層の同じ面を選び、深さを標高へ直す。
- かぎ層の標高差から傾く向きを考える。
- 上下の地層を対応させ、未観察部分は点線にする。
- 断層・不整合・岩相変化という別の説明が必要か点検する。
たとえば、AとCの間が600 mで、かぎ層上面が90 mから70 mへ低下するなら、単純化すると100 m当たり約3.3 m低下します。中間BがAから300 m東なら、上面は標高約80 mです。Bの地表標高が95 mなら、深さ約15 mと予測できます。実際の調査が深さ12 mまでなら、Bでかぎ層より下の砂岩が見えないのは自然です。
このように、欠失を考える前に「調査が目的の深さへ届いたか」を数値で確かめます。
根拠のある記述にする
答案は「結論→証拠→条件」の順にすると伝わります。
例:「かぎ層はAからCへ東向きに低くなる。凝灰岩上面の標高がAの90 m、Bの80 m、Cの70 mと順に低くなるからである。ただし、三地点間で同じ層が連続すると考えた場合である。」
転用する
地層から昔の環境へ問いを広げる
地下断面を復元すると、同じ時期でも西ではれき岩、東では泥岩という横方向の変化が見えることがあります。これは、川に近い場所から沖へ向かって粒が細かくなるなど、堆積環境の違いを示す可能性があります。
しかし、岩石だけでは環境を一つに決めにくい場合があります。そこで次のセクションでは、サンゴ、シジミ、植物など、生息環境が限られる生物の化石を証拠に加えます。柱状図で「どの高さの層から出たか」を正しく読めることが、示相化石から昔の海の深さや気候を考える土台になります。
最後に、自分の復元図で実線は観測、点線は推定、疑問符は未決定と使い分けられているか確認しましょう。
確認1:直接確認
西Aでかぎ層上面が標高64 m、東Bで標高52 mです。どちらへ低くなりますか。東へ12 m低くなります。確認2:誤りを見抜く
中央地点の柱状図に砂岩がないので、侵食されたと断定しました。何が不足していますか。観測深度、横方向の岩相変化、断層や不整合の証拠を確認する必要があります。確認3:初見資料へ転用
同じ凝灰岩の上面が300 m離れた二地点で15 m低下します。中間では約7.5 m低下すると予測できますが、断層が示されていたら単純な直線補間をせず、ずれを別に扱います。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。