堆積物ができる過程から川・海・陸を推定しよう
まず知る
このレッスンは「地層から過去の環境を復元する」6レッスンの2番目です。前のレッスンでは、粒・化石・模様を環境証拠として分類しました。今回は、証拠が生まれる過程をたどり、過去の場所を推定します。
岩石名と環境名を一対一で暗記するのではありません。同じ砂岩でも、川、海岸、砂漠などでできます。判断の中心は「何が粒を運び、どの強さで、どこへ堆積させたか」です。
| 堆積物・岩石 | できる過程 | 環境候補 |
|---|---|---|
| 礫岩 | 強い水流などが粗い粒を運び、流れが弱まって堆積 | 川、扇状地、波の強い海岸 |
| 砂岩 | 中くらいの流れで砂が運ばれ、選別されて堆積 | 川、海岸、浅海、砂漠 |
| 泥岩 | 細かな泥が静かな水中でゆっくり沈む | 湖、潟、沖合、深い海 |
| 石灰岩 | 石灰質の殻・骨格などが多くたまる | 主に暖かく浅い海など |
| チャート | 放散虫などの殻が深い海底に長く堆積 | 深い海 |
| 石炭 | 植物遺体が分解されきらず大量にたまる | 湿地・沼沢地 |
この表は「候補を出す道具」です。最終判断では、粒の丸さ、堆積構造、化石、周囲の地層を組み合わせます。
理解する
川が山地から海へ流れる場面を想像します。上流は傾きが大きく流れが速いため、礫を動かせます。平野へ出て流れが弱まると、まず重い礫が止まり、次に砂、さらに静かな場所で泥が沈みます。この「運べる粒の大きさが流れの強さで変わる」という関係が、環境推定の基本です。
ただし、粗い粒があるから「山地」とは限りません。波の強い海岸でも礫は動きます。川なら一方向の流れを示す斜交葉理や淡水生物、海岸なら波で往復するれん痕や海生生物が補助証拠になります。
細粒の泥岩も「深海」とは限りません。流れの弱い湖や潟でも泥は堆積します。海生化石、陸上植物化石、泥割れ、周囲の砂岩との関係から候補をしぼります。
使う
例題として、ある地層に次の特徴があるとします。
- よく丸い礫を含む礫岩
- 上に一方向の流れを示す砂岩
- 淡水魚の化石
- 海生生物の化石は見つからない
まず礫岩から、粗い粒を運べる強い流れを考えます。丸い礫は、転がり衝突する運搬を受けた証拠です。一方向の流れと淡水魚化石が同じ説明を支えるので、川の環境が有力です。
一方、「海生化石がない」だけで海を完全に否定はできません。化石になりにくかった、発見範囲が狭かった可能性があるからです。肯定する証拠と、反対候補を弱める証拠を分けます。
別の例で、泥岩に保存状態のよい海生プランクトン化石があり、粗い粒や波の跡がないなら、静かな沖合が有力です。「泥岩だから深海」ではなく、細粒が静かに沈み、海生化石が運搬されず保存されたという過程を説明します。
転用する
未知の資料では、次の文型が役立ちます。
「証拠Aは過程Bを示す。証拠Cも同じ環境候補Dを支持する。一方で候補Eも残るが、証拠Fとは合いにくい。したがってDの可能性が高い。」
この書き方なら、岩石名を答えるだけでなく、なぜその環境を選んだかが伝わります。また、資料の限界も示せます。
次のレッスンでは、一つの地層だけでなく、柱状図を下から上へ読み、時間とともに海が深くなったか、浅くなったかを考えます。
確認1:泥が堆積しやすいのはどんな場所?
細かな泥が沈める、流れや波の弱い水中です。湖、潟、沖合、深い海などが候補になり、化石や堆積構造でしぼります。確認2:「礫岩があるので必ず山地だった」が誤りなのはなぜ?
強い川だけでなく、波の強い海岸などでも礫が堆積するためです。流れの向き、化石、周囲の地層を合わせます。確認3:砂岩に対称なれん痕と海生貝化石がある場合、どの環境が有力?
波が往復する浅い海岸付近が有力です。砂岩だけでなく、れん痕と海生化石が同じ候補を支持します。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。