流水モデルを安全に公正な条件で比べよう
このレッスンは「風化・侵食・運搬・堆積」6レッスン中の2番目です。前のレッスンで区別した四つの過程を、浅いトレーの模型で観察します。自然の川を再現したつもりになるのではなく、一つの条件が結果へどう影響するかを公平に比べます。
前から受け取る力:風化・侵食・運搬・堆積を、粒のできる・削られる・動く・止まるで区別する
今回完成させる力:変える条件を一つにし、侵食量・移動距離・堆積位置を安全に測って比較する
次へ渡す力:流れの強さと粒の大きさから、運搬と堆積の関係を説明する
まず知る
公平な実験では、変える条件を一つにします。ほかの条件をそろえると、結果の違いを何の影響として考えられるかが明確になります。
傾きの影響を調べる例では、次のように設計します。
| 種類 | この実験での内容 |
|---|---|
| 変える条件 | トレーの傾きだけ |
| そろえる条件 | 土砂の種類・質量、水量、流す時間、注ぐ位置、トレーの形 |
| 測る結果 | 削られた溝の幅、運ばれた粒の距離、堆積した場所 |
| 繰り返し | 同じ条件を3回行い、ばらつきを見る |
安全のため、机を防水シートで覆い、浅いトレーを安定した場所に置きます。少量の水を使い、こぼれた水はすぐ拭きます。ぬれた床を放置せず、土砂や水を排水口へ流さず、先生の指示で回収します。自然の川や崖へ入って確かめません。
理解する
水量と傾きを同時に変え、条件Bの溝が深くなっても、どちらが原因か分かりません。水量が多かったためか、傾きが大きかったためか、両方かを区別できないからです。一条件だけを変えることが、原因を考える土台になります。
観察語もそろえます。
- 土砂表面から粒が削り取られる:侵食
- 粒が水とともに下流へ動く:運搬
- 動きが止まり、粒がたまる:堆積
「水が流れた」は条件であり、「溝が3 mm深くなった」は測定結果です。「傾きが大きいほど侵食が強まった」は、条件と結果を比べた解釈です。
模型には限界があります。自然の川とは大きさ、時間、川底の岩石、植物、曲がり方、水量の変化が違います。模型で確かめられるのは、指定した条件の範囲での関係です。小さな模型の結果を、そのまますべての川へ広げません。
使う
傾き5°と15°を比べ、ほかの条件をそろえて3回ずつ実験した結果が次の通りでした。
| 傾き | 粒の平均移動距離 | 溝の平均深さ |
|---|---|---|
| 5° | 32 cm | 2 mm |
| 15° | 58 cm | 5 mm |
この実験範囲では、傾き15°の方が粒の移動距離が長く、溝も深くなりました。したがって「同じ土砂・水量・時間では、傾きが大きい条件ほど侵食と運搬が大きくなった」といえます。
「傾きが大きければ自然界でも必ず58 cm運ぶ」とは言えません。58 cmはこの模型の寸法・材料・水量で得た値です。
結果にばらつきが大きい場合は、注ぐ位置、水を流す速さ、土砂のならし方が同じだったか確認します。都合の悪い回だけ捨てず、理由を記録して再実験します。
確認1:直接確認
傾きの影響を調べるとき、変える条件とそろえる条件を一つずつ挙げてください。変えるのは傾き。そろえる例は水量、土砂、時間、注ぐ位置です。確認2:誤りを修正
条件Aは水100 mL・傾き5°、条件Bは水200 mL・傾き15°でした。傾きの影響を判定できますか。水量も変わっているため判定できません。傾き以外をそろえます。確認3:別資料へ転用
粒の大きさの影響を調べるなら何を変え、何をそろえますか。粒径だけを変え、水量・傾き・土砂質量・時間・注ぐ位置などをそろえます。転用する
未知の実験計画を見たら、次の四欄を作ります。
- 変えた条件
- そろえた条件
- 測った結果
- 模型から言える範囲
結果が違っても、比較条件がそろっていなければ原因を決めません。結果が似ていても、測定精度が粗すぎないか確認します。
次は模型で見えた粒の動きを使い、流れが強いと大きな粒まで運べ、流れが弱まると運びきれない粒から堆積する理由を説明します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。