水量・傾き・粒径データから粒の移動を読もう
このレッスンは「風化・侵食・運搬・堆積」6レッスン中の4番目です。前のレッスンで理解した流れと粒の関係を、表とグラフから読みます。数値が増えたというだけでなく、比較条件がそろっているかを確かめて原因を考えます。
前から受け取る力:流れが強いと大きな粒まで運び、弱まると運びきれない粒から堆積すると説明する
今回完成させる力:水量・傾き・粒径と侵食量・移動距離・堆積位置の関係を条件つきで読む
次へ渡す力:風化・侵食・運搬・堆積を混同した説明を、データと動作へ戻して直す
まず知る
表やグラフを読む前に、次の四点を確認します。
- 何を変えたか
- 何をそろえたか
- 何を測ったか
- 単位と繰り返し回数は何か
水量だけを変えた模型実験の例を考えます。傾き10°、土砂200 g、粒の混合割合、流す時間30秒をそろえ、各条件を3回行った平均です。
| 水量 | 侵食された土砂 | 平均移動距離 | 運ばれた最大粒径 |
|---|---|---|---|
| 50 mL | 8 g | 25 cm | 1 mm |
| 100 mL | 17 g | 44 cm | 3 mm |
| 150 mL | 25 g | 63 cm | 5 mm |
この条件範囲では、水量が多いほど侵食量・移動距離・運ばれた最大粒径が増えています。
理解する
表の数値が一緒に増えていても、それだけで水量が原因とは言えません。傾きや土砂が同時に変わっていないかを確認します。この例では水量以外をそろえた比較実験なので、「この模型・条件範囲では、水量の増加が結果の増加に関係した」と解釈できます。
グラフの点を読み取るときは、軸と単位を先に見ます。横軸が水量、縦軸が侵食量のグラフと、横軸が水量、縦軸が移動距離のグラフは形が似ていますが、表す結果が違います。
「水量が2倍だから結果も必ず2倍」と決めつけません。
- 50→100 mLで侵食量は8→17 g
- 100→150 mLで侵食量は17→25 g
およそ増えていますが、完全な比例とは限りません。点が3個だけなので、間の値や150 mLより大きい範囲まで直線で断定しません。
平均だけでなく、3回のばらつきも大切です。結果が8 g、9 g、30 gなら、平均だけ出す前に、30 gの回で土砂のならし方や注ぐ位置が変わらなかったか確認します。
使う
傾きだけを変えた別の実験で、ほかの条件は同じとします。
| 傾き | 平均移動距離 | 河口側に堆積した土砂 |
|---|---|---|
| 5° | 28 cm | 12 g |
| 10° | 46 cm | 19 g |
| 15° | 61 cm | 27 g |
この範囲では傾きが大きいほど、粒の平均移動距離と下流側の堆積量が増えました。傾きが大きい条件では水の流れが強まり、より多くの粒を遠くまで運んだ可能性があります。
記述例: 「土砂・水量・時間をそろえ、傾きだけを5°から15°へ大きくすると、平均移動距離は28 cmから61 cmへ増えた。この模型の範囲では、傾きが大きいほど粒が遠くまで運搬されたと考えられる。」
この結果から「傾き15°では自然のすべての川で61 cm運ぶ」とは言えません。模型の縮尺・材料・水量に限った値です。
確認1:直接確認
水量150 mLのとき、表で運ばれた最大粒径はいくつですか。5 mmです。確認2:誤りを修正
水量と傾きを同時に増やした結果、移動距離が増えました。「水量だけが原因」と言えますか。言えません。二条件が変わったため、それぞれの影響を分けられません。確認3:別資料へ転用
水量200 mLでの移動距離を、三点を結んだ直線から必ず82 cmと断定できますか。測定範囲外なので断定できません。追加実験が必要です。転用する
初見のデータ問題では、答案を次の順で書きます。
- 比較条件:「水量以外をそろえた」
- 数値の変化:「50→150 mLで25→63 cm」
- 解釈:「水量が多いほど遠くまで運搬された」
- 範囲:「この模型・測定範囲では」
- 限界:「比例や範囲外は追加資料が必要」
次は、岩石がその場で崩れる現象を侵食と呼ぶ、粒が止まることを運搬と呼ぶなど、四過程を混同した誤答を、場所・動作・データへ戻して修正します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。