柱状図の上下変化から海進・海退を読もう
まず知る
このレッスンは「地層から過去の環境を復元する」6レッスンの3番目です。前のレッスンでは、一つの地層ができた過程から環境候補を考えました。今回は柱状図を下から上へ読み、同じ地点の環境が時間とともにどう変化したかを復元します。
地層が逆転していなければ、柱状図の下は古く、上は新しい記録です。海岸線が陸側へ進み、ある地点の水深が深くなる変化を海進、海岸線が海側へ退き、浅くなる変化を海退と呼びます。
ただし、「粒が細かくなれば必ず海進」と暗記してはいけません。川の流れが弱まるなど、別の原因でも粒は細かくなります。粒径に加え、化石や堆積構造が同じ変化を支持するか確認します。
理解する
ある地点の柱状図が、下から礫岩、砂岩、泥岩の順に変化し、化石が陸上植物片から浅海の貝、沖合のプランクトンへ変わったとします。
礫岩は強い流れや岸近く、砂岩は海岸・浅海、泥岩は静かな沖合の候補です。化石も陸に近いものから沖合のものへ変わります。二種類の証拠が一致するため、この地点では時間とともに海が深くなった、つまり海進した可能性が高いと考えられます。
逆に、泥岩 → 砂岩 → 礫岩と上方へ粗くなり、沖合の化石から浅海の貝、陸上植物片へ変われば、海が浅くなった海退の候補です。
柱状図の厚さを時間の長さと同じにしないことも重要です。堆積速度は環境で異なり、侵食や堆積の中断もあります。厚い層が必ず長時間、薄い層が必ず短時間とは言えません。
使う
柱状図を読む手順です。
- 上下が逆転していないか確認する。
- 下から上へ、岩石と粒径の変化を矢印で記録する。
- 化石・れん痕・泥割れなどの変化も別の列に書く。
- 各層の環境候補を一つ以上出す。
- 複数証拠が示す変化を結ぶ。
- 別の原因が残る場合は「海進の可能性」など確実度を示す。
例題:下から泥岩、砂岩、泥割れのある泥岩へ変化した。海生化石は下部だけにある。
泥岩と海生化石は静かな海、砂岩はより浅く流れの影響がある場所、上部の泥割れは泥が乾く陸上または水位の低い場所を示します。全体として海が浅くなり、最後に陸化した海退の可能性が高いと説明できます。
転用する
海進・海退は、海面の上下だけでなく、土地の沈降・隆起でも起こります。柱状図だけから原因を一つに決めず、「この地点で相対的に海が深くなった/浅くなった」とまず表現します。広い地域の複数地点を比べると、海岸線の移動をより確かに復元できます。
入試答案では、「上方へ細粒化したから海進」と短絡せず、「礫岩から砂岩、泥岩へ細粒化し、化石も陸に近いものから沖合型へ変わるため、この地点は相対的に深くなった」と、二種類以上の証拠を書きます。
次のレッスンでは、複数地点の柱状図を火山灰などのかぎ層でつなぎ、同じ時刻の陸・海岸・沖合の分布を描きます。
確認1:礫岩→砂岩→泥岩と上方細粒化し、化石も沖合型へ変わると何が考えられる?
その地点で海が相対的に深くなる海進の可能性が高いと考えられます。粒径と化石の二つが同じ変化を支持します。確認2:「上方細粒化は必ず海進」が誤りなのはなぜ?
川の流れの弱まりなどでも細粒化するためです。化石、堆積構造、周囲の地点を合わせて判断します。確認3:泥岩→砂岩→泥割れ層へ変化した未知の柱状図をどう説明する?
静かな水中から浅い水域へ移り、最後に乾燥する場所になった可能性があります。海生化石などがあれば、海退・陸化の説明が強まります。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。