制約表と矢印グラフから矛盾なく順序を決めよう
まず知る
このレッスンは「大地の出来事を順番に並べる」6レッスンの4番目です。ここまでに、一枚の断面から出来事を取り出し、覆う・切る関係を一対一の新旧へ変えました。今度は、その小さな関係を集めて、全体の順序を作ります。
ただし、証拠がない二つを無理に並べません。地質資料でわかるのは多くの場合、何年前という数値ではなく「AよりBが古い」という相対的な順序です。また、AとB、BとCの関係がわかればAとCも比べられますが、別々の枝にある出来事は順序が決まらないことがあります。
このレッスンでは「古い → 新しい」で矢印を統一します。矢印の向きを途中で変えると、正しい観察でも順番が逆になります。
理解する
次のような観察が得られたとします。
- 地層Bが地層Aを覆う。
- 火山灰Cが地層Bを覆う。
- 岩脈DがA・B・Cを切る。
- 断層EがDをずらす。
- 地層Fが断層Eを覆い、Fはずれていない。
これを制約表へ変えます。
| 観察 | 先に起きた出来事 | 後に起きた出来事 |
|---|---|---|
| BがAを覆う | Aの堆積 | Bの堆積 |
| CがBを覆う | Bの堆積 | Cの堆積 |
| DがCを切る | Cの堆積 | Dの貫入 |
| EがDをずらす | Dの貫入 | Eの断層運動 |
| FがEを覆う | Eの断層運動 | Fの堆積 |
矢印グラフにすると、A → B → C → D → E → Fです。一番古い出来事は、自分へ入ってくる矢印がないA。一番新しい出来事は、自分から出ていく矢印がないFです。
使う
複雑な問題では、次の手順が安定します。
- 出来事に短い記号を付ける。
- 一対一の関係を「先」「後」の表へ書く。
- 古い方から新しい方へ矢印を引く。
- 入ってくる矢印がない出来事を最初の候補にする。
- その出来事を取り除いたつもりで、次の候補を探す。
- 二つ以上の候補が残ったら、両者の順序を決める証拠があるか探す。
- 証拠がなければ「順序は決められない」と明記する。
たとえば、A → C、B → Cだけがわかる場合、AとBはどちらもCより古いですが、AとBの前後は決まりません。「A、B、C」も「B、A、C」も資料と矛盾しません。科学では、わからないことを残すのも正しい判断です。
逆に、A → B、B → C、C → Aという輪ができたら、どこかに誤りがあります。矢印の向き、出来事の取り違え、図で本当に切っているかを見直します。現実の時間が一周して同じ出来事へ戻ることはないからです。
転用する
この考え方は地質だけでなく、実験手順、歴史上の因果、プログラムの処理順序にも使えます。「Xが起きるにはYが先に必要」という制約を集め、矛盾のない順番を作る方法です。
入試答案では、最終順序だけでなく、決め手となった二、三個の関係を書きます。たとえば「DはCを切るのでCの後、EはDをずらすのでDの後、FはEを覆うのでEの後」と説明すれば、図を論理的に読んだことが伝わります。
次のレッスンでは、見た目につられやすい「上にあるから新しい」「断層は一番古い」などの誤答を、制約へ戻して修正します。
確認1:A → B、B → Cなら、AとCの順序は?
AがCより古いとわかります。Aの後にB、Bの後にCが起きるためです。確認2:A → C、B → Cだけで、AがBより古いと決めてよい?
決められません。AとBはどちらもCより古いだけで、AとBを直接または間接に結ぶ証拠がありません。確認3:未知の制約表で矢印が一周したら、どうする?
時間順序として矛盾しているので、矢印の向き、出来事の名称、切る・覆う関係の読み取りを資料へ戻って確認します。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。