LESSON 01

示相化石で昔の環境を知る

生息条件が昔の環境を示す理由を説明しよう

環境条件から生物の分布・埋没・化石化へ進む因果と、運搬や保存の偏りを含めて環境推定を説明する。

生息条件が昔の環境を示す理由を説明しよう

まず知る

このレッスンの役割と到達点

前のレッスンでは、化石の種類だけでなく、数・保存状態・向き・母岩を観察しました。ここでは、それらの証拠から昔の環境を推定できる理由を、途中の過程を省かず説明します。

中心となる因果の流れは次の通りです。

環境条件が生物の分布をしぼる → 生物がそこで暮らす → 死後に遺骸が堆積物へ埋まる → 地層中に化石として残る → 化石と母岩から昔の環境を逆向きに推定する

推定が成り立つには、化石が大きく運ばれていない、種類を正しく見分けている、現在知られている生息条件を過去へ当てはめられる、という条件も必要です。

理解する

原因から証拠までをつなぐ

環境から化石が残り、昔の環境を推定するまでの因果暖かく浅い海、生物の生息、死と埋没、化石化、証拠からの環境推定を矢印でつなぐ環境条件暖かい・浅い海水生物の分布条件に合う種類がそこで暮らす死・埋没遺骸が堆積物にすばやく覆われる化石化硬い部分や跡が地層に残る逆向きに昔の環境を推定運搬・再堆積があると場所の対応がずれる化石だけでなく、保存状態・母岩・ほかの化石で途中の過程を確かめる

サンゴ化石を例に説明すると、「サンゴ化石があるから暖かい海」だけでは途中が抜けています。よりよい説明は次のようになります。

「サンゴの多くは、光が届く暖かく浅い海で生息する。保存のよいサンゴ化石が石灰岩中に多数あるので、その場に近い暖かく浅い海で遺骸が埋まり、この地層ができた可能性が高い。」

この文には、生息条件、観察した証拠、埋没、結論が入っています。

化石になるまでの偏り

すべての生物が同じように化石になるわけではありません。殻・骨・歯など硬い部分は残りやすく、柔らかい体は分解されやすい傾向があります。また、すばやく埋まれば保存されやすく、地表に長くさらされると壊れやすくなります。見つかった化石は、過去の生物全体をそのまま写した一覧ではありません。

使う

証拠から因果説明を組み立てる

資料:細かな泥岩から保存のよいシジミ化石が多数見つかり、殻の摩耗は少ない。

  1. 生息条件:シジミは河口や湖など、淡水または汽水域に暮らす。
  2. 産状:保存がよく多数あるため、遠くから強く運ばれた可能性は比較的小さい。
  3. 母岩:細かな泥は流れが弱い場所に堆積しやすい。
  4. 結論:流れが比較的弱い河口・湖などの環境で地層ができた可能性が高い。

一種類の化石だけでなく、産状と母岩が同じ結論を支えるため、推定が強くなります。

現在の知識を過去へ使うときの注意

現在の生物や近縁種の生息条件は、過去を考えるモデルになります。ただし、古い生物の生態が現在と完全に同じとは限りません。種類の同定、複数の化石、岩石、堆積構造を合わせ、結論は「可能性が高い」と表します。

転用する

反対の証拠があるときに考え直す

暖かく浅い海に暮らす生物の化石が、深い海でできたと考えられる細かな泥岩から、一個の摩耗した破片として見つかったとします。二つの証拠はそのままでは合いません。

このとき、どちらかを無視せず、浅い海で壊れた遺骸が流れで深い場所へ運ばれた可能性、地層が再び削られて化石が再堆積した可能性、化石や岩石の判定が誤っている可能性を比べます。矛盾は失敗ではなく、追加で調べるべき過程を示す手がかりです。

次のレッスンでは、柱状図の下から上へ化石群集と岩相が変わる資料を読み、一地点の環境が時間とともにどう変化したかを復元します。

確認1:直接確認示相化石から環境を推定できる中心理由は何ですか。生物ごとに暮らせる水温・塩分・水深・気候などの条件が限られるからです。
確認2:誤りを見抜く地層から化石が出たので、その生物は必ずその場で暮らしていたと言えますか。言えません。保存状態、向き、母岩を見て運搬や再堆積の可能性を点検します。
確認3:初見資料へ転用生物Xは冷たい淡水だけに暮らし、保存のよいX化石が泥岩から多数見つかりました。冷たい淡水環境で、その場に近い場所で埋まった可能性が高いと説明できます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。