生息条件が昔の環境を示す理由を説明しよう
まず知る
このレッスンの役割と到達点
前のレッスンでは、化石の種類だけでなく、数・保存状態・向き・母岩を観察しました。ここでは、それらの証拠から昔の環境を推定できる理由を、途中の過程を省かず説明します。
中心となる因果の流れは次の通りです。
環境条件が生物の分布をしぼる → 生物がそこで暮らす → 死後に遺骸が堆積物へ埋まる → 地層中に化石として残る → 化石と母岩から昔の環境を逆向きに推定する
推定が成り立つには、化石が大きく運ばれていない、種類を正しく見分けている、現在知られている生息条件を過去へ当てはめられる、という条件も必要です。
理解する
原因から証拠までをつなぐ
サンゴ化石を例に説明すると、「サンゴ化石があるから暖かい海」だけでは途中が抜けています。よりよい説明は次のようになります。
「サンゴの多くは、光が届く暖かく浅い海で生息する。保存のよいサンゴ化石が石灰岩中に多数あるので、その場に近い暖かく浅い海で遺骸が埋まり、この地層ができた可能性が高い。」
この文には、生息条件、観察した証拠、埋没、結論が入っています。
化石になるまでの偏り
すべての生物が同じように化石になるわけではありません。殻・骨・歯など硬い部分は残りやすく、柔らかい体は分解されやすい傾向があります。また、すばやく埋まれば保存されやすく、地表に長くさらされると壊れやすくなります。見つかった化石は、過去の生物全体をそのまま写した一覧ではありません。
使う
証拠から因果説明を組み立てる
資料:細かな泥岩から保存のよいシジミ化石が多数見つかり、殻の摩耗は少ない。
- 生息条件:シジミは河口や湖など、淡水または汽水域に暮らす。
- 産状:保存がよく多数あるため、遠くから強く運ばれた可能性は比較的小さい。
- 母岩:細かな泥は流れが弱い場所に堆積しやすい。
- 結論:流れが比較的弱い河口・湖などの環境で地層ができた可能性が高い。
一種類の化石だけでなく、産状と母岩が同じ結論を支えるため、推定が強くなります。
現在の知識を過去へ使うときの注意
現在の生物や近縁種の生息条件は、過去を考えるモデルになります。ただし、古い生物の生態が現在と完全に同じとは限りません。種類の同定、複数の化石、岩石、堆積構造を合わせ、結論は「可能性が高い」と表します。
転用する
反対の証拠があるときに考え直す
暖かく浅い海に暮らす生物の化石が、深い海でできたと考えられる細かな泥岩から、一個の摩耗した破片として見つかったとします。二つの証拠はそのままでは合いません。
このとき、どちらかを無視せず、浅い海で壊れた遺骸が流れで深い場所へ運ばれた可能性、地層が再び削られて化石が再堆積した可能性、化石や岩石の判定が誤っている可能性を比べます。矛盾は失敗ではなく、追加で調べるべき過程を示す手がかりです。
次のレッスンでは、柱状図の下から上へ化石群集と岩相が変わる資料を読み、一地点の環境が時間とともにどう変化したかを復元します。
確認1:直接確認
示相化石から環境を推定できる中心理由は何ですか。生物ごとに暮らせる水温・塩分・水深・気候などの条件が限られるからです。確認2:誤りを見抜く
地層から化石が出たので、その生物は必ずその場で暮らしていたと言えますか。言えません。保存状態、向き、母岩を見て運搬や再堆積の可能性を点検します。確認3:初見資料へ転用
生物Xは冷たい淡水だけに暮らし、保存のよいX化石が泥岩から多数見つかりました。冷たい淡水環境で、その場に近い場所で埋まった可能性が高いと説明できます。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。